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How to canoe for beginners Vol.8

   

Chapter 5 レスキュー かんたんレスキュ−

レスキュー用具も揃いました。それでは具体的なレスキュー方法についてお話ししましょう。レスキューの方法はその状況によって変わってきます。ここでは初心者が遭遇するであろう状況を想定します。中、上級者の方はどうぞ飛ばしてお読み下さい。初心者の場合まず大切なことは実力以上の川にひとりでいかないことです。もちろんグループだと言って初心者ばかりでは意味がないばかりかより危険ですので、ちゃんとしたレスキューテクニックを持ったベテランの同行が必要です。ここではひとりで沈した場合のセルフレスキューについてのみ取りあげますが、グループで行動する場合も自分の身は自分で守ることが大切。手に負えない時だけ助けを求めましょう。他にも色々なレスキュー方法がありますがパニック状態でも可能でベーシックなやり方を覚えるのが一番の早道だし、最も安全確実だと思いますので最低限、ここに書かれているやり方はマスターして下さい。

穏やかな流れの川で沈した場合
瀬の途中で沈してしまいました。まずはパドルを確保してディフェンシブスイミング(*注1)の姿勢を取ります。浅いからといって、間違っても瀬の途中で立ち上がろうとしてはいけません。足先を岩に挟んだりして危険です。とりあえず前をよく見て岩にぶつからないように瀞場まで流されてしまいましょう。流れが緩やかになったらカヌーを裏返さずに前後に取り付けてあるスローロープのどちらかを片手でしっかり持って、岸まで泳ぎます。(絶対体やP.F.Dに結んではいけません!)流れに逆らって泳ぐのではなく、流されながら斜めに下流側を目指すと楽です。岸に着いたら足場を確保し流れを利用してカヌーを引き寄せます。この場合無理に引っ張るのではなく、ロープをしっかり持ってるだけでカヌーは流れに乗って下流側の岸に流れ着きます。カヌーを確保したらまずは荷物をおろして裏返して水を抜いて、再乗艇。これで完了です。初心者向けの川では水上で再乗艇するよりこの方法が一番確実で安全だと思います。

大きな湖のまん中で沈した場合
初心者はこんなところにいってはいけません(笑)山上湖やダム湖は水温が低いので低体温症(*注2)の危険がありますので服装に留意してください。セルフレスキューも時間との戦いです。湖は岸沿いに行きましょう。でももし行ってしまって沈した場合、まずはパドルを確保して、裏返ったカヌーの下に潜りこんで、カヌーの中央ではなくバウまたはスターンのガンネルを持ってバタ足で体を飛び上がらせると同時に勢いよくカヌーを投げ上げ裏返します。すると浮力体装着艇では、ほとんど水が抜けますので残った水をベイラー(4リットルの焼酎のペットボトルを半分に切ったものが使いやすいです)又はスポンジでくみ出します。充分に水抜きをした後、センターヨークにつかまってバタ足で勢いをつけ、よじ登ります。このときあんまり勢いをつけると再び沈するので、体をカヌーに預けてからはゆっくりと乗りましょう。体を滑り込ませる最後にエビ反りになるので腰をいためないように気をつけて(笑)

湖では荷物の流失の心配がないので、浮力のあるものは固定しない方がいいと思います。固定するとカヌーを投げ上げる際に重すぎます!再乗艇の後、拾い集めればいいんですからね。(でもパドルだけは手放さないこと!)

 

(注1)ディフェンシブ・スイミング(Defensive Swimming Style)

足を下流に向けて流される方法をディフェンシブ・スイミングと呼びます。何故これがディフェンシブかというと、流れの中に障害物(隠れ岩やストレイナーなど)が現れた時に足で蹴って避けられる上、大切な頭部を水上に出して保護し確実な呼吸を可能にするからです。ただ僕もこの姿勢で流されたことがありますが、視点が水面スレスレなので障害物を見つけるのはなかなか難しいものです。足を開いてると、大切な頭は守れても、もっと大切な★●◆▲は守れず気を失いそうになりますのでご注意を!(浅瀬ではお尻がアザだらけになることも!でも我慢しましょう。下手に手を出したり、立ち上がろうとすると岩の間に手や足を挟まれて思わぬ大ケガをすることになります。水の流れの力をナメてはいけません!)

(注2)低体温症(ハイポサーミア)

沈して最も怖いのがこれです。低い温度のなかに長時間いることで体温の低下を招き、体の機能が正常でなくなり、最悪の場合「死」に至るコワーイ病気です。初期症状としては体が震える、唇が紫色になる、意識がぼんやりする、など。だれもが経験ありますよね?僕も初めてのカヌースクールで3月に沈してコレになりました。煙草を吸おうとしても手が震えてポロリ、口にくわえても歯がガチガチ鳴ってポロリ、と全く体がいうことを聞いてくれませんでした。(ちなみに低体温症の時に煙草を吸ってはイケマセン!血管がより収縮してしまうから。)最終段階では体が麻痺しますから泳げなくなります。呼吸も止まりますし。一般に水死、溺死として片付けられる事故の多くがコレによるものだそうです。水は空気の20倍の早さで体温を奪うので真夏であっても常にこの病気の危険があることを覚えておく必要があります。低体温症を防ぐには水温に合わせたパドリング・ウエアを身に付けること、そして短時間でセルフレスキューできるようになることです。くどいようですが真夏の一時期以外は体に合ったウエットスーツを着ましょう。冬はもちろんドライスーツね。

もし、低体温症になったら?濡れてる服を脱がせ全身を拭いて乾いた服に着替えさせます。着替えがない場合はシュラフやブランケットで全身を包みます。アルミのエマージェンシー・ブランケットなんてのもかなり暖かいですね。とにかく体を暖めること!(焚き火はあんまり効果ないらしいけど、僕は最高に勇気づけられたな。)暖かい飲み物を与え、ひどい場合は即病院へ!これは単に体が冷えたっていうだけじゃなく「病気」であることをお忘れなく!

   
Chapter 6 カヌーツーリング・テクニック

 

 

 


 

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