WWW.PAPAPADDLER.COM


FLAME LAYOUT

 

 

 

 

 

 

June.2005 part.1

 

 

 

 


空気を含んだ水に浮力を失い沈み込むCAMPER(でも満面の笑み!)
でも、この次にもっともっと楽しい瀬が待ってるとは知る由もない。
 

 

6月4日 そう言えば“お父さんだけの”大井川♪

早くも6月。紀伊半島の各川はいよいよ鮎釣り解禁となり、カヌーのダウンリバーは一旦お休みである。さて、サイクリングや登山の季節だぁ〜!そんな気持ちで何気なくtakabooさんのDIARYをチェックしていると、なんと大井川の塩郷ダムの上流の解禁は7/1との情報が!これを見て僕のカヌーなエモーションは再燃!(笑)しかも...『今週末は、カヌーのジャパンカップが八木キャンプ場であるので、この大会に合わせてダムが放水するはず。と言うことは普段下れない、千頭のさらに上流もDR出来るかも・・・こんな魅力的な追加情報もいかがでしょうか?』というレスが付いてしまったから、さぁ大変!詳しく聞くと、ジャパンカップ開催に合わせた放水量は毎秒12t!ここのところ最低放水量である2t続いてたから、実に6倍もの流量となるわけである。毎秒12tという数字、あまりピンとこないので、資料をひっぱり出して調べてみると、宮川本流(*伊勢道直下・岩出観測点)の平水時流量が15.1t/s。それがたかだか10mの渓流にドッと流れるんだからそりゃもう楽しくないわけないってことで、「ダウンリバー収め」の前言撤回(笑)。...と、そこへtakaさんから電話。
『ワタシは行きますがakiさんどうします?もし家族で行かれるのであれば、ワタシは遠慮して別行動しますが...』『ワタシ、行きます。ひとりで行きます。』
そんなわけで2日前になって参加決定なのである。


5:30出発で8:30に千頭駅前に到着

takaさんとの待ち合わせは9:00千頭駅前の河原。OUTBACKにCAMPERを積んで5:30出発。伊勢道〜湾岸道〜東名と乗り継いで刈谷HOのコンビニで昼食の買出しをした以外はノンストップで3時間走り続け8:30に千頭到着である。
ジャパンカップに合わせた放水は5:30に始まっているらしいけど、まだ千頭には水が届いてないようで、ダウンリバーは全く出来ない感じの流量。大丈夫かなぁ?ちょっと不安に思いつつ待っていると8:50takaさんのミストラルが姿を現す。挨拶を交わして、そのままもうひとりの参加者・KICHIさんの待つ両国吊橋へ。
初対面のKICHIさんだけど、お互いにホームページで予習してる(笑)ので初めてって感じが全然しないのが不思議だ。
『さて、どうしましょう?』
実は今日の予定はまだ全く決まってなくて、両国吊橋のたもとで男3人があ〜でもないこ〜でもないと今日下るコースの打ち合わせ。

ま、僕は千頭〜駿河徳山を3回下ったことがあるだけの大井川初心者なので、お二人の話に耳を傾けるだけなんだけども。
この時点の天候は薄曇。暑くもなく寒くもなく、しかも風もない(嬉)絶好のダウンリバー日和。ただ、天気予報によれば、日本海の二つの低気圧に冷たい空気が流れ込むせいで午後の天気は不安定。場所によっては激しい雷雨の恐れあり、とアナウンスされている。家族が同行するなら状況の悪化に備え迷わずコースを短く区切る“尺取虫方式”を採用するところだけど、今日は3人ともが“守るべきものは自分の命と操だけ”(笑)の気軽なソロ。雨が降ったからって青ざめる柄でもないし、雷が鳴れば橋の下で停滞すればいいやってな気楽な考えなので、さほど綿密な計画は不要。結局、八木キャンプ場・ジャパンカップのコースのゴール地点をスタートに青部駅前までの16kmを下ることに決める。そうと決まれば早速3台のクルマを連ねてゴールの青部へ移動。ここでカヤックをtakaさんのミストラルに積み替えてKICHIさんのクルマをデポして川沿いをスタート地点へ向かう。


takaさんとともに両国橋へ

スタートはJAPAN CUP開催中の八木キャンプ場

放水された水がやっと届いたのか、道路から見える大井川が先ほどまでの澄んだチョロチョロな流れではなく、グリーングレーに濁った水がゴーゴーザバザバと豪快な感じで流れている。うっしっしっし...スタートする前からニヤニヤしちゃう僕らだ。
9:30八木キャンプ場に到着。
キャンプ場すでにジャパンカップの関係者の遠征用マイクロバスがずらりと並び、かなりの盛り上がりをみせている。さすがは全日本クラスの大会!そんな印象だ。僕らは『ごめんやっしゃ!』とその間をすり抜けてコースのゴール下にクルマを停める。
クルマからカヌーを下ろし、川べりに運んで装備をセッティングする。さすがお父さん3人は手馴れたもの。到着から20分ほどで準備完了!
目の前を相当な速さで流れる12tの濁流に久々にヘルメットを被って(笑)、10:00ジャストにダウンリバースタート!

 


今日の装備

 

川面に漕ぎ出すと、スタートから100mほどは狭くストレートな流れが続く。覆い被さるかのように迫る高い両岸に挟まれた灰緑の流れが一種独特の景観。ところによっては20km/h近い流速のせいで、それでなくても十数mしかない川幅がさらに狭く感じる。100mほど流れると早くも一つ目の瀬。正真正銘のClass.2...気田川の高圧線の瀬が1m増水して倍の長さになったような隠れ岩だらけの瀬だ。
瀬に入ると放物線状の1mほどの落差があり、その直後に流れは岸壁にダイレクトにぶつかって左へと曲げられている。
瀬の入口から岸壁に盛大な返し波が巻き起こっているのが見えたので安全と判断、流れのパワーを推し量る意味も込めて本流ど真ん中にフネを乗せてみる。隠れ岩地帯を越えたところで、オフサイドにクロスドロー...へっ?曲がらない?頭に?マークを浮かべながらそのまま岸壁にまっしぐら(涙)。


カヌー競技に合わせてダム放水毎秒12t!笹濁りの水

スタート直後、いきなり瀬の洗礼!(右に見える白い点はOUTBACKとミストラル)

返し波にボヨン!と返されて恥ずかしさで苦笑いするしかない僕である。見た目から気田川の高圧線の瀬の2倍程度を想定していたけど、実は想像以上にパワーと流速があるために、少し早めのタイミングでパドルを入れてたのではちょっと遅すぎるよう。ここは返し波があるからいいけどアンダーカットだったらフネを壊すのは確実なので、少し気をつけないと!...2m増水の熊野川レベルのタイミングで操作する必要がありそうである。

最初の瀬を越えてからの大井川もなかなか手強い。川にはそこに隠れ岩が存在することを示すアップストリームVの白波が無数に渦巻く。透明度が低いために直前まで隠れ岩の深度が判断できないので、とりあえず全ての白波を避けるための細かなパドルワークが必要とされ、まったく手を休める間もないのだ。でも、この忙しさが実はメチャ楽しい!最初は大事をとって大袈裟に迂回してたけれど、慣れてくるといかに小さなパドルワークでスレスレで岩を避けるか、なんて楽しみを覚え、リズミカルにパドルを動かして岩をクリアしていく様が、まるでシューティングゲームのような感覚だ。フフフ〜ン!意図した通りにコース取りできると思わず鼻唄が出てしまう(笑)


ワイルドな雰囲気の大井川上流部

川の岩が全て隠れ岩化している

数百mごとに現われるClass.2の瀬。どれも楽しむに充分な長さとカヌーを軽々と持ち上げて飛ばすパワーがあって、バッコ〜ン!バッコ〜ン!と水面を叩くバウがその度ごとに撥ね上げる水の塊を頭から浴び、カヌーのガンネルを飲み込むように両舷から流れ込む水流に下半身を洗われつつ大波のピークを狙うのは最高に楽しい!このクラスの瀬であっても、フラットボトムのフネってのは怖がって手を止めたりしなければまず沈に至ることはないわけで、要するに楽しんでいれば特に危険はないのである。


正真正銘のClass.2が続く

左岸に川にまで至る大きな崖崩れの跡。
スタートポイントからワイルドで魅力的な景観が続く(川もワイルドだけど...笑)けど、カメラを構えているヒマもない。今度下る時はバウにカメラを固定してリモコン撮影にしなきゃな、そんなことを考えていると右岸沿いの道路が県道と合流する地点にもClass.2の瀬、グレーの橋の手前にもClass.、...まだスタートしてほんの10分なのに、2級の瀬が3箇所!自他共に認めるチキンパドラーの僕でさえ、思わずホワイトウォーター派に転向したくなる楽しさだ。
ただ、カヤックのKICHIさんや波を被りづらいモダンスタイルのCASCADEに乗るtakaさんとは違い、僕のCAMPERは波をもらって簡単に大量の水が浸入するので、瀬の度にビルジポンプでキコキコジャージャー排水作業が欠かせない。


写真を撮ってる場合ではないけど...

瀬を越える度に水抜きが必要

流れが左へ向きを変え、それまで川に沿うように走っていた県道と離れて、常に視界にあった無粋なガードレールが見えなくなると、大井川は完全に人工物の見えないV字谷沿いの中を流れ始める。
特に流れが変わるわけではないけれど、人工物が見えないことで一気に手付かずの自然の中に飛び込んだ感覚が僕を包む。大袈裟かもしれないけど“ここからはもう文明が自分を守ってくれないな”という緊張感とでも言おうか?身を守るためのアンテナがピンッと立つ感じ...野遊び愛好者にとっては最高の場面である。
ところがすぐに人工物である赤い吊橋が見えてくる。自然豊かな奥大井と言えども、ここは北海道でも紀伊半島でもないわけで、やはり人の営みが色濃くあるんだなぁって今更ながらに感じる。
ま、同じ人工物でも吊橋は別格。美しい里山や棚田と同種の自然に溶け込んでる風情が良い感じなのだ。


赤い吊り橋が見えてきた!

吊橋のClass.2の瀬を子供に戻ってヒャッホー!などと叫びながら通過すると、本流は右岸スレスレを左にカーブする。ちょっとした落差の先には、古座川や気田川によくある倒竹のストレーナー。ちょっとだけ本流からインコースにフネをずらせ、3人とも簡単にクリア。
倒竹のストレーナーを過ぎ大きく右カーブを取ると、その先に右カーブを伴った長く段差の大きな瀬が見えてくる。大増水の宮川・神瀬の大岩6連発!みたいな雰囲気で、先頭に飛び込んだKICHIさんの姿が2度3度と波間に消え、最後はストンッ!と落下する感じで姿が消えた後、数秒間神隠し(笑)...相当の落差がありそうだ。


吊り橋の下流は延々と続くワイルドウォーター!

次にtakaさん。勇敢にも瀬の入口でバウドローを入れて一番波の高いルートにカヌーを導き、渾身のフォワードで大波へ!バゥンッ!バスゥン!激しい瀬音の中でもCASCADEが大波をぶっ潰す音が50mほど離れた僕のところまで響いてくる。あのボリュームのあるフネが木の葉のように激しくピッチングし、ハル内側のクリーム色や積み荷の防水バッグ、そしてtakaさんの頭頂部が見える。まるで真上から見ているよう...あのCASCADEが明らかに水面から立ち上がっているのだ!おおっ、すげぇ!久々に見たClass.2+!
takaさんに続いて僕。ロデオのような複雑な大波でバランスを崩さないように膝と腰をしっかりとカヌーに固定して瀬に進入。一発目の波で少し左に振られたバウを極端なバウドローで修正したところまでは記憶があるけど、その後はもう無我夢中。背筋を伸ばして最も高い波を選んで漕いでいた(つもり)にも関わらず、低めの波頭が僕の頭の横を通過していったのが見えたから、相当に高い波だったのだろう。


瀬だけでなく周囲のスバラシイ自然にも目を奪われる!

沈することなく無事漕ぎ抜けたものの、CAMPERは1/3ほどまで水に満たされ、スウォートに固定した防水ダッフルやフロストバッグがゆらゆら浮かび、膝立ちポジションの僕の股間は時折カヌーの中で起きる波に洗われピチャピチャひんやり(涙)。あと100mこの瀬が続いてさらに水の浸入が続いたら、非力な僕にこの重い水ブネをコントロールすることは出来なくて、あえなく沈してたんだろうな...そんな瀬だった。
(*↑の写真はこの瀬ではなくただのClass.2です。写真なんて撮ってる余裕はアリマセン...笑)

 


ウッシッシ...ちょっとだけスリルを感じる程度のほど良さが絶妙!

『いやぁ、スッバラシイ瀬でしたねぇ〜!かつての2m増水の熊野川以来ですよ〜!』と叫ぶ僕に『いや、マジで長瀞の小滝以来の波の高さでしたよ!』と興奮気味に答えるtakaさん。さっきまでの瀬がウソのように静かな長い瀞場(厳密な意味での“瀞場”はここが初めてかも?)で並んで流れつつ、それぞれ自分の体験した最大級の瀬を引き合いに出してお互いの健闘を称える。
(でも、この波の高さを予め知ってたら絶対に積み荷を河原に下ろして涙ぐみながら飛び込んでるか、若しくは手が痛いとか腰が痛いとか風邪気味だ、とか言って逃げちゃってるだろうなぁ...これが共通の認識...笑)。


16ftを腕1本で振り回す快感に酔ってる表情

瀞場が終わり、またまた現れるClass.2を立ち上がってスカウティング...ヒャッホ〜!そんでもって、隠れ岩だらけの瀞場でビルジポンプをキコキコ...これを何度繰り返しただろう?Class.2は5回や10回じゃなくて、瀞場と言っても流速がかなりあって油断してるととんでもないデカさの隠れ岩が突如現れボトムをかすめたり時にはぶつかってバゴンッ!ってな音を上げたりするわけで...もう楽し過ぎる!
右岸をオモチャのような大井川鐵道井川線のアプト式列車が通過するのを見送りつつまたまた瀬を越えると、右岸に土本駅の駅舎が姿を現す(11:05)。元々この井川線は長島ダムの建設の際、資材を運ぶために敷設された線路を大井川鐵道が買取って観光用に利用しているわけなんだけど、ここに駅があって地名があるってことは人が住んでるんだなぁ...駅から川へカヌーを下ろすことも容易そうだし、ここの駅前に別荘が欲しいなぁ、なんて感じる僕だ。

左岸に珍しい苔に覆われた見事な岩壁が現れ、うっとりと眺めていると、間もなく右手から寸又峡から流れ来る寸又川が合流する。
ここからは一気に谷の幅が広がって、千頭から下流の大井川に良く似た景色になる。狭い瀬とその先に構える左への直角カーブ...気田川によくあるタイプの瀬を思い通りのコース取りで抜け、赤い橋梁の寸又口橋をくぐると流れの幅が3倍にも広がる。
本流は左。
KICHIさんはカヤックの機動性を生かして左の本流へ。ただ、瀬の終わりに水面から岩がいくつも突き出していて、どうもその幅が1m未満にも見える。そこで岩にぶつかって横向きになったら...その先の岩壁の餌食だなぁ...そう判断した僕は本流の2/3ほどの幅の右の分流へ。流れに乗った瞬間『akiさん、だめっ!』後方からtakaさんの叫びが聞こえるけど、もう遅いっす(笑)。


でも、進路を塞ぐ岩も随所にあって沈すると結構ヤバい。

正面でKICHIさんが大きな落差があるサインを出してくれてるけど、“カヌーは急に止まれない”わけで、そのまま岩が作る滝状(...って50cmもないのよ)の段差を無理矢理通過。徒にカヌーを傷つけるのはヨロシクないのでtakaさんはライニングダウン。(結局、今日は16kmでライニングダウンしたのはココだけだった...スバラシイ!)


美しい苔に覆われた岩場。向こうは寸又川合流点

両国吊橋手前の瀬。思いの他波が高い

ポッカリ開いたトンネルの出口から伸びる県道を左手に見ながら、左へ右へと快適な(?)直角カーブの瀬を抜けると(実はこの瀬、クルマから見る中で一番凶悪な瀬に見えていた。)両国吊橋手前の左直角カーブが見えてくる。
takaさんから沈ポイント(笑)だと聞いていたけど、水量が多い今日は波が高くて痛快そのもののたっのしい瀬!最後に見落としてた小さなピラミッドみたいな三角の岩が顔を出してて、それがカヌーとパドルの間を通過した時はちょっとびっくりしたけど、何とかクリア...ライブカメラで見慣れた両国吊橋に到着(11:37)である。


慣れると隠れ岩の間を抜けつつカメラを構える余裕も

ライブカメラの在り処を探したりしながら両国吊橋をくぐり、大きく右にカーブすると左岸に立ち並ぶテトラ。
流れはどうしてもテトラの方へとカヌーを運ぶので、バウを引っかけないように注意しながら流れると正面に川根大橋が見えてくる。
この辺りでやっとホッと一息ついてパドリングポジションをニ−リングからシッティングに変えて寛ぐ。すると見る見る暗くなった空から落ちてくる大粒の雨!川根大橋までの鏡のように凪いだ水面に大きな波紋が広がる。
『雨ですねぇ〜!』
『いやはや、参ったなぁ〜!』
そんな言葉を口にしながら、お父さんズは誰ひとり慌てず騒がずニコニコと雨を浴びる。これまでの瀬に次ぐ瀬でスプラッシュの洗礼を受けまくった僕らにとって雨粒なんて、どうってことないのだ。風もないし(笑)

川根大橋が視界全体に広がるまでに近づいたところで瀞場は終わり、たぶん重機で人工的に掘った水路へと流れの全てが集中する。川幅はスタートポイントのジャパンカップのスラロームコースとほぼ同じ15mほど。川底が複雑な形状なのだろうか、かなり大きく複雑な波が川幅いっぱいに広がっている。
ストレートなので特に漕がずにパドルを上げて流れに乗っていると、バウが何かに蹴飛ばされたように右に左にと振られる...深いロールと細かなピッチング...いわゆるダッチロールってやつだ。慌ててパドルで水面をブレースすると揺れが抑えられ、そのまま水路を通過。
いつものスタートポイントの千頭の河原をそのまま通り過ぎる。普段なら水深不足で細かくターン&サイドスリップを余儀無くされる浅瀬も今日は存在せず、岩盤に真直ぐぶつかる右カーブも軽くアウトにリ−ンさせるだけで難なくクリア。


千頭手前の川根大橋からの狭い水路はかなり高い波が続く

トリプルブリッジまで2時間!

トリプルブリッジ下流でランチタイム

バウを右に振ってエディをかすめると目の前にトリプルブリッジが見える。赤い橋梁の千代橋の手前からは再び人工的な水路。かなり傾斜のある流れだけど、いつものような橋脚へダイレクトにぶつかる流れはなく、流れに乗って3つの橋を楽々通過できる。
橋を過ぎたところで、takaさんが左岸にCASCADEを着岸。計ったように谷間に正午を知らせる中学校のチャイムが鳴り響く...時刻はちょうど12:00、お待ちかねのランチタイムだ。


ランチポイントにて“お父さんズ”
(*takaさんは合成写真です...笑)


約1時間の休憩の後、午後の部スタート!

河原に座ってラーメンを作りつつ、フロストバッグから取り出したおにぎりを頬張り、ほっと一息。そう言えばスタート以降、瀬に次ぐ瀬でのんびりカヌーを並べて浮かべながらお喋りを楽しむなんてことが出来なかったので、KICHIさんと向き合って話すのは初めてみたいなもの。第一印象の“好青年”ぶりは会話を重ねても全然変わらず、とても良い感じで“お父さんだけの”“川”端会議を楽しむことが出来た。

一時間足らずをトリプルブリッジ下の河原で過ごした後、また雨がパラついてきたので慌てて装備をカヌーに積込んで午後の部をスタート(12:55)。
ランチポイントから中学校前の河原まではストレートで痛快な早瀬。千頭からスタートするとちょっと気を遣う中学校下の鋭角の右カーブも、今日の僕らには全く危険を感じない。class.1の瀬を1つ過ぎると、いよいよ岩場のS字カーブの瀬に差し掛かる。

ここから千頭の市街や道路から離れた大井川は大自然の中を大きく屈曲を繰り返す穿入蛇行河川らしい流れとなる。

(穿入蛇行=生育蛇行。かつて平野上を自由蛇行していた河川が浸食基準面の低下によって下刻するようになったため生じる蛇行。四万十川や大井川の中流などのような山地や丘陵地などに発達する。)

それに伴って両岸は高くなり、平地が少ないこともあって自然のままの素晴らしい景色が広がる。
『そう、コレコレ!これぞ大井川!』
僕はひとり呟く。これまで数え切れないほど多くのフィールドで遊ばせてもらってきた僕だけど、頭の中にそれぞれの場所にそれぞれ象徴的な景色が残っているものである。そんな中、“大井川”と聞いて僕の頭に思い浮かぶのが、この場所というわけだ。
まずは大岩の右にカーブをとって...と心の準備をしていると、なんと、本流が高い河原だった岩の左側をショートカットしてるではないか!!


三ツ野の岩壁のS字は痛快なストレートな瀬に変わってる!

S字のひとつ目のカーブが無くなれば、それはただのカーブ(笑)なわけで、全く特別なパドリングが必要のない“ただひたすら快適な”瀬へと変貌していたのだった。


岩壁の瀬をゆくtakaさん&KICHIさん

弧というより円を描くように大きく左に回り込む流れを進むと、正面に柳崎大橋が見えてくる。ここからは思いのほか川床の傾斜が上がるのか、流れのスピードがぐっと増して遠くに見えてた橋が見る見るうちに近づき、ちょっと戸惑いを感じてしまうほどのスピードだ。


両岸の自然が色濃いのも大井川の素晴らしさだ

右岸に崎平駅を眺めながら進むと、川の流れがまた細い水路のようになる。
広い河原に道路のように伸びる数百mもの早瀬...川底が単純なのか白波が立つこともなく、ボトムをチャポチャポ鳴らしながらただひたすら下るのは、いかにも“ダウンリバー”って感じだ。
『もうそろそろですかね?』
『ええ、もうその先です。』
僕とtakaさんの会話。“その先”に何があるかと言えば、前回takaさんがマサキチくんと下った時にベスト1の波が立った瀬なのである。


柳崎大橋の早瀬をゆく

広い河原を一直線に流れる早瀬は痛快そのもの

『うっしっし...タマリませんな!』
『ひひひひ...』
気田川のドクターロックにも似た左岸から大きく張出した木々の下をサラサラ流れる緩やかな右カーブ。この時の僕らは、きっとお年玉を握り締めておもちゃ屋に向かう子供みたいに少し抑え気味の、でもどうしたって我慢できない...そんな笑顔を浮かべて漕いでいく(笑)。

右岸の美しい河原に一旦カヌーを上げ、歩いてお目当ての落ち込みをスカウティングに向かう。
『あれ?こんなに小さかったっけ?』takaさんが呟く。いやいや、決して小さいわけじゃなくて今日ここまでの楽しすぎる瀬を経験した僕らの目には小さく映るだけのこと。まずは僕が撮影隊として落ち込みの前でカメラを構え、takaさん、KICHIさんの順で瀬に入る。

 
この程度の波には驚かない!

 

確かにバウが持ち上がって水飛沫を飛ばす迫力の光景ではあるんだけども、僕の口から漏れるのは『おおっ!』ではなく、『うんうん』もはや、驚きはナッシングなのである(笑)
最後に僕が大波を狙って瀬に突入。バウが波にぶつかった瞬間、体重を後方に移して大袈裟にバウを浮かせて“フォトジェニックakiちゃん”を狙うも、タイミングが合わずに頂点で前傾してしまい飛型点はちょっと伸びず(笑)。

ま、冷静に考えるとオッサン3人がウハウハキャーキャー写真を撮りっこしてる様はちょっと誰にも見られたくない気もするけど、とにかく撮影タイムは無事終了。『さぁ、あのカーブを曲がったらゴールですよ!』takaさんの号令で今回のコース最後となる大井川鐵道の鉄橋を抜け、右岸から波が被さるようなClass.1〜Class.1+の痛快な断続する瀬をクリアし、青部の河原に到着する。


青部駅前の河原にゴール!(KICHIさん)

まだ漕ぎ足りなくないですぅ?残念そうなtakaさん

時計を見ると、まだ14:00。家族連れの水遊びカヌーだと、そろそろ午後の部スタートってな時刻なわけで、「せめて駿河徳山までのコース設定にしとけば良かったかな?」という気持ちと、「いやはや良く漕いだ!もうお腹イッパイ!」という気持ちが半分半分。ま、“ご飯もカヌーも腹八分”という古くからの諺もあることだし(笑)、カヌーを河原に上げる頃には、僕の心は充足感に満たされて、針でつついたらパンッ!って破裂しそうな感じなのだった。


いえいえ僕はもう充分!でも、あと10kmは漕げるなぁ

カヌーを担いでると景色はこんなふうに見える(笑)

それにしても、八木キャンプ場から青部16kmをランチ、水抜き作業、撮影(そういえば今回のダウンリバー、楽しすぎてランチ以外に休憩を一度も取らなかったなぁ...笑)込みで4時間ジャスト。実質川に浮かんでたのはたかだか2時間半ぐらいなわけで、ってことはアベレージ6.4km/h!そりゃ楽しいはずだわな(笑)
西の空に何やら怪しげな黒い雲が湧き上がってるのが見えたので、増水に流されたり風に吹き飛ばされないようカヌーを河原の一番高いところに運んで裏返し、その中に装備一式を収めた僕らは、さっさとスッポンポン着替えを済ませカヌーイストから普通のオッチャンに変身。KICHIさんのMPVでスタートポイントの八木キャンプ場へと向かう。


突然降り始めた雷雨にカヌーを伏せて装備を隠す

 

今回のスタートポイントはCanoe Japan Cup 会場

八木キャンプ場はまだまだジャパンカップの競技が行われていて、僕らはなんとな〜く自分たちと同じ“匂い”のする人たちをかき分けてコースサイドでジュニアのK-1スラローム競技を観戦する。

『いやぁ〜、ココってただ下るだけでも充分に楽しそうですねぇ。』
『いやいや、沈してあれぇ〜ですよ、やっぱ。』

ここで競技に参加した経験のあるカヤッカーのKICHIさんはともかく、レクリエーショナルカヌーイストの僕とtakaさんは素晴らしいテクニックを駆使してゲートを自由自在に漕ぎ上がる(上がるんです!)MasaやShiorinと同世代の選手たちの妙技をただただ感心して見るだけ。小柄な選手がスタートすると、もはや親の目線で声援を送ってしまうのだった。
『さて、そろそろゴールに戻りましょっか?』

コースサイドを離れた瞬間、突如雷鳴が轟き、空から大粒の雨がバスッ!バスッ!
『ヒェ〜!』慌ててそれぞれのクルマに戻ってジャパンカップの会場を後にした。
ほどなく青部に着いた僕らは、ソロ用のミニマムな装備一式をクルマに積み込む。カヌーを運ぶ頃になって上流から僕らに追いついて来た雲のせいで雨が降り始める。でも大丈夫!僕にはCAMPERという名前のちょっと重い傘があるから!(笑)。
全ての道具を積み終えたところで小降りになった雨(涙)。
『またお会いしましょう!』
『今度はどこかな?』
KICHIさんとはここでお別れだ。

16:00、青部を出発。takaさんとR1で掛川へ抜け、そこから東名高速を通って家路を急ぐ。途中、岡崎IC手前で事故渋滞に巻き込まれて1時間ほど動かなかったけど、今日の僕は何があっても怒らない。


ジュニアの見事なパドリングを観戦する

大井川沿いを金谷へ

東名は岡崎IC手前で大渋滞

突然右頬に張り手を喰らわされても、『いいよいいよ、こっちも殴ってみる?』と左頬を差し出す...そんな気分(笑)。素晴らしい休日は人生のビタミンC!“お父さんだけのダウンリバー”を終えた後、僕のココロとカラダはきっとすんごく活性化されるんだろうなぁ〜...そんなことを感じつつ、やっと流れ始めた雷雨の東名高速をジェイク・シマブクロを聴きながらゴキゲンドライブする僕なのであった。

 

 

 

June.2005 MENU
 

 

アンケートにお答えください!

 

_  _  _

 

Copyright 1998-2005 Akihikom.All right reserved

paddler@mac.com