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November.2004 part.1

 

 

 


局ガ岳(1029m)“三重県の山(山と渓谷社)”より

 

11月3日 局ガ岳登山(三重県・飯高町)

以前から気になっていた山だった。
先月登った倶留尊山から遙かに遠くに見えた山頂の尖った“カッコいい”山。それが局ヶ岳なのである。久々に久々に休めることになった祝日(僕は本来は祝日はお仕事なのだ...涙)、アキヒロ家がその局ヶ岳に登ると聞いてご一緒させてもらうこと決める。
伊勢湾から見ると右から掘坂山、白猪山、局ヶ岳と3つの山、いわゆる“伊勢の三ツ星”が並んでいて、その中で「伊勢槍ヶ岳」と呼ばれている局ヶ岳は一番目立つ。地元では「嶽山」(だけさん)と呼ばれることからも判るように古くから信仰の対象でもあり、宿願あってこの山に入った若い局(平安時代に宮中などへ仕えた女官)がそのまま行方不明になり、山容がその局が十二単衣を着て座っている姿に似ているのでのちに局ヶ岳と呼ばれるようになったとのことだ。


標高280mから旧登山道で登山開始

沢と並んでほぼ真直ぐに登る

9:30飯南町のコンビニに集合した僕らは、R167を西へ。
大きな登山道の看板で右折して、美しい山容を見せる局ヶ岳を眺めながら美しい林道をヒルクライムして局ヶ岳神社に到着。神社の脇にある駐車スペースにクルマを停めて、いよいよ登山の開始だ。CASIOプロトレックの高度表示は280m。1029mの山頂までの標高差は700m以上、しかも“槍ヶ岳”なお山(涙)。子供達の気持ちがキレないか心配なので、神社にお参りする。『子供たちが楽しく登れますように』(笑)

10:15、登山開始。神社から林道を少し上がると登山届けポストから左斜めに道が延びて、100mほどで舗装された高規格林道に合流する。ここを道なり(左)に進むと1995年に新しく整備された新登山道だけど、僕らは右の旧登山道へ。


手入れの行き届いた杉林をゆく

看板も何もなくて少し判りづらいけど、どうやらこっちかなって感じのガレ場の急坂を登り切ったところに「局ヶ岳登山道」という緑色の看板を発見。鉄製の階段を登っていよいよここからが登山道だ。
前回の台風でかなりダメージを受けたのか、真新しい護岸工事沿いの道は倒木や崖崩れがそこかしこにあって、注意が必要...というか、こんな急峻な場所にしては工事のやり方がズサンな感じかな?こりゃ壊れてもしゃぁないな、そんな印象だ。
台風に洗われて渓流の川底のようになった登山道は、手入れの行き届いた針葉樹林帯の中をかなり急な角度で登っていく。山道は杉の葉に覆われてフカフカのベッドのようでとても膝に優しい。
『あ〜、スバラシイ点火材!拾って帰りたいわぁ。』そんなともちゃんの言葉に『杉の葉っぱ見て、そういうリアクションする主婦はともちゃんぐらいよ。』とアキヒロ家は失笑(笑)。

家族だけだとものの5分で『あ〜疲れた!頂上はまだぁ?』と不平不満タラタラの子供たちもお友達が一緒だと、笑顔がキラキラ(笑)。Maakun&Koukunは『お先にぃ〜!』とぐんぐん山道を登ってあっと言う間に姿を消してしまう。Azu&Moeは何をそんなに話すことがあるんだろ?って呆れるぐらいにお喋りに夢中。とにかく大人はのんびりした気分で山歩きを楽しむことが出来て有難い。ただ、とにかく登山道は急峻。下りはおろか一息つく平らな場所もないほど。『ただひたすら登るだけの山』...どこかにそんな風に書いてあったけど、まさにそんな感じ。
山道と並行する渓流は、真っ直ぐに流れてまるで滝のようだし、かなりの幅で草木が一切なくて真っ白な岩や瓦礫が露出していて、台風の時の凄まじい流れは想像に難くない。実際山道を分断するような土石流の痕跡がいくつも見られ、そこを渡る時はひとりづつ素早く渡らないと、いつ落石があってもおかしくない状況で怖い感じさえするほどだ。


所々に土石流の爪痕が残る

 

新登山道との合流点からは広葉樹林が広がる

11月とはいえ晴天無風の状態なので、すぐに長袖が辛いほどに身体が暖まる。『その辺で一本立てましょか?』何度か急傾斜の山道脇で休憩を入れながら静かな杉の林のなかの一本道を登ること1時間半、さらに急な斜面を登り切ったところで新道との合流点に到着。


切り株の苔の手触りを楽しむ

明るく心地よい森を進む

合流点の尾根に上がると、ひんやりした風が吹き抜けて、体感温度が一挙に10℃ぐらい下がる感じ。火照った身体には一番のご褒美だ。

しばらく進むと山麓からずっと続いていたスギの植林地が、ヒメシャラやブナなどの低木広葉樹に劇的に変わる。それまでの針葉樹林は太陽の光が地面に届かずに少し暗い雰囲気だけども、ここからは足元までおひさまが届いて気分まで明るくなれる気がする...やっぱり雑木林はいいよなぁ。
地面を覆う落ち葉を踏みしめるとカサカサと心地良い秋の音。まだ遠慮がちに色づき始めた木々が、まるでお化粧を覚えたばかりの少女のような初々しい美しさを見せる。山道の右手はほとんど垂直の絶壁になっているので、ブナの木々の隙間から見える山並の眺めが素晴らしい。


赤帽A&Aコンビ

相変わらずどんどん先行して姿の見えないお兄ちゃんコンビ、そして落ち葉や道の脇にある紅葉を探してはキャー!カワイイィ!連発の妹コンビ、広葉樹林の何とも言えない心地良さの中をニコニコ歩くパパたち、実はちょっと体力の限界が近くて無口なママたち(笑)...それぞれがそれぞれの山歩きを楽しむうち、前方の視界が開けたなと思ったら、00:15、あっけなく山頂に到着だ。


局ガ岳(1029m)山頂

 

 


素晴らしい眺望を楽しみながらランチタイム

お天気も最高!

山頂は鋭峰らしくとても狭い空間。でも、先月の倶留尊山とは違ってマイナーな山なので先客は中高年の団体さんがひと組とカップルひと組、ソロの男性2人だけ。山頂からの景色は単独峰らしく電力会社の反射板のある東側を除いて360°パノラマが望めて素晴らしい。
到着するなり自分のディパックからおにぎりを出してパクついてる“いつでもハングリー”なMaakunを呼び寄せて記念写真を撮った後は、狭い山頂の一角に陣取って昼食の準備に取り掛かる。


山頂から三峰山方面を望む

延々と連なる山々

もうほとんど決まりごとのようにワンパターンでそろそろ新メニューを考えなくてはいけないんだけども、今日のお昼もマルタイ棒ラーメン(涙)。とはいえ、夏の川遊びだけじゃなく、この季節の山も身体が冷えるので非常に美味しいんだけどね。
食事を終えた後は、山頂周辺を探検に出かける子供達。大人たちは子供の相手から解放されてコーヒーを味わいながら寝転がったままのんびりとお話を楽しむ。1028mの山頂は山麓よりも6〜7℃は気温が低いのでフリースやレインウェアを着る必要はあるものの、晴天無風であることもあって快適な状態。ついつい長居してしまい、『そろそろ下ろうか。』と荷物をまとめ始めたのは14:00を回っていたのだった。

 


 

『寒っ!』11月の午後2時はもう夕方の雰囲気。
慌てて荷物をまとめて下山を開始する。山の風景に限らず、地球上の全てのモノは斜め45度からの光が差してる時が一番美しいものである。14:30の光はまさに仰角45度。色付き始めた木々の葉を透して漏れる太陽がキラキラと輝き、サワサワと心地良い音をたてる落ち葉の絨毯と相まって、まるで空気がベージュ色にでもなったかのような幸福感(笑)が僕らを包む。本当は下りの方が身体の負担は大きいはずなんだけど、登っている時のあの義務感のようなものから開放された僕らの足取りは軽い。


下山開始

美しい森をゆく

旧登山道との合流点を通りすぎ、帰りは新登山道を下ることにする。シングルトラックでほとんど直登な旧道に比べ、新道は距離は相当長いものの人が3人ほど並んで歩けるほどに幅が広く緩やかで良く整備されたつづら折れのコース。ただ、いかにも登山道!ってな周囲の自然にマッチした雰囲気には程遠く、ブルドーザーで無理やりに押し崩したような作りが少し残念ではある。1995年に整備されたとのことだが、各所でがけ崩れの兆候があって、将来この新道が原因で土石流災害が起きないのかと心配になった。とはいえ、段差もなく膝に負担が大きい下り道には最適な斜度で、体力的には楽なのは確か。


倒木に腰掛けて休憩するガールズ

少しだけ始まってる紅葉

終始渓流の水音がしていた旧道とは違って静かなぶん、5合目以下まで下りると麓の国道を走るクルマの音が聞こえてきたりするし、眺望も若干こちらの方が良いのかもしれないな。

『それにしても長いよなぁ。』単調なぶんやたら長く感じる新道を1時間半ほど下ると、椿の滝という看板が目に入る。登山道を外れて50mほど登るとそこには新道唯一の水場である椿の滝に着く。滝というには若干迫力不足だけど、暗い渓流を何段にも流れ落ちる美しい滝である。ここで喉を潤しながら暫し休憩した後、大きく捻じ曲がった面白い形の松が立ち並ぶ松林を通って30分ほどで局ヶ岳の地図看板が立つ新登山口へと到着した。


椿ノ滝で水分補給

新道はずっとガレ場

登山口から局ヶ岳神社までは高規格林道の舗装路を700mほど。ここも前回の台風による被害が甚大で随所に舗装の陥没や崖崩れが見られて、ひとたび雨が降ったらすぐに通行不能になりそうな雰囲気だ。『人間のすることなんて、たかが知れてるよね。』『たしかに。でも、この工事はかなり乱暴っていうか、自然と共存するんじゃなくて、自然を征服しようとする意図が感じられるよね。』『ダメだな、コレじゃ。』パパふたりは、そんなことを話しながら早くも暗くなり始めた林道をゆっくりと歩く。


夕暮れの登山道をゆく

笑顔のMamaたち

山道を6km近く歩いたというのに、まだ元気いっぱいでお喋りしながら小走りの子供たち。やはり友達と一緒だとパワーが違う!ただ、これまでと完全に違うのは小学6年生になったMaakun&Koukunが、そういう勢いだけではなく、山歩きにおける基礎体力で母親はおろか父親をも追い越したこと。子供達が成長したのか?それとも僕らが衰えたのか?...まだまだ衰えを認めたくはないから、子供達がぐんと成長したことにしておこう。それにアイツらは軽量デイパック、僕らは水4リッター&炊事セットが入った中型のザックだしね(笑)...そんな言い訳をしながらの山歩きは16:30、駐車場にゴール。茜色に染まった局ヶ岳を見上げながら僕らは飯高町を後にした。

 

  

 

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