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January.2004 part.4

 

 


冬の陽光を浴びて黄金色に輝く琵琶湖

1月24日 比良山スノーシュ−トレッキング

今年に入って、3週連続スキーで♪家計のピン〜チ〜!♪な我が家。日帰りとはいえ、雪のない我が家から雪国へは最低200km overなわけで、高速代&大喰いDiscoのリッタ−6km未満のガソリン代、そしてほぼ¥10000のリフト代、バカに高いゲレンデランチ...決してエンゲル係数は高くないし、子供が大きくなってエンジェル係数も低くなってきたし...でも“遠足係数”は右肩上がりの我が家なのである(涙)。


武奈ケ岳を眺める大荷物オトコ約2名

そんなわけで、今週のスキーは一回休み。
比較的安上がりなスノーシュ−トレッキングに行くことにする。行き先候補地は...

1.素っ敵な平原が広がる開田高原 
2.樹氷が林立・氷瀑もあるよ御在所岳 
3.毎度お馴染みの比良山

...の3つ。1.は遠過ぎて早起きが辛いので×。2.は強風でロープウェイが休止中で×。で、やっぱり比良山ツアーに決まりなのである。

お馴染みの比良山だけど、実は気軽に遊びに行けるのは今シーズン限りになる可能性が高い。事業のリストラを敢行中の親会社・京阪電鉄が、今シーズン直前に比良索道(リフト&ロープウェイ...もちろんスキー場施設も)の廃止を決めたのだ。

京都に住んでいた頃、とても身近に感じていた京阪電鉄(当時は“阪急沿線”ってのと“京阪沿線”ってのとは微妙に響きが違ってたっけ...笑)だけに、色々な事情はあるのだろうけどちょっと失望なのである。索道廃止で自然が守られるのは紛れもない事実だろうけど“O才でも気軽に行ける比良山”でなくなるのは、全ての遊びが“なんちゃって”な我が家には痛い...。

スキーに比べて大幅に遅い6:00に出発し、R1から琵琶湖大橋を渡って約90kmの距離にある比良山山麓に到着したのが8:00ジャスト。それからのんびりと着替えたり装備のパッキングを済ませ、古式ゆかしいシングルリフトに15分近く揺られ、シャカ岳駅からはピストン輸送方式のロープウェイで7分で比良山上駅・比良HATに到着だ。


晴天無風の中を進む

背中に背負ったMountainsmith/ZONEにはランチ用の大鍋、4人分の鴨鍋食材、水4リッタ−、子供用着替えセットなどなどが詰め込まれ、加えてスノーシュ−2set、ポール2set、スノーシャベル2本が縛り付けられていて、座面が小さく背もたれがないリフトはちょっと辛い。同様に同じように荷物でパンパンに膨らんだPatagoniaの防水ザックに子供用スノーシュ−2setをパックしたMaakunもかなり辛そう...どんな世界でもオトコってのは辛いのである。

スノーシュ−がないと股まで突き刺さる深雪
うぁ〜浮いてるみたいぃぃ〜

山上駅を出るとすぐに全員がスノーシュ−を装着し、八雲ガ原湿原方面に向けて歩き始める。天候は晴天無風、気温は氷点下6℃(8:30a.m.)積雪はゲレンデで160cmとまずまずの条件。じっとしていればかなり寒い、というより冷たいんだけど、“すり足歩行”に慣れた我らニッポン人には馴染みのない、腿を高く上げるスノーシュ−独特の歩き方を続けると、ものの10分でウェアのジッパーを全開にする必要があるほどに身体が暖まる。


フワフワ新雪を泳ぐように進むふたり

同じ雪遊びでもシンセティックの下着に分厚いアウターを羽織るという2枚レイヤードが一般的なゲレンデスキーに対し、雪山では保温力の高い薄手のアンダー、ミッド数枚をレイヤーしその上から防水性、透過性の高い(例えばGore-Tex)アウターでカバーすることが多いのは、こんな風に身体が暖まったり冷えたりの差が激しくて脱いだり着たりで調整する必要が生じるからだろう。

山上駅からのトレイルをわざと外れて新雪のラッセルを楽しみながら30分ほど歩くと、八雲ガ原湿原に到達する。
右手に賑やかなスキー場を見ながら、僕らは道を左にとって奥の深谷源流方面へと進む。明るく開けた林間をしばらく歩くと僕らの進むトレイルに足跡はなく、前回の降雪から僕らが一番乗りであることが判る。

ただ、それだけ...一番乗りってだけなのに子供達にとっては、それがタマらなく嬉しいようでパウダースノーを捲き上げながら雪ウサギのようにピョンピョン走る。表情は見えないけど満面の笑みを浮かべているに違いない彼らの背中を眺めながら、PapaとMamaは“してやったり!”と顔を見合わせて微笑むのだ。


ツララで“太陽に代わってお仕置きよっ!”

だけど、ふと、氷柱を凶器にして殺人の証拠隠滅を図ったってな内容の昔見た土曜ワイド劇場の一場面が僕の頭をよぎり、思わず止めさせる。
低温でじっくり育ったことを物語る透明度の高いクリスタルのような氷柱は簡単にウェアを突き破りそうである。

幅がスノーシュ−ほどしかない橋を渡って、僕らはさらに金糞峠方面に30分ほど進む。
このまま金糞峠からシャクナゲ尾根に抜けてハイキングコースを一周することも考えたのだけど、この先は渓流に沿った谷を行くルートになっていて雪遊びに適した陽当たりが良く風が避けられる平原はないので、道半ばでUターン。グリーンの山小屋手前まで戻って、ランチの場所をここに決める。

しばらく進むとトレイルの脇にグリーンに塗られた山小屋が見えてくる。
小屋の屋根からは実にカタチが良く美しい氷柱(つらら)が無数に垂れ下がっていて、子供達はすぐにその氷柱にトラップされる(笑)。ポキポキと小気味良い音をたてて氷柱を折って、チャンバラごっこを始めるふたり。


ツララの剣でゴキゲンAzu


八雲ケ原湿原の明るい森をさらに奥へと進む

トレイル脇の林間に入って、平らな雪原を4人で電車ごっこのように連なってグルグル廻りながら踏み固める。ランチタイムはスノーシュ−を外すので、この作業を念入りに行わないと股下まで(...子供は胸までの時もある)スッポリ雪中に突き刺さってしまい、泣きながら助けを求める羽目になる。


雪面を踏み固め、掘り込んだ雪のダイニング

ある程度踏み固めると、周囲の雪面よりも50cmほど低い円形の場所が出来上がるので、そこで初めてスノーシュ−を外し、テーブルとなる中心を残して、またまた電車ごっこをして縁をスノーソ−&シャベルで垂直に切り落とすと、掘り炬燵状態のダイニングテーブルが完成する。
窪地にできたダイニングは周囲を取り囲むように50cmの高さの雪の風防があって、少々風が吹いても快適だ。

まだ10時台だというのに、相当お腹が減った僕らはダイニングが出来上がると同時にランチタイムに突入(笑)。ザックから大鍋を出して、自宅で準備してきた野菜やキノコ、そして鴨肉を放り込み、これまた調合済みの出汁とプラティパス水筒の水を注いで、予め充分にプレヒートを施したMSRウィスパーライトInternationalの上にセットする。
この時に注意しなくてはならないのが、雪のダイニングテーブルにこれらの液体を直接置かないこと(数分で凍りつく!...笑)、そしてMSRに限らずストーブは自らの発する熱で徐々に沈んでゆき、やがて雪中に没して火が消えてしまうので(経験済み...笑)内鍋の蓋などの上にセットすることが必要だ。(加えてガスカートリッジタイプのストーブは、カートリッジが冷えて気化しづらくなるので更に注意が必要...これも去年“人肌の”ミルクティを飲んで経験済み)


氷点下ではMSRが大活躍

スノーシュ−の定番・鴨鍋!

『ヒマラヤで確実にお湯を沸かす』ことだけを考えて作られたMSRはさすがに低温をモノともせず、すぐに鴨鍋をグツグツグラグラ煮立たせてくれる。野菜が沈むのを待って、さらに野菜を追加し10分ほどでウマそうな鴨鍋の出来上がり。鍋の上でお箸がガシガシぶつかるほどの勢いで、食べる食べる!あっという間に具はなくなり、さらに加えたうどん4玉も数秒の命(笑)。雪のテーブルに熱々のシェラカップを置くと、見る見るうちに沈んでゆくのだけれど、今日はカップを置く者は誰ひとりいなくて、1.5リットルの出汁もほとんど全て飲み干してしまうほどだった。(野外料理はこれが基本!)


食後にちょっと贅沢してブルーマウンテンコーヒーを楽しんだ僕らは、少し休憩したあとスノーシャベルを手に雪洞掘りに取りかかる。前日に鈴鹿山麓の山屋さんで入手した赤いVoileを持ったMaakun、そして4年前から愛用のSOSのPapaのふたりが、思い思いの場所で穴掘りヨ〜イ、ドン!

一見、ただの単純作業のように思える雪洞掘りだけど、限られた雪の深さの中で、いかに深く大きく、そして美しく(笑)仕上げるかを考えて掘り進むうち、寒さも疲れも忘れて子供ばかりか大人までもを夢中にさせる魔力を秘めている。男の子にとっては子供の頃誰もが夢中になった雑木林での“基地作り”にも似たワクワク感、女の子なら1/1のおママゴトセットに例えられるだろうか...とにかく、女も男も大人も子供も目をキラキラ輝かせて取り組むことが出来る遊びなのは確かである。


Papaの雪洞は?

雪洞掘りは楽しい!

Maakunはトレイルの反対側の雪庇の良く締まった雪を、Papaは吹き溜まりの深いフワフワした雪を選び掘り進む。

Papaは雪が柔らかいこともあって30分ほどで幅3m奥行2m高さ1mのカマクラ風雪洞を完成。早速雪玉製造器“Pandaman”を手にしたAzuが中に入って、せっせと雪玉を作っておママゴトを始める。

層になって積み重なった固い雪に苦労しながらも、Maakunはその小さな体のメリットを生かして、幅の狭いトンネルを奥へ奥へと掘り進む。その様子は、まるで“サンダーバード”のハリモグラのよう!(笑)
Mamaが暖かいコーヒーでも飲んで休憩するように勧めるけど、全く休むことなく掘り続けること1時間!(せっかく煎れたコーヒーが凍りついてしまったほど...)ついにMaakunの雪洞も完成を見る。

Maakun&Mama雪洞

さて、掘るゾ!
掘る
ひたすら掘る

そして完成!

直径80cm奥行3500mm

本人はまだまだ続けたかったみたいだけど、家族4人が入って寝る(...と言っても、昔よく空き地に放置されていた土管の風情ですが...笑)には充分なスペースだから、これでいいのだ!
“ウナギの寝床”なMaakunの正統派雪洞に対して、papaのは学生時代の“四畳半ひと間”の雰囲気。床面積も6平米以上あるから、まさに四畳半なんだけど、吹雪になればこちらに雪のテーブルを設えて宴会、そして眠るのはMaakun雪洞と使い分けが良いかもしれない。


Papa雪洞


ママゴト会場と化すPapa雪洞

うぁ〜広〜い!


雪洞掘りを十二分に楽しんで、時刻も14:30を回ったので、帰りの準備を始めることにする。いつもなら、みんなでキャーキャーはしゃぎながら雪洞を壊して楽しむのだけれど、今日はまだ1月。もしかしたら、この雪洞が溶けて消えてしまう前に、もう一度ここに来る機会があるかもしれない→この次来る時に幸運にもこの雪洞が残ってたら、さらに広げて楽しめるかも!?ってことで、トレイルの邪魔になる場所でもないので、このまま放置することにする。(もし、これがマナー違反だったらごめんなさい>専門家の皆様)


八雲ケ原湿原の分岐点まで辿り着いて休憩

今回大活躍の“Pandaman”

鍋の食材と水4リッタ−を全て胃の中に収めたために、バカに軽くなったザックに驚きつつ、僕らは新雪を愛でるように楽しみながら一時間の道のりを山上駅に向け歩き続ける。八雲ガ原湿原の分岐点まで来た頃、いつものように遊び過ぎて電池切れのAzuがグズグズ文句を言い始めるけど、完全無視でとっとと先を急ぐと『待ってぇ〜!』と悲鳴を上げて小走りで付いてくる。


リフトから見た琵琶湖夕景

たぶん、今シーズンにもう一度来ることが出来るだろうけど、もしかしたら来る機会がないかもしれない。来年になってリフト&ロープウェイが本当に廃止になったとしたら...もう2度と見ることがない、比良山の雪景色。僕ら4人は北比良峠からの大パノラマを目に焼きつけながら山上を後にするのだった。リフトから淡いブルーとピンクの琵琶湖の夕景、そして遠くに弧を描くように伸びる琵琶湖大橋を眺めながら、少しだけ感傷的な気持ちになってしまう僕。


古式ゆかしきリフトで山麓へ

甘いホクホク比良金時で疲れを癒す

そんな気持ちのまま、リフトを下りて山麓駅を出ると、そこには赤々と輝く提灯と『比良金時ヤキイモあります』の看板!おっ、今日は開いてるゾ!『一番デカいの4本くださ〜い!』絶叫しながら駆け寄ってゆく子供達に、感傷は似合わない(涙)
ホカホカホゴホゴの甘い比良金時を頬張りつつ、喉にイモが詰まってングング唸ってるMamaの背中をトントン叩きながら(笑)クルマまでの舗装路を歩く我が家。
『来年も来れるといいよねぇ〜。』『で、比良金時のおばちゃんにオマケしてもらうんだっ!』
たとえ京阪が比良索道から手を引いたとしても、この古式ゆかしいリフト&ロープウェイが第三セクターの手に委ねられてでも存続することを心から願わずにはいられない僕らだった。なんたって“なんちゃって”だもん、我が家(笑)。リフトがないと雪洞で鴨鍋出来ないしね...

 


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