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October.2005 part.4

 

 

 

 

 

 

 


色付き始めた高見山

10月30日 高見山紅葉狩り登山&木梶三滝巡り

ホントならば、木曽駒ヶ岳2956m〜中岳2925m〜宝剣岳2931mを“なんちゃって”縦走するはずだった今日。でもロープウェイ山上駅に電話して尋ねたら『雪はさほどでもないですけどね、アイスバーンでカチコチなんでアイゼンを忘れずにしてくださいね。』と言われ、その場で意気消沈→キャンセル(涙)。


高見山1248m

そこで今日我が家が“あちこち行きたい場所リスト”の中から選んだのは、吉野や高野山への道すがら高見峠のループ橋から間近に仰ぐ尖った単独峰・高見山1248mへの登山なのである。

高見山は櫛田川と木津川の源流にあたる高見山地の最高峰。
その名前の由来は、伊勢神宮の遷宮に出向いた持統天皇に随行した石上麻呂が「我妹子を いざ見の山も高見かも 大和の国見えぬ 遠見かも」(万葉集)と歌ったことに由来し、全国に数ある“高見山”のThe originalがこのお山である。
(もちろんお相撲さんの高見山はこの山から名前を戴いているわけで、あまり知られてないけど実は結構メジャーな山なのだ。)

去年、サイクリングの帰り道に立ち寄ったスペイン村のお風呂から夕焼けの空にこの山を見かけ、後日、スペイン村周辺が持統天皇のお宿(行宮)であったと言われる阿胡(現在の阿児=志摩市)だと知った僕は、一度は登ってみたいと思いつつ約1年、ようやく実現したという次第だ。

ま、コムズカシイ歴史はともかく、登山の場合、高見山と言えば厳冬期の霧氷が有名。
高見山=霧氷と言っても過言ではないぐらいだけど、シーズンにはこの狭い旧道にツアーバスが列をなし、頂上付近で大渋滞が発生するという噂もあって、“人ごみ大嫌い”&“なんちゃって”な我が家はそんな辛い時期じゃなく比較的気候の良い紅葉シーズンがベストシーズン!なのである


スタート前にみんなで“連れション”


“霊峰”だけに鳥居をくぐって登山スタート

こんな感じの疎林を進む

比較的近場ということでのんびり朝寝を楽しんで、9:30出発。途中のコンビニでランチを買い込んで(何と、家族4人で¥5000over!みんなスゴイ食欲だ。)近畿で有数の快適な峠道であるR166・高見トンネルから旧和歌山街道(R166旧道)へ。
ひび割れギザギザ落石ゴロゴロのワインディングを15分ほど走って高見峠に到着。2〜30台駐車可能な峠の広場はすでに満車なので、少し下った路肩にOUTBACKを停め、立派なトイレの隣の鳥居をくぐって登山開始。


木梶渓谷を望む

スタート直後は丸太の階段、そこからしばらくは鬱蒼とした樹林帯を抜け、歩きやすい美しい疎林の中の登山道を進む。
鋭鋒を最短距離で登る登山道だけに急傾斜は覚悟の上だったけど、ガイドマップにあったような直登ではなく、緩やかなつづら折れの登山道で思ったほど辛くはない。しかも真っ先に疲れたぁ〜!を連発するAzuが、美しい森に散らばる真っ赤な紅葉拾いに夢中になってどんどん先に行ってしまうのが有難い。


苔に包まれたゴロゴロ岩地帯を進む

風になびくススキが秋の風情

植物観察でしばしば立ち止まるAzu

雲が日射しを隠すと鬱蒼とした感じだけど...

10分ほど進むと視界がパッと広がる広場に出る。
ベンチが設えてある展望所である。ススキの間から望む高見山はR166から見るマッターホルンのような鋭鋒ではなく、色とりどりの紅葉を纏った優しい山容を見せ、まるで違う山のように見える。スタートしてほんの少ししか経っていないしほとんど汗もかかない程度なので、休憩せずにそのまま登山を続ける。


日が射すと華やかな雰囲気に包まれる登山道
(Azuは色とりどりの葉っぱを集めてご満悦)

展望所から公園のように明るく素晴らしいブナの樹林や苔むした岩がゴロゴロしている中を急登して40分ほど進むと、何と、もう山頂!へっ?ウソ?そんな言葉が出るほどのお気楽なピークハントなのである。
楽して登っただけに達成感はあまりないけど、さすが独立峰!室生火山群の山々や大峰山系、大台の山並など360°の大パノラマを楽しむことができる。もちろん、展望台から上は色とりどりの紅葉が始まっていて、今回の一番の目的である“紅葉狩り”を十二分に堪能できて素晴らしい気分だ。


すぐに山頂に到着

直下の避難小屋付近でランチ

頂上から望む室生火山群の山並み(中央が兜岳、右が鎧岳)

山頂は思いのほか狭いので、少し下ったところにある避難小屋のそばでザックを下ろしてランチタイム。吹き抜ける風が少し寒いほどだけど、中央アルプスの3000mに行こうとしてた僕らが紀伊半島の1200mの寒さに文句を言っちゃいけないので(笑)、少し我慢して手早く食事を済ませる。
食事が済んだら、もう人の多い山頂に用はない。すぐに下山開始である。


吉野方面の紅葉が美しい

登りがあれだけ楽チンだっただけに、登山道の両側に広がる逆光で色とりどりに輝く美しい森を眺めながらの下山はまるで遊歩道を歩いているかのような快適さである。30分ほどで展望所に到着。ここのベンチに座って遥か彼方にうっすらと見える大峯山脈の山並みを眺めつつ、お湯を沸かしてラーメンを食べる。


ランチが済むとすぐに下山開始

LEKIのポールを使って跳ぶように下る母と息子

高見山をバックにAzu

下山する頃には素晴らしい陽気に

赤目のような観光地ではないので、さすがにスーツやスカート姿の人はいないものの、みんな割と軽装で、おじいちゃんに連れられた小学生とか、幼児を抱いた若い夫婦とかも登ってきて、中高年に占拠された感のある他の山にはないほのぼのとした雰囲気が良い。
ラーメンを食べ終わった僕らは、再びザックを背負って下山開始。ここから登山口まではほんの数分。13:30登山口に到着して高見山登山を無事終えたのだった。


高見山中腹の明るく美しい広葉樹林をゆく


展望所でラーメンを食べてひと休み

ゴール!




秋の陽光を浴びて木梶林道を往く

登山口で一休みして、僕らは次なるフィールド、木梶三滝へと向かう。高見山登山口から舗装路を2kmほど下ったヘアピンカーブのエイペックスに木梶三滝周遊路の看板があり、林道のゲートを抜けて高見山とは全く雰囲気の異なる手入れの行き届いた針葉樹林へと進む。
ここから高度差約200mの谷底を流れる木梶川まではひたすら下り。帰りも同じだけ上らなければならないわけで、彼女の疲れを考慮して、Azuのザックの中身をMasaのBERGANSに移し、彼女は首からRICOH Caplioを提げてるだけのお気楽スタイルでスタート。


林道入口からはひたすら下りが続く

スタート時にすでにこんなに長く伸びる影

ゲートから数十mでキハラ滝へと続く木梶林道と別れて左へ。OUTBACKでも通れそうなほどよく整備された登山道である。身軽になって鼻唄まじりのAzuを先頭に、15分ほど進むと、「左:女滝・不動滝/白滝:右」の看板に到着する。
ここまで来ると明らかに三方向からサラウンドのように滝の音が地鳴りのように響いていてワクワクする。ただ、この登山道が整備されたのは2003年。真新しい看板はとても解りやすいんだけど、僕らが手にしている『三重の自然を歩こう』というガイドブックのルートとは、全く違うことにここまで来て気付き、正直なところ戸惑う僕らだ。

『入口の看板を写真に撮ってくれば良かったね。』なんて言っても後の祭りだ。しかも高見山登山の前に地形図&GPSをOUTBACKに置いたままにしてきたので、ここからは、標識を頼りに登山道を辿るしかない。
家族で相談の結果、まずは白滝へ。すぐに白滝展望所の看板に到着。ところがガイドブックに掲載されてる白滝展望所からの写真と、今目の前に見える風景が明らかに違う。どうやら新しい登山道の整備とともに白滝展望所の位置も移動したようである。
良く整備された登山道と解りやすい看板...歩きやすいことこの上なく、これ以上ないほど安心なルートなんだろうけど、自分たちが頼りにしている情報が現地の実情と全くズレている違和感...これは即、不安感に繋がるから不思議だ。
ともかく、僕らは白滝へ。


展望所から白滝の上半分が覗く

白滝の真上から滝壷へはそれまでの整備された道ではなく、木々の間を踏み痕を探しながらの45°を超える急降下となる。所々に張られたザイル(...と言ってもトラ模様の工事用トラロープなので過信は禁物)で身体を確保しながら、前日の雨で滑りやすい斜面を慎重に下ると、滝壷から5mほどの岩棚に降り立つ。白滝を拝む。


白滝(落差45m)
木梶三滝で最大の落差を誇る

上:白滝の滝壷に向かって進むMasa
下:豊かな水量に見とれるMasa

まるで不動明王の口を思わせる角ばった滝口からの落差45mを豊かな水量が盛大なしぶきを上げながら落ちている様は大迫力である。コアな滝マニアはともかく、一般にはほとんど知られていない素晴らしい滝を観る幸せ...野遊び冥利に尽きるのである。
ガイドブックによればここから木梶川沿いに下流の女滝へ行けるとのことだけど、左岸は10mもの崖になっていてルートが見つからないので、白滝展望所〜「左:女滝・不動滝/白滝:右」の標識と往路を辿って不動滝方向へ向かう。この時点でガイドブックは全くアテに出来ず、立派な登山道を歩きつつも気分は迷子状態...己の勘を信じて進む僕とMasaはともかく、女性陣の顔から笑顔が消えている。


渓流を渡れず立ち往生する女性陣を見守るMasa

ただひたすらつづら折れの登山道を下る。10分、20分、ひたすら下る。標識はなく、滝の音も消えて、ただ真新しい道を下るのみ。標識から30分ほどでようやく木梶川の水面が見えてきて、突然道が途切れる。とりあえず渓流に下りてみるけど、果たして不動滝&女滝が上流にあるのか下流なのか見当もつかない。


ルートをスカウティングするMasaと見守る両親

標識はもちろん人工的な痕跡すらないほの暗い渓流にポンと放り出された感覚。“かくれんぼ”で隠れているうちに友達がみんな帰ってしまって日暮れにひとり取り残された時のような...物悲しいような...ワーッ!って叫んで走り出したくなるような、そんな空気である。
そんな中、1人楽しそうに笑顔を絶やさないのはMasa。『左岸に道らしい痕跡はないね。ここを渡るのかなぁ?ちょっと見て来るね。』彼が小さな滝口にあたる岩を跳んで対岸へ渡る。暫くして...
『あった!標識があったよ!不動滝は上流みたいだ。』薄暗い岩陰に標識を発見したMasaが戻ってきて、圧倒的に濃密な自然の空気に怯えの表情を見せる女性陣に対岸へ渡るルートをレクチャーする。本来のルートは上流側の飛び石を渡るみたいだけど、今日は若干水量が増えて岩は水面下。

Masaに導かれ渋々沢渡りをした彼女らを待っていたのは、ほぼ垂直に切り立った崖のトラバース。オーバーハングの摂理岩に手を掛けて慎重に足を運び、危険箇所をクリア。ようやく踏み痕のあるルートに復帰する。


滑りやすく危険なガレ場をトラバースする

不動滝を確認するために岩を越えて進む

ここからしばらくは滑りやすい登山道を進むと、大岩の間からひときわ大きな水音が響いてくる。『不動滝かな?ちょっと見てくるね。』Masaが岩間をくぐりスカウティングに出発。『お〜い、不動滝みたいだよ!』でも、女性陣は全く興味を示さず。一番大きな岩の向こう側に進むと、そこに「不動滝」の看板。非常に見落としやすい位置にあって不親切。しかも女滝へのルートも全く不明瞭だけど、とにかく進むしかないってことで、「登山道」と書かれた巻きテープを頼りに一旦、川を離れ不動滝の左側(右岸)を巻くように樹林の中を進む。
木梶川支流シンベヶ谷(しんべがだに)沿いに続く登山道を進むと木梶川本流から大分離れた辺りで、登山道はシンベヶ谷と別れ急坂になる。尾根から振り返ると、白蛇のような八大竜王の滝が見える。落差50m、美しい段瀑だ。「シンベヶ谷の滝」「細白糸滝」との別名があって間近に行って見たい気もするけど、落石事故で頻繁に死者が出ていることから意図的に観光案内には一切触れられていないようだ(*現在は入谷禁止とのこと)。


Masaが先に対岸に渡ってルートを指示する

鎖に掴まって滑りやすい岩場を慎重に進む

八大竜王の滝を背に進む尾根道。渓流沿いはすでに日没を迎えたかのように暗かったけれど、尾根はまだまだ明るく、対岸を含め渓谷全体を見渡すことが出来る。渓流のそばは歩きづらい、さりとて渓流から離れると不安感が募る。実際には迷っているわけではないんだけども、道を見失った時の基本『迷った時は迷わず尾根へ』の意味が良く判る瞬間である。

しばらく進むと道は尾根から再び谷へと下りに入る。暗い渓谷の対岸(左岸)に女滝の方向を示す標識。先ほどよりもさらに幅が広く渡りづらい沢を渡る必要がありそうだ。ここで女性陣は顔を見合わせて行くべきか行かずにここで待機すべきか悩んでいる様子なので、まずはMasaが試しに渡って足場にする岩の滑り具合をチェック。『大丈夫!思い切って跳んで!それにほら、この標識の上に旧道が伸びているみたいだ!』彼の言葉に励まされるように女性陣がジャンプ!無事全員が対岸に渡り 鎖やロープにつかまりながら左岸の岩場を進む。


女滝(落差25m)に到着。女性陣に笑顔はない(涙)

岩場は昨日の雨でまだ滑っていて、一部はステップが10cmほどしかないのがヤバい感じ。さきほどのトラバースに比べれば水面まで3〜4mほどと高度感もなく、滑落しても命に別状はなさそう(笑)だけど、骨折は必至なので鎖を持つ手に力がこもる。沢渡りから10分ほど進むと左岸の崖の向こうに突然女滝の流麗な姿を現す。それまでの暗い回廊を抜けて現れた明るい場所だけに、感慨ひとしおである。
ただ、空を見上げると夕暮れが迫っている雰囲気がアリアリなので、あまりゆっくりしている暇はない。すぐにザックを担いで、再び足場の悪い回廊を通ってさきほどの標識へと戻る。
ここで迷うのは、往路を戻るか?それともMasaの発見した旧道らしき痕跡を辿るか?だ。往路を戻るとなると危険な沢渡りが3度も必要な上に尾根を巻いているぶん遠回りなので1時間は掛かってしまい日没までに戻れる可能性は50:50となる。対して、この旧道らしき痕跡が仮にガイドブックに記載されているルートだとすると、ずっと左岸を進むことになるので沢渡りの必要はなく、しかも新道まで10分程度だと推測出来る。


延々と続く鎖場。水平面の幅は10cm

『よし、Masaに賭けてみよう!』僕らは微かに残る痕跡を辿り、標識の裏手の急傾斜な崖を登る。すると、すぐに朽ち果てかけたトラロープを発見。この痕跡が旧道であることを確信しロープに導かれるままに登ってゆく...と、そこは、5ツ星レベルの危険な斜面(涙)で、万一足を滑らせると遥か下(たぶん4〜50mはありそうだ)に垣間見える渓流にまっ逆さま。
暫くすると自分の足元からグォ〜ッ!という激しい瀑布の音がわき上がってくる。
『ワハハハ...ねぇ、もしかしてこの音って不動滝じゃない?』
『もしかしなくても、そうだろうよ。』
どうやら僕らは不動滝の右岸の崖上を通過中のようである(涙)。僕やMasaにとって、自分ひとりなら何てことのないルートなのかもしれない。でも、今日はAzuがいる。彼女を守らなければ!と思えば思うほどに、徐々にAzuの目線になってきて恐怖感がつのる。


不動滝の真上を通過。Mamaのルートの下は20mの崖

ほとんど直角の崖をトラバース。落ちたら死ねます

『Masa、ママを頼む!』『ラジャー!』Masaの明るい声に励まされつつ、Azuの足元に立って万一彼女が滑落した時に受け止められる体勢を整えつつ、一歩一歩足場を確認しなが慎重に進む。とにかく油断は出来ない。
ガレ場を無事渡り終えたところで、ロープが不動滝に向かって伸びていることが判り、ここでMasaと再び相談。
『どうする?どうやらルートは不動滝へ降りているようだ。でも上の尾根には木立の途切れたラインが見える。あれが新道なのかもしれないけど保証はないし、さっきよりもさらに危険なルートだと思う。』という僕の意見に対し、『オレはこのまま登って行きたい。あれが新道なら薮漕ぎは5分、いや3分だろ?不動滝に降りてしまったら、沢渡りが2回必要になるし日没までに帰り着けないかもしれないし。』と答えるMasa。ふたりの意見は真っ二つに別れるけど、地図もGPSも持たず、しかも日没が迫る中でルートから外れることは危険すぎるので、安全策を採って不動滝へ降下を開始。
『慎重に!下を見ずにMasaに続け!』先頭を往くMasaに続いて進むMamaの向こうで斜面が途切れ、20m以上もの崖になっているのが見える。Azuを僕のザックに掴まらせてトラロープ沿いに降下し、何とか不動滝の滝壷まで到達。『はぁ〜、着いた!』


不動滝(落差25m)
滝口が小さく、姿が瀟洒な印象

上:不動滝の直下で再び沢を渡る(Mama落水)
下:右下半身をずぶ濡れにして進むMama

でも一難去ってまた一難。『道、ないよ。』
右岸の道はここで途切れ、激しく渦巻く滝壷直下の沢を渡って対岸の登山道に戻るしかないのだ。『よし、オレがやってみる!』Masaが水辺に近づく『ダメだ!、登山靴はメチャ滑るぞ。』そして四つん這いで岩にしがみついて渡る。何とか渡り終えたMasaが、手を置く岩はコレ、足を掛ける岩はソレ、と指導しつつMamaが渡る。ヒャッ!悲鳴を上げてMamaの右足が転落。すぐにMasaが手を伸ばし事なきを得たけど、問題はAzuをどうやって渡すか。彼女の身長では四つん這いでも届かない...よし、飛べ!僕が水辺に立ち、ジャンプした彼女を受け止めるしかないという結論に達し、勇気を出して跳んだ彼女を無事キャッチして全員が対岸に渡ることが出来た。『こ、これって2才のAzuを連れてエアーズロックに登った時以来の恐怖感だな。』僕の言葉にハハハハハ...と笑ってくれたのはMasaだけだ。そ、そんなに怒んなくてもいいじゃん(涙)。


小さな滝の上を跳んで渡るAzu

対岸に渡ったものの、登山道が見えるわけではなく、後は登山道の方向を見定めつつ、まさに道なき道を進む。大岩の門をくぐり、岩の斜面をよじ登った先に、見慣れた登山道の巻きテープを発見した時はさすがに全員でバンザイ三唱なのだ。ここからは、もう往路を戻るだけ!往路では躊躇した小さな滝口の沢渡りもピョンピョン渡り、無事、整備された登山道に戻ることが出来たのだった。


岩登り、沢渡りの連続。暗いし...

ここからは高度差200mをひたすら登るのみで、危険は全くない。谷底では足元が見えなくなるほどの暗闇だったのに、新道に出るとまだ明るい青空。さっきまでの危機感がウソのように平和な山歩きだ。
それまで怯えながら無言で僕とMasaの指示に従順に従ってきた女性陣だったけど、ここに来て急に態度が大きくなって、抗議非難の嵐(涙)。
『何でこんな場所に連れて来たのよっ!』
『ちゃんと下調べしないからこんなことになるのよっ!』
はいはい、申し訳ありませんでした、全てこのワタクシが悪ぅございました。でも、“お気軽ハイキング”ガイドブックの表記は“3つの滝は下流から順にめぐるとしよう。春の新緑、秋の紅葉もまた素晴らしい三滝巡りである”って書いてあるだけなんだもん。赤目四十八滝と同じレベルだろうなぁ...なんて勝手に解釈したオレも悪りぃけどさ。

ま、ヘッドランプ&ファーストエイドキットやツェルト、セーフティブランケット、2日分の食料などは持参していたけれど、仮に天候が悪化してたら?誰かが怪我をしてたら?それを考えると、大いに反省する必要がありそうだ。
今回の木梶三滝巡りの問題点は...

1.5年前のガイドブックを妄信してしまったこと。
2.高見山を登った後ということでスタート時刻が遅かったこと。
3.前夜の雨でルート全体が滑りやすくしかも渓流の水位が上がっていたこと。
4.地形図やGPSを持たず山に入ってしまったこと。

などなど、非常に問題点が多かったことを反省しなければならない。
そんな中、Azuの荷物を詰め込んだおnewなBERGANS HELIUM(たぶん僕のMountainSmithより重い)を背にカモシカのように軽い足取りで尖兵を務めたのMasaの成長にはちょっと驚かされた。今回、僕はAzuに掛かりきりで、ルートファインディングはほとんど彼に任せたわけだけど、後続を安全な場所に待機させてルートを何パターンかスカウティングし、最も安全なルートを選択する姿を見て、まるでガイドのようだなぁって感じた。

偵察のため先行したり戻ったりして、きっと彼は僕らの何倍も歩いているに違いないんだけど、いつも笑顔を絶やさず、不安そうな女性陣を励まし続けた彼には大いに助けられたのだ。
女滝からの帰り道、このまま往路をピストンすると日没を迎えてしまうという状況下で、彼が下した旧道をショートカットして時間を稼ぐという判断は必ずしも正しかったとは言えないのかもしれないけど、迷うことなく素早くショートカットを決めた彼の自信に満ち溢れた態度には異論を挟む余地がないほどだったし、その結果生じた危険への対応は判断が素早くて、僕は正直“負けた”と感じつつ羊のように大人しく彼の指示に従うしかなかった感じだ。(僕が安全策を採って不動滝への降下を決めずに、彼の言う通りさらに踏み痕?らしきルートのトラバースを続けていたら、さらに30分は短縮できた。ま、そのせいで不動滝を間近で見られたので良かったんだけども)


ようやく分岐点へ到着。ホッと一息つくリーダー


帰り道に立ち寄ったホテル・スメール。迷岳の前峰・飯盛山のシルエットを望むちょっと薄暗い露天風呂に入ると、岩風呂の縁に逆三角形に引き締まった体型の先客がひとり腰掛けている。『こんばんは。』声を掛けると『あ、パパ?』それがMasaだと判った時の軽いショック、そして喜び...まだまだ現役、負けてたまるか!という気概とは別の不思議な感覚が僕を包むのだ。
『ねぇ、見た?Masaの●●♪。アナタよりも大きいのよぉ〜ウヒャヒャヒャヒャ』『・・・』
ま、負けてたまるか!(涙)

 

 

 
今回のコースマップ(一部改変)

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