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October.2003  Part.2

 

 


浜名湖SAの日の出

 

10月19日 今度は家族で日帰り大井川
ソロの大井川&お父さんだけの気田川から戻ってからというもの、Papaは家族の嫉妬に苦しめられることになる。以前なら“亭主元気でカヌーがイイ”ってな雰囲気だったけど、カヌーでのダウンリバーの喜びを知ってしまったMama&Maakunに大井川&気田川の画像をスライドショウで見せちゃったのは大失敗。
『どうせ私たちは足手まといですよっ!』『いいよなぁ、パパはひとりで行けて!』一週間どうもギスギスした雰囲気の我が家なのである(笑)。今年家族で下った気田川はともかく、彼らの興味を惹くのは大井川。なかでも気田を思わせる青白く澄んだ水質と、ビギナーレベルの下手っぴパパパドラーの僕でさえ13kmを1時間ちょっとで下れる流れの速さってのがパワー&テクニックのない彼らの琴線に触れるようである。
折りしも、友人から北山川ファミリーダウンリバーのお誘いもあり、木曜まで 低コストで距離的に近い(笑)“北山川DR&金山パイロットファームみかん狩り&キジ鍋の旅”に決まりかけていたのだけど、金曜昼間に某奥様から“大井川上流の寸又峡温泉はサイコー!”情報をゲットしたMamaが、るるぶ静岡を引っ張り出して来た時点で、急遽大井川行きが決定なのである。

ところが土曜日はAzuのピアノ発表会...ってことは、おいおい大井川520km日帰りかよっ!二週連続だし。(涙)
Mama『えっ、大井川だけじゃないわよ!寸又峡温泉で美人になるのがメインなんだから。』
Maakun『寸又峡に夢の吊橋ってのがあるよね?そうそう、島田市の世界最長の木造橋も外せないよなぁ。』
Azu『Moeちゃんが行った、音戯(おとぎ)の里もいきた〜い!』

そ、それだけ回ると600km超えちゃうぞ!ど、どうするんだよ。
『朝早く出たらいいじゃない?スキーに比べたら道路も凍ってないし軽い軽い!大井川に着くまで寝てたら大丈夫よ、きっと。睡眠9時間!快食快眠!バッチグゥ〜(死語!)』ってMama、あなた方は寝てたらいいかもしれないけど(涙)

で、お抱え運転手さん(僕のことね)は前夜21:00就寝で準備を整え(覚悟を決め)、3:20起床、4:00ジャスト出発で日帰り大井川に出発。先週ひとりでクラプトンを聴きながら通った道を今日はパジャマのまま爆睡する子供たちを乗せひたすら東へ東へ。
東名・浜名湖SAで日の出を拝み、相良牧の原ICから大井川沿いを北上、7:30にDRスタート千頭の河原に到着する。大井川の今朝の天候は晴天!微風!絶好のDR日和になりそうである。


千頭の河原でお着替え

ワンタッチテントを設営して着替えを済ませ、カヌーを水辺に運んでスローロープやエアバッグのセッティングをしていると、堤防から今日の空のような青いミストラルが河原に下りて来るのが見える。
ルーフトップした真っ赤なアパラチアンとのコントラストが実に美しい。(実はMamaはスペイン製ってこともあってミストラルが大好きなのです)...ミストラル、アパラチアンと言えば、僕らがここ大井川に来るきっかけになったHPのウェブマスター・takabooさんに間違いない。


気田行きのtakabooさんたちが立ち寄ってくれる

井川でのMTBキャンプを終え気田川に向かう道すがら、僕らに会うためにわざわざ千頭の河原に立ち寄ってくださったのだ!
takabooさんのHP、読んでるだけでも非常に分り易く暖かみのある文章と写真に我が家一同がファンなのだけど、実際にこうして大井川に来てみると、彼の文章がいかにカヌーイストにとって必要な情報を上手く網羅しているかを実感する。例えばゴール地点・駿河徳山の河原への進入路や直角カーブの流れ、危険なテトラの位置などの描写は実際に現地に行ってみるとナルホド!の連続、その簡潔で正確な文章は特筆すべきものがあると思う。


takabooさんのHPはこちら

今回もtakabooさんのBBSで彼が大井川を下られると聞いていたけど、お仲間との“お父さんだけの大井川”(笑)なわけで、家族連れの僕らが厚かましくご一緒することは迷惑千万。今回も『お会いできたらイイですね!』程度の軽い約束だったけど、こうしてメデタクお会いできて嬉しい限りだ。

今回は朝のご挨拶だけにして次回ご家族連れの時に再会することを約束して、気田へ向かわれるtakabooさんを見送り、僕らはカヌーに積み込む装備を防水バッグに詰める作業に取り掛かる。
今日も、いつものようにCAMPERとHUNTERの2艇体制。バウをMamaが務め、スターンにPapa、パッセンジャー(笑)にAzuという重量級の今日のCAMPER。

そして、本人の強い希望によりHUNTERをソロでMaakunが漕ぐことに決まっている。
『だってさぁ、Mamaとふたりだと必死で漕いでも曲がんないからつまんないし、Azuとだと喧嘩しちゃうしさ。ひとりがいいよ、やっぱり。』だそうだ。
これまでもこれからも、彼にカヌーを強要することなんてなくって、以前、上手く漕げなくて悔し泣きした時...
『Maakun、これだけは言っておく。カヌーが上手になったからって良い会社に就職出来るわけでもなければ(笑)女の子にモテるわけでもない。あ、いや、カヌーなんてやってると、ハッキリ言ってモテなくなるし変人だと思われる。当然誰もホメてくれないし、自慢できることでもない。だからやりたくなければやらなくていいんだぞ。』
って慰めたのだけど...


スタート準備完了!9:30

『Papaの息子に生まれた以上、カヌーが出来ないとツマラナイもんな。Mamaだってそうだろ?カヌーが一番好きってわけじゃないけど、思い通りに漕げた時はすっごく気持ちいいしさ。』と答えた彼(笑)。確かに僕にとってもカヌーはその程度の趣味なわけで、目を三角にしてまで練習して上手になりたい気持ちは全然ない。(全然上手くなれない言い訳に聞こえるかもしれないけど)自然に飛び込みリラックスするための“ツール”として最適だと感じているから長きにわたって続いている...家族も同じスタンスであることが妙に嬉しい僕なのであった。
『たぶん大丈夫さ。風が吹かなかったら...行けるところまでひとりでやってみるよ!』結構自信ありげなMaakunだけど、スタート前に念入りにヘルメットを調整して何度もかぶったり、スローロープをいつでも手が届く場所に移したりしてたのを見逃さない僕。父親に似てホントは超・臆病な彼なのである(笑)


ちょっと不安げ?

さあ、行くわよ!

念入りにコースをチェック

我が家のカヌー遊びを含めた野遊びはあくまで“お遊び”の“冒険ごっこ”。立派な教育的効果は全く期待していない(キャンプ場とかでよく見かける命令口調で軍隊式に子供をビシビシ!ってのは柄じゃないし、そんな偉そうな態度を取れるほどの実力は自分にないし。それにどっちみち“しつけ”は3歳を過ぎたらもう手遅れですからね。)わけで、要するに楽しめればOK!OK!って感じなんだけど、そんな中で唯一子供達に伝えたいこと...それは行動の中で自分の進む道を自ら判断することである。
刻々と変化する周囲の状況のなかで最初に決めたことが実情と合わなくなる局面は人生に多々あることで、そこで呆然と立ち尽すのではなく、自分で考えて修正を加えながら行動出来るチカラ...コレって訓練で会得出来る能力なのかどうかは別にして、少なくとも学校じゃ教えてくれないから親が教えるしかないと僕は思う。
その点、カヌーは行き先の立案からコンディションの調査、装備の選定&準備、クルマの回送、そして漕行コースの判断...全てを自分でこなす必要がある(しかも、その作業がメチャ楽しい!)。
それを全て他人任せにするということは、カヌーの楽しみの大部分をみすみす放棄することだし、自分の安全を誰かに依存することに他ならない。まして家族連れならば“丈夫かもしれないけどすぐに切れるかもしれない”他人が準備したザイルよりも“頼りないけど自分で準備した”ザイルを僕は選ぶ。そしてその判断の結果生じた事実は良いことも悪いことも誇りを胸に全て自分で受け入れる...子供達がそんな大人になってくれたら。
それが、カヌー“ごっこ”を通じて僕が彼らに会得して欲しい唯一の希望である...なんちゃって。

辞書によれば“依存”の反対語は“自由”なのだそうだ。大上段に構えるワケじゃないけど、自由はなかなか大変なわけで、そんなことも彼らに追々理解してほしいPapaなのである(笑)



朝日を浴びて進むCAMPER

Jストロークも慣れたもの

9:30、大井川の青く速い流れに乗ってスタート。僕らのCAMPERに数十m遅れてMaakunのHUNTERが続く。2年前、晩秋の三瀬谷湖で初めてソロカヌーイングに挑戦し、去年1m増水のイージーな宮川を10km程下っただけのMaakun。その彼が果たしてそれなりに流れがあり直角に曲がる1級の瀬が連続する大井川をどの程度まで漕げるのか?興味津々で何度も振り返る僕だけど、岩を細かなドローで避けつつスタート直後のストレートな瀬をそれなりに下ってくる姿を見て、ちょっと安心する。


スタート直後の瀬をそつなく下るMaakun


家族全員に配付されたPapa自作・時刻表入り川地図
地図の下の手書き文字は、救急病院の連絡先等(笑)

宮川の時の小さなキッズパドルを今回はMama用の54インチに持ち替えた彼はそれなりにカヌーを曲げることができるようだ。

流水上において流れと速度差がないと(湖に止まってるのと同じで)全く舵が効かないのがカヌー、というかフネという乗り物だ。北山川のジェット船が上りより下りの方が危ないというのも同じ理由なわけで、瀬でひたすら漕ぐことで流れよりも速く進んで舵を効かせるカヤックやWW用カヌーに対し、スムーズにボトムで水流をかわせるフラットボトムのカナディアンカヌーは「漕げぇ〜!」って感じで流れよりも速く漕ぐ場合もあれば、逆にリバース(バック漕ぎ)とブレイス(水面を押さえる)でブレーキを掛け、流れとの速度差を生じさせて舵を取ることも多い。(これがBill Mason師の流儀である...と思う。但し、ニッポンの多くのカヌーインストラクターさんの教えとは正反対なので、抗議されそう...あくまで僕の考えですのでお許しを!)

その点においてフラットボトムのカナディアンカヌーはパワーのない女性や彼のような子供にも漕ぎ方の工夫次第で何とかなると僕は思う。実際、僕らのCAMPERがバウを喰われ、なす術もなく岩に一直線!の場面でもMaakunのHUNTERは波頭で軽く方向を変え波を滑り降りるようにサイドスリップしながらスススッと岩を避けてゆく。
実感として、(あくまで僕の実感だけど)僕らが楽しいと感じる超ビギナー向けの川でさえも、カヌーが流れの中を進むパワーのうちパドラーの操作の影響が及ぶ比率は10%程度。残りの90%は圧倒的な水の流れるパワーなのだと思う。Maakunの体力がたとえ僕の半分であっても全体で見ればたった5%の違いに過ぎないわけで、大切なのは90%の水のパワーをいかに上手く利用するかなんじゃないかな。例えるなら「合気道」の精神とでも申しましょうか、川の流れを読むチカラさえあればムキムキマッチョである必要なんてない...135cm35kgのMaakunだけど、11歳にして11年のカヌー歴、ダッコされて乗ってた時期を除き(笑)、マイパドルを手にしてからに限っても10年、100本近い川下りのキャリアがある。そのキャリアは一見無駄のようにも思えたけど、実際には川の流れを読むチカラが着実に蓄積されてるんだなぁと感じる次第である。
(去年の自由研究はズバリ!「川の流れ」だし...笑)


青く澄んだ淵を進むMaakun

スタート直後の岩だらけの瀬、そしてその後の易しい直角の流れをクリアし、千代橋、旧千代橋、大井川鉄道鉄橋の三本の橋を過ぎると、流れは幅10mほどの細い水路に変わる。橋脚によって流れが複雑になることによって大量の砂礫が溜った河原の後は、急傾斜で細い瀬が続くという文法通りの流れである。


直角のカーブをギリギリでクリア

カヌーが進むことができる水深のある本流の幅はほんの3m。パドリングをMamaに任せ、僕は瀬のなかで振り返ってMaakunの漕ぎを観察する。時速7〜8kmで流れる細い急流、そしてその終わりにある直角カーブ、アウト側にはらんでカーブを抜けた瞬間に初めて見えるふたつの大きな隠れ岩。その隙間の30cm程度の落込みを抜ける一本しかないライン...さて、どうするMaakun!
予想通り早めにバウをインに向け斜めになって進入し、カヌーが流れの速度差でそのまま回されそうになるのを下流側にリーンさせて細かくドローを入れて耐え、狙いを定めてフォワードでファイト一発!岩の間の落込みをザッブ〜ン!OK!100点満点!
右オンサイド(右漕ぎ)のMaakunが左カーブは安全に曲がれることを確認してホッと一息した僕。それ以降もう振り返る必要もなく、5年ぶりのMamaとのタンデムパドリングに集中しつつ進む。

 


青い空、青い川...思わず笑顔が溢れる

アウト側に流木たっぷりウッハウハの本川根中学前の河原を左手に見て直角だけど穏やかな右カーブを越えると、大井川は国道を離れ森の中へと蛇行しながら流れて行く。ほぼ円形、緩やかなRの流れの先に、今回のコースでもっとも景観の勝れた唯一の岩場が見えて来る。
亀の甲羅のような大岩を縫って逆S字に進む流れは、進入前に力強いフォワードで加速をつけ、体重移動の下流側へのリーン(艇の傾け)だけでやり過ごすと実に気持ち良い。右ぃ〜!左ぃ〜!という僕の号令で三人が一斉に体重移動をすると、カヌーはスッと回頭を始め、両岸の岩スレスレをかすめて綺麗に蛇行する。ちょっとやり過ぎるとそのまま沈!が待ってるだけに安全な淵の手前でしか楽しめない遊びだけど(笑)。Maakunはリーンではなく得意のJストロークによる小さなプライだけで快調に下ってくる。思い通りにカヌーが進んだ瞬間の彼の満面の笑みは僕らを幸せにする。


キャンプでもないのにこの大荷物!ゴール後
鉄道に乗るので観光客変身セット一式が必要なのだ

適時休憩を入れながら、僕らは追い越したり追い越されたりを繰り返しつつ、のんびりと流れてゆく。R362の柳崎大橋の橋脚の右から進入し、鉄道鉄橋の左へと向きを変える“最小回数のスラローム”(笑)を過ぎると、砂利採取跡だろうか?本流とは無関係な青い深みがあり、その先右手の崎平駅側に立派な“聖牛”が姿を現す。先週は流れが聖牛本体には絡んでいなかったけど、今日は水位が3〜40cm高いために聖牛の脚を流れが洗っている状態。リバースで流れの中に留まって水上スカウティングすると、聖牛にトラップされた杉丸太が真横に突き出て、ヘタをするとラリアットを喰らいそう(笑)だったので、大事をとってライニングダウン。Maakunはここが初めてのライニングダウンとなる。


バスクリン色の淵...飛び込みたい!?

幾つもの吊り橋をくぐる(青部)

ガタンゴトンガタンゴトン...規則的な音に視線を水面から正面の鉄橋に移すと、見慣れた近鉄特急が2両編成で鉄橋を渡って行くのが見える。この鉄橋をくぐって緩やかな左カーブを曲がり切ると美しい吊り橋。ここで案の定Maakunが吊り橋を渡りたいとゴネ始める。そういえば彼は無類の吊り橋フリークなのだった(笑)ところがここは巨大な変電所の前。ここで吊り橋を渡ったりしたら、そのままランチタイムになだれ込む公算が大。地鳴りのようなゴ〜ッという騒音の中でランチってのはどうも気分がヨロシクないってことで、そのまま2つの吊り橋を通過、しばらく進むと先週唯一危険を感じたテトラが流れに突き出たポイントに到達する。
『オンサイドだからたぶん大丈夫。』というMaakunを左岸で待機させて、先に僕らが下ってテトラのエディで念のためにレスキュー体制を取ることにする。ソロであれば何の問題もないテトラだけれど、今回はどうも息が合ってないソロパドラー同士の急造タンデムな僕ら夫婦。もしかしたらMaakunより僕らの方が危険だったりして...(涙)


隠れ岩でピンボール状態の瀬をジグザグに下る

これまでMaakunが鼻唄混じりでクリアするカーブで何度もアウト側にはらんで散々笑われてるだけに(ここで沈したら父の威厳がぶっ飛んでしまう)慎重に慎重に、早めにインに寄ってクリア!エディに入ってMaakunのスタートを待つ...1分、2分...いくら待ってもMaakunは下って来ない。ん?何かあったか?200m以上離れていてかなり遠いので彼の表情を読み取ることは出来ないが、岸にカヌーを着けたまま体操座りでじっとこちらを見ている...3分ほどしても動く様子がない。


見て見て!すっごいキレイでしょ!(川の水が...)

そして目の涙を拭うような仕種?僕らが目を離した隙にケガでもしたのか!?深く沈む砂利に足を取られ何度も転びそうになりながら全速力で彼の元へ駆け寄る僕。
『ど、どうした!?大丈夫か!』全速力で近づいて来る僕の鬼気迫る表情に少しビビって思わず体操座りのまま後ろに倒れながら(笑)、Maakunも『ど、どうしたの??な、何かあったの?』
『なんで下って来ない?ケガでもしたんじゃないかって心配しただろっ!』
『何言ってるの?こっちこそパパが凄い勢いで走って来るからびっくりしたよ!ここで待ってろって言ったのはパパじゃないか!』

そ、そうでした。待ってろって言ってスタートの合図するのを忘れてました(涙)。

テトラを無事クリアして、ほんとに大井川の美しさを象徴するようなキラキラ輝く浅瀬でひと休みした僕らは、数百m前方を先行するMaakunを追って、逆光の眩しい早瀬を下って行く。
その先には榛原川の合流ポイント。ここで大井川は青白い透明な流れから白っぽい茶色の濁流にその姿を変える。その原因は榛原川上流のコンクリートプラント。榛原川から流れ出る茶色い水は清冽な本流の水と数百m並んで流れた後、最初の瀬で混じり合い、次第に大井川本流の透明度が失われていく。


ガ〜ン!支流の濁りがっ!

濁りの原因は支流・榛原川

最初は透明な部分を選んで左寄りにルートを取っていたMaakunもすぐに行き場を失い、渋々濁流に乗って漕ぎ始める。これまで増水による濁流の経験は何度もあるけど、水位の上がらぬままに透明度0cmの川を漕ぐのはMaakunばかりか僕にとっても初めての体験だ。
浅間神社前の連続した3つの瀬は全くもうイチかバチか状態。水中の様子が全く見えないのだから、波の高さでその水深を推測するしかなく、案の定“ボム!”“バシッ!”“ドカッ”スキッドプレートに隠れ岩がぶつかる嫌な音が絶え間なく続く。


透明度ゼロ&隠れ岩だらけの瀬でちょっと固い表情

うぉ〜、岩に一直線だぁ〜!ブレーキ効かねぇ〜

『あ〜ヤダヤダ!最悪だなぁ〜!』パドルを右に左に忙しく動かしてジグザグに瀬を下り切ったMaakunが呆れたように呟く。万世橋の前後はそんな濁り切った流れが直角に岩にぶつかる瀬が続出し、常に隠れ岩の恐怖が僕らに付きまとう。先週アンダーカットロックがないことは確認済みだが、それでもかなりの流速があるここで隠れ岩に横向きに張り付いたら...そんなことを考えているうちに正面にゴールの宗徳橋が見えて来てホッとする。僕らは橋をくぐった直後にある低い河原にゴール!11:30...2時間ジャスト!結局Maakunは最後までソロで漕ぎ通した!橋をバックに自艇(!)HUNTERの横でVサイン姿で記念写真に収まる彼の自信に溢れた表情...父親というよりもカヌー仲間として祝福してあげたい気分だ。


水中が全く見えない中手探りで漕いでゴール!11:30

駿河徳山駅で列車を待つ

やってきたのは、やっぱり近鉄ビスタカー

再びゴールに戻ってカヌーの積込み完了!

千頭駅で立ち食いうどんを食べる

カヌーを河原に上げて、「さすがにちょっと...」と遠慮するMama以外は橋脚の陰でスッポンポン着替え(笑)を済ませ、僕らは徒歩で、駿河徳山駅に向かう。12:43千頭行きの近鉄特急に乗って10分ほどの列車旅。千頭駅前の河原に停めたクルマまでは徒歩30秒。ワンタッチテントでMamaの着替えを済ませた後、クルマでゴール地点に戻り水際まで進入しカヌーと道具一式を積み込む。再び大井川沿いを千頭に向かい、駅構内の立ち食いうどんを食べた後、駅に併設の道の駅「音戯の里」へ。

道の駅ってことで期待はしてなかったけど、これがナカナカ楽しい施設。世界最大級のオルゴールとかはともかく、“音”をテーマにした数々の参加型アトラクションがあって、子供たちばかりか僕ら大人までも飽きさせない工夫が凝らされ、まさに音と戯れることができる。(10月末までJAF会員は30%OFF)


町営トイレにある人工の滝...な、名前が!

音戯の里で3D映画を観る

本川根名物(?)・猪鹿肉まん

一時間ほど過ごし、地元物産センターで本川根名物(?)特大“猪鹿肉まん”を食べた後、千頭駅をあとにして “美人の秘湯”寸又峡温泉へ。
それなりに細く険しい山道を進むこと30分(対向車、特に大型バスが多いので運転注意!)、それまでの鬱蒼とした暗い雰囲気がウソのように賑やかな温泉街が姿を現す。
今回の目的地は町営温泉施設“美人づくりの湯”(すっげ〜ネーミング!ちなみにお隣の接岨峡温泉は“長寿の湯”うひひひ...ベタベタですなぁ)なのだけど、そばまで進んでその野趣溢れる...というか簡素な(笑)佇まいにびっくり!僕とMaakunは結構こういうの好きなんだけど、「こんなに人が多いのに見え見えスケスケミエミエは勘弁してよぉ〜!」という女性陣の猛烈な反対に遭い、外湯が可能な旅館“飛龍の里”(大人¥500子供¥300)を利用することにする。(駐車場が利用出来ることも好印象)

まだ新築っぽい綺麗な建物でしかもお風呂は貸切状態。しかも噂に違わぬ泉質の素晴らしさ!カヌーで疲れた筋肉に染み渡るようなケッコウなお湯でございました。あまりに心地よく、のんびりしすぎて温泉でから上がったのはすでに16:30。当初はここから夢の吊橋への往復1時間の軽いトレッキングを楽しむ予定だったけど、このままではナイトハイクになりそうだったので、トレッキングを断念。『じゃ、島田の蓬莱橋に行こうよ!ギネス認定の世界一長い木造橋なんだよ!』というMaakunの代替案を採用して、クルマで島田市を目指す。


寸又峡温泉でほっこりまったり

早くも紅葉が始まっていた。
 

ところが、『秋の日は釣瓶(つるべ)落とし』。中根温泉を過ぎたあたりで残念ながら日没を迎えてしまい、“賃取り橋”の別名の通り、番人さんに通行料を払える時間内にしか渡れない蓬莱橋も断念することになってしまう。『なんでかなぁ、予定狂うよなぁ。』Maakunはそう言って残念がるけど、よく考えてみてごらん!今日は日帰りなんだぜ!贅沢を言ってはイケマセン(笑)
『今度は泊まりで来ましょうよ!さっきの飛龍の里に泊まってね。』うっ、上げ膳据え膳フリークのMamaがまたトンでもないことを!『♪よ〜く考えよ〜、旅館は高いのよぉ〜♪飛龍の里は一泊¥18000だぜ、知ってる?家族4人で¥50000はかかるな。高速代とガソリン100リットル焚いても今日は¥20000弱。さてどうする?』で、Mamaの答えは...『♪よ〜く考えたぁ〜、カシータならタダなのよ〜♪』(笑)

そんなわけで次回は千頭の河原にカシータを停めてベースキャンプにして、カヌーと温泉と吊橋トレッキングとギネス木造橋を楽しむことに決め、僕らは帰宅の途についたのだった。『あ〜疲れた!さて寝ましょ...快遊快眠オヤスミナサイ...ZZZZZ』キ、キミたちはいいよなぁ...涙

 


比較的易しいとはいえ、宮川より難易度がワングレード高い大井川。
ソロで13kmを漕ぎ通したことは、彼にとって大きな自信になったことだろう。

 

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