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How to canoe for beginners Vol.1

   

Chapter.1 カヌーって何だろう?

 

「カヌー」と聞いてどんなカタチを思い浮かべますか?下半身をすっぽり入れて両側を漕ぐアレですか?それとも大海原をグイグイ進むかっこいいアレ?正確にはどちらも間違いです。前者はカヤック。後者はシーカヤックです。カヌー= canoeはシングルブレードパドル(カヌーにおける櫂、オール)で漕ぐ舟です。じゃあボートとカヌーの違いは?ボートは櫂(オール)が固定されていて後ろ向きに漕ぐもの。カヌーは櫂(パドル)が固定されてなくて前向きに漕ぐものっていう区別ができるかな?(もちろん例外もあるけど)

カナディアンカヌー(以下カヌー)は北米インディアンの乗り物兼輸送手段として生まれたんだけど、現在のようなカタチになったのは征服者、つまり フランス人などのヨーロッパの人々が新大陸にやってきた後のことのようです。アカディア地方(メイン州を始めとする北米五大湖地域)は湖が点在し、その湖は水路で結ばれていました。そんな地形に適した交通手段として、先住民の乗り物であるカヌーが利用されたわけです。開拓のためのカヌーは馬や牛を何頭も載せることができるほどに超巨大なものだったらしいのですが、開拓民が湖周辺から川づたいに奥へ奥へと進むうち、川を下るためにカヌーは次第に小型化し、今の姿になったようです。つまり西部開拓時代の幌馬車にあたる存在だったわけですね。

カヌーの語源は色々な説がありますが、僕はcanoaが英語表記でcanoeになった説を支持します。たとえば中南米スペイン語でcanoaは丸木舟と云う意味がありますが、同時に細長い(舟)ということも意味します。これらはcanoeという言葉が一般化してからスペイン語にも使われ始めたと考えられますが、注目すべきは「細長い」と云う意味がある点です。実はスペイン語におけるcanoa及びその同義語canal(英語でも同じですね)には水路、とか運河とか云う意味もあるのです。これって先に述べたカヌーの生まれた状況に合致してませんか?発見した僕もあまりに出来過ぎた話だなあって思うけど、スペインカスティリア地方のお菓子である「dulce de castilla」を日本人が聞き間違えて「カステラ」と呼ぶようになったように、運河の小舟のことを「運河=canoa」と呼び始めたんじゃないか。これがakihikom説(笑)です。(なんだか大学の卒論の続きになっちゃった)

まあ、そんな話はこれぐらいにして、こんな風に生まれたカヌーってのはどんなフネなのか?他の手漕ぎボートとの違いを見てみることにします。まずはフォルム。一番の特徴は前後の区別がないことです。これはとっても合理的なことで、漕ぎ手(=パドラー)が乗る向きを変えるだけで、瞬時に進行方向を変えられるんですね、ターンしなくても。細い入り江に進入した後、脱出するのがとっても容易なんです。また、強い向い風の時は一番前(=バウ)で漕げば風見鶏の要領で方向を定め易いし、後ろ(=スターン)で漕げば追い風に乗りやすいなど、状況に応じて座る位置を変えることができるメリットになります。
カヌーにしろカヤックにしろ、安定性を犠牲にして最大限の操作性を得ているフネですから、漕ぎ心地も公園の手漕ぎボートとは次元の違う軽さです。3才のうちの娘のひと漕ぎで5m近いカヌーがすっと動くんですから。その反面、転覆(=沈)のしやすさも別次元。ごく簡単に沈します。一般的にカヌーはカヤックより沈しにくいと思われていますが、実は逆で、カヌーのほうが傾き始めてからのリカバリーは難しいんです。パドルが片方しかありませんからね。濡れるのがいやな人はカヌーなんてやめたほうが無難だといわれる所以です。(この場合泳げるか否かは関係ありません。後で説明するP.F.D(≒ライフジャケット)さえ着てれば、泳げる人とカナヅチの人の間にそんなに差は出ないからです。)転覆を一大事と考えるのは未経験者で、一度でも沈を経験した人は一種の楽しみぐらいに考えているはずです。あんなに楽しいアクシデントって日常生活じゃありえないし、あんなに仲間にウケるパフォーマンスも他にないですしね。重要なのは、「カヌーは沈を前提としたのりものだ。」と認識すること、沈しても笑っていられるだけの装備を整えてから漕ぎ出すこと、そして正しいレスキューを学ぶことの三点です。これさえ心得れば、あなたも「沈」マニア!です。

 

Chapter.2 「どうやって始める?」
 

 

  


 

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