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March.2004 part.4

 

 

 

 


晴天の宮川をゆく“Old Town Red”の母&息子

 

3月28日 Mama's PATHFINDER 進水式(宮川カヌーピクニック)

1996年にCAMPERを買ってから8年、去年の秋に新艇・PATHFINDERがやってきた。
これで我が家のカヌーは3艇となる。昨秋にキャンプinn海山で進水式を行うはずが当日は運悪く大雨洪水警報(涙)。これはきっと我が家のホームリバー・宮川の呪いにちがいない(笑)ということで、仕切りなおしの進水式は宮川しかないのである。


“Magic-o-carrier”

昨晩のうちに去年の秋にマジコさんの協力を得て作り上げた自作カヌーキャリア“Magic-o-carrier”をDiscoに装着し、3艇のカヌーを車載する。トラックやトレーラーでなく普通のクルマに5m級の3艇のカヌーを積むなんてことは、ちょっと普通じゃないんだけど(笑)、カヌーイストふたりが、あーでもないこーでもないと真剣に考えた逸品だけに、笑っちゃうほどに積み込みが簡単確実だ。

9:30、スキーに比べると随分ゆっくりとした出発。雲ひとつない青空の下、スピードを控えめにクルーズコントロールを100km/h巡航に設定してのんびりと走る。これ以上ないほど流線型のカヌーだけに3艇積んでいるのを忘れるほどに静か。
...ただ、3艇積みはかなり目立つようで、2艇の時はそれほど感じない追い越し車からの視線は痛いほどでちょっと恥ずかしい(笑)。

10:00勢和多気IC最寄の河原に到着。一応ダウンリバーの準備はしているものの、まだ“冬枯れ”で水量が少ない宮川を下ることは我慢大会になりそうなので、この河原をベースキャンプにしてワンダリングを楽しむことに決める。

ただ、この河原は川漁師さんの舟着き場でしかも橋の直下ということもあり、(トイレ問題、着替え問題等々)女性陣の希望でランチポイントを他に移すことになる。
家族がウェットスーツに着替えている間に、用意したステップを使用することもなく容易に3艇を水辺に下ろし、ロール・ア・テーブルやザ・チェア、タープ、クーラーバッグ、BBQグリル、そしてピクニックバスケットなどの道具を防水バッグに詰めて3艇のカヌーに積み込んでゆく。
3艇のカヌーの最大積載量合計はちょうど1t。家族4人の体重合計が180kgそこそこだから、800kg以上積める計算になるけど、今回は“家出セット”(ソロ用装備)中心のアイテムばかりなので軽々である。
(たぶんファミリー用装備である“夜逃げセット”の積載も問題ないと思う。これでいよいよ装備の小型化&軽量化の必要性の説得力がなくなるなぁ...涙)


我が家から30分の河原に到着

カヌーを始めて少し楽しさが解り始めた1994年頃、当時A&Fで買ったBill Masonのビデオ“SONG OF THE PADDLE”を観た。
その華麗な魔法のようなパドリングテクニック、カナダの手付かずの自然、映画のような美しい映像表現...見どころは数々あっていっぺんにその世界に魅了されたのだけど(今も時々観ます)、その中でも僕が特に惹かれたのは、Mason家の母と息子、父と娘の微笑ましい関係である。両親も子供たちもそれぞれがひとりでカヌーを操るテクニックと経験を持つ家族4人が2艇、あるいは3艇のカヌーに分乗して、母と息子、父と娘が力を合わせて激流を下ってゆく。いいなぁ〜。


宮川グリーンの川面

ただただ、その家族の姿に感銘を受けたのである。

その時の我が家といえば、生まれたばかりのMaakunと20代(!)のともちゃんしか家族がいなくて、ACE・EUROPAというカヤックを除けばOld Town HUNTERが一艇あるだけ。
(Azuが生まれるのはまだその数年後なんだけど)まだ見ぬ娘とひとつのカヌーに乗ってこんな風に激流を下れたら最高だろうなぁ...って漠然とした憧れを感じたものである。そのためには母と息子が“独立した”カヌーイストであることが条件なわけで、でも、まだオムツをしてビービー泣いてるMaakunとソロはおろかバウで座ってるだけのともちゃんが果たしてひとりでカヌーに乗る日が来るのか?
はっきり言ってそれほど期待していたわけではなく、まず実現不可能な夢だと思っていたというのが実際のところである。

そんな僕らが、今日3艇目の進水式を迎えることになった。Mamaは長良川での沈を皮切りにいつもソロ、あるいはタンデムのスターンを務め、それなりに経験を積んできている。Maakunは去年大井川をソロで下り自信を深めた...まだまだどの川でもOK!ってわけではないけれど、MamaもMaakunもとりあえずソロカヌーイングの楽しみを感じ始めている。そして我が家にやってきた3艇目のカナディアンカヌー。夢にまで見たファミリーカヌーイングの究極の姿...今日、そのスタートポイントに立つことができたわけだ。


3艇積みのDisco

ワインを注いで進水式

全ての装備を積み込んで、水辺に並んだ3艇。いよいよ進水式である。本来ならばシャンパンを用意したいところだけど、Azuのご希望で今月初めにスキー場で買った(おおっ!20日前はスキーしてたんだっ!)信州の“あずさワイン”で進水式...ところがコレを家に忘れてきて途中のコンビニで買った“梅ワイン”(涙)をバウとスターンに振り掛けて、“MOONLIT OBSIDIAN”*と名付けたこのOld Town PATHFINDERの今後の無事を祈る。そして家族4人で梅ワインを回し飲みして乾杯!(ヲイヲイ、Maakun飲過ぎ!)


*
“月光を浴びる黒曜石”の意味。“RUNNING MOON”“EL ECLIPSE LINAR”と我が家のカヌーはいずれも月に因んだ名前を持つ。黒曜石はカヌーを生み出したインディアンにとって重要な鉱物であると同時に、水瓶座であるMamaの守護石...なんてウンチクはともかく、響きが良いってのが最大の命名理由なんですけど...涙

 


Old Town フラットボトムブラザーズ
シャレでAzuに“PACK12ft”買ってあげようかな?(笑)

 

こうしてささやかなセレモニーを終えた僕らは、3艇に分乗し川の流れに逆らって上流に向け漕ぎ出す。

『どうだ?PATHの漕ぎ心地は?』
『HUNTERとCAMPERの中間なのかと想像してたけど、軽くなったCAMPERみたいね。HUNTERに比べるとウソみたいにまっすぐ進むわね。』
うん、そのインプレッションは模範回答!Mamaも少しはカヌーってものを解ってきたな、と実感する。
新艇ばかりに目を奪われがちだけど、実はMaakunのパドルも今回が進水式(笑)。時折吹く風にも針路を乱されることなく、ぐんぐん川を遡ってゆくMaakunのパワフルな姿を見てるとブレードが細く、少し長めのおNEWパドルの選択は正解か?

今日の宮川の水量は一年で最低レベル。ただ、ダムの放水がしばらくなく、支流からの流れと流域の豊富な湧水(宮川流域は全国でも稀なほど湧水が豊富な地域だ)だけが集まって出来た流れは、清流を見慣れた僕らでもため息が出るほど。水深5m以上もある深い淵ではさすがに気付かないけれど、1〜2mの白い小石に覆われた川底にくっきりと映るカヌーの影を見ていると、本当に空中を飛んでいるような錯覚を覚えるのだ!Maakunじゃないけど、“睫毛まで映ってる”ほどの透明度は冬の宮川ならでは。

 

上流に向け漕ぎ出す(Azuの髪が伸びたなぁって感じる。)

Mamaの航跡が美しい
   

 


カタログ写真のようですな(笑)


美しい河原に到着

水質が良いのでカヌーもすっかりキレイに

15分ほどかけて約1kmを漕ぎあがったところで目的地の広くて真っ白な河原に到着。上部に大岩をきっかけにして出来た狭い瀬があり、ダムのように堰き止められた水が右岸の河原の下を伏流水となって流れ、濾過され、河原の前の瀞場で陽炎のように湧き上がっている(夏に潜って確認済み)ため、水温は低いものの水質の良さはピカイチだ。


ランチポイントの広い河原を独占!

 

現地に立つと具体的な広さは見当もつかないけど、地形図によれば幅250m長さ700mにもわたって広がる5万坪もの広大な河原である。川岸から50mは緩やかな傾斜があるけど、その先は高さ3mほどでほぼフラット。しかも裸足で歩くと気持ちが良い程度の玉砂利(10〜20mm)が敷き詰められ、対岸は急峻な広葉樹林で人工物がほとんど見えない上に、進入路が非常に判り難いこともあって、人が入ることはほとんどない...この素晴らしい河原を僕らが独り占め!最高の気分だ。


ランチポイントで寛ぐジベタリアンたち

河原に転がってる40cm級の丸太を移動させてベンチを設えて、その傍にロール・ア・テーブルを展開。窪みにユニセラとシングルバーナー、寝心地の良い陽だまりにザ・チェアを広げて極楽ピクニックサイトを設営。あとはゴロンと横になって青い空を見上げるだけ(笑)。
Azuは河原中を歩き回って、美しい “河原の宝石”ビーチガラス集め(リバーガラスかな?)、Maakunはいつものように水辺に座り砥石風の石で固く黒い石を水研ぎして黙々と石器作り(笑)。Mamaは完全にお昼寝タイム。僕は頭上数mを急降下して水際の魚を狙うトビの漁を見物(羽ばたきの風圧を感じるほどの至近距離!)

『あれは何?』
鳥の名前を全く知らないAzuの質問に『トビだよ。』と答える僕。『トビって?』とAzu。
『タカだよ』と僕(ワシだっけか?)。

そこでAzuは上昇気流に乗って大きく弧を描いて滑空するトビに向かって叫ぶ。
『タナカさ〜ん!』...
はっ?タ・ナ・カ・さ・ん??
『だって、パパがタナカって言ったもん。』
あ、あのね、パパは“タナカ”じゃなく“タカ”って言ったの(涙)
“タナカ”さんと名前のついた立派なトビは、魚を捕ったり、木の枝を運んで巣を作ったり、カラスの集団攻撃に逃げ回ったり...僕らの上空で忙しそうだ。
『あのタナカさん(笑)、最近の俺達みたくないか?最近さ、こういうゆったりしたカヌーって楽しんでなかったなぁ。』
『そうよ、いつも川下りばかり。他のご家族と一緒だとゴールを目指して一目散!って気分になるでしょ?こうやって気に入った河原で一日ゆったりするのって出来なくて...。今年は原点に帰って、家族だけでのんびりやりましょうよ。』


急降下で魚を狙うトビの“タナカさん”(Azu命名)

ランチ。まずは塩タンから(笑)

『そうだね。また今度テントを積んで、ここでキャンプしようか?流木を集めるとこから始めてさ。』
『寂しくない気分で見る焚き火って、昼間の花火や真夏のストーブみたいでしょ?』
『心細いキャンプ、かぁ...いいな、ソレ。』

春の陽射しにほんのり暖まった河原にゴロンと横になったままユニセラに炭を放り込んで火を起こし、炎がおさまって熾き火になるのを待って、フロストバッグから出した塩タンを載せる。テーブルの上のビールをひとくち飲んで、カルビ、ブタバラ、ソーセージ...コンビニ袋の生キャベツをかじって、またビール。寝転がったままのランチ。僕らのアウトドアの原点がここにある(...かも-笑-)

満腹ランチを終えた後、コーヒーを煎れて昨日Mamaが買ってきた“いちご大福”を味わう。満腹感に香しい春の風...再びスリーピーな僕である。だが、僕の前でTシャツを脱ぎ捨て仁王立ちする我が息子。何やら良からぬことを考えているのでは...その予感は的中。バシャバシャという水音がしたと思うと、止める間もなくザッブ〜ン!あ...。


こいつ、何か良からぬことを考えてるのでは...

あっ、やめろ!ダメだっ!まだ3月だっ!

時すでに遅し。起き上がった僕の目に映るのは、もはや自分の息子ではなく一匹の河童クン(笑)。
『こんなに暖かいのにパパたちはよく河原で寝てられるなぁ〜。ん?あ、痛ててて...ヤッパ冷たいわ!』
痛いほど冷たい(推定水温はひと桁)というのに、河原に寝転がって暖をとったら、また川に入って泳ぐMaakun。聞けば、水を見たら泳がないと気が済まないらしい(笑)。

毎年お正月に熊野川で泳ぐ某・河童パパさんご一家(ちなみにいずみちゃんも...笑)にはかなわないけど、Maakunの“河童度”はかなりのものであることは確かだ。

季節外れの水泳を笑いながら、のんびり過ごすこと5時間(!)。
『ねぇ、今から長島のモンベルアウトレットにウェット買いに行かない?』Mamaの誘いに乗って、広げた道具の片付けに入る僕ら。Maakunの泳ぎを見てMamaも長時間の漁に耐えうるロングなウェットが欲しくなったようだ(笑)。
『ワタシも欲しい!』去年よりもグンと身長が伸びて見事にヘソ出しルックでウェットスーツの意味を成さなくなったAzuの新しいウェット、早くも履けなくなったウォーターモックetc...今年もまたシャレにならない出費になりそうだ。


あ〜あ、今年もやっちゃったよぉ(涙)

『でも、3艇積んだまま行くのはイヤだぜ。恥ずかしすぎる。』
『OK、じゃ、家に寄ってカヌーだけ下ろして行きましょ!』


やはりオールドタウンは赤だな(笑)

河原から30分で帰宅

西に傾いた春の陽射しを背に受けて、僕らのOld Town船団は下流に停めたDiscoに向け宮川を下ってゆくのだった。
『なぁ、オレもロータスデザインのスカノラック買ってもいいかな?』
『ダメ!』そ、そんな3人で声を合わせて叫ばなくても...。


母と息子のソロカヌーイング。少し珍しいかも...

 

 

 

 

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