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April.2003

 

 

4月25-27日 GW紀伊半島清流を訪ねて(古座川)


GWだというのに古座川一枚岩キャンプ場は我が家だけ!

 

4月25日「雨みたいだぞ、どうする古座川?」「そうねぇ...川はやめて遊園地なんてどう?」
「う〜ん、どうする?」「5月3日からにしましょうよ。」
これが一週間前の会話なら納得なんだけど、25日夕方だから始末が悪い(笑)。サンルームを叩く雨、次第に立ちこめる濃霧...。「ま、メシ喰って風呂入ってから考えよ。」
そんな時、NESSYさんから電話。「一応カヌー積んで行ってみて、雨なら山の学校にでも行ってのんびりしようか?」「でも、雨は今夜いっぱいで明日は朝から晴天らしいよ。」「じゃ、決行ということで。」コノ人も我が家に負けず劣らず“無計画派”(笑)。そんなわけで、いつも通りに夕食を食べ、のんびりお風呂に入ってから準備を始め、準備が終わった9:30p.m.頃カシータを牽いて出発。


スタート時はこんな雰囲気(画像処理済)

サイドミラーが乳白色の霧を切り裂き、渦を巻いているのが視認できるほどの濃い霧に戸惑いながら、僕らのDisco&Casitaは伊勢道を南下する。R42に入ると今度は強風で叩きつけるように降る雨。交通量が少ない道路上には強風で折れた木の枝が散らばり、跳ね上がる雨粒がラインを隠して非常に運転し辛い状況。頭上からはカヌーのヨークが風を切るブウォーンという不気味な響き。折り重なるように眠る子供たちとナビシートでフネを漕ぐMamaを横目にPapaの孤独な闘いは続く(笑)。

濃霧→暴風雨→濃霧→暴風雨と目まぐるしく変わる道路状況に翻弄されつつ、休憩を取ることなく5時間ほど走ると古座川大橋が見えてくる。漁港を右手に見ながら古座川大橋を渡ると...「現在の風速17m」の電光表示。

屋根に載せた2艇のカヌーに風をはらみ、反対車線に大きく傾くDiscoを腕力でねじ伏せながらどうにか渡り切り、上流に向け右折。そこから30分ほどでゴールデンウィークだというのに誰一人いない古座一枚岩キャンプ場に到着する。風雨の中、ストームクルーザー(by mont-bell)を羽織ってCasitaを切り離し安定ジャッキでレベルを取り、爆睡中の子供たちをガウチョベッドに収納し終えると、プロトレックの青いバックライトが2:40a.m.を表示している。冷蔵庫からビールを取り出しプルトップに指を掛けたものの、「あ〜いかん、いかん。今朝は早いんだっけ...」と独り言を言いながら、再び冷蔵庫に戻しシュラフに潜り込む僕であった。


 

4月26日 6:00a.m.ルーフを叩く雨の音で目が覚める。あ〜あ、やっぱり雨かぁ...ため息交じりに呟きながらCasitaのダイネットコンロにパーコレイタを架ける。ラジオからは前線の南下の影響で午前中いっぱい雨が強く降るとの予報が流れる。昨日の9:00p.m.時点での予報とは360度、じゃない180度違う予報じゃないか、しっかりしろ!気象庁!などと嘆いてみても天気が良くなるわけでもなく、室内に広がるコーヒーの芳醇な香りに誘われて起きてきた家族みんなで作戦会議。「雨じゃしょうがないわね。とりあえずNESSYさんと待ち合わせの日置川に行ってみて、そこで考えたらいいんじゃない?」スナックパンをかじって朝食を済ませ、Casitaを置いて身軽になったDiscoで古座〜日置の山道ルートではなく海辺のR42を通って(かなり雨が降ったので落石がありそうだし...)日置川を目指す。


雨の一枚岩キャンプ場

断続的に降り続く雨で日置川ダウンリバーの意欲がどんどん削がれてゆく僕ら。そんな僕らを誘うように「白浜アドベンチャーランド」の看板がいやに目に入る。
「ねぇ、NESSYさんの“山の学校”を見学した後、アドベンチャーワールドに行かない?」
Mamaと子供たちはルーフに2艇のカヌーが載ってることを無視するかのように気分はもう行楽客だ(笑)。
町営キャンプ場下流の工事通行規制に時間を取られ、約束よりも20分ほど遅れて、約束の河原に到着。


昔懐かしい“山の学校”

相変わらず重苦しい雲に覆われた空。水位が上がって大河の様相を呈している日置川のほとりに立ち川を眺める。NESSYさんと挨拶もそこそこに...「これじゃ楽しくなさそうだし、今日は川下りはナシということで。」判断基準が近しい人と一緒だと本当にアリガタイ(笑)
そのままNESSYさんのVOLVOに先導されて、彼が校長を務める
夢の学校アウトドアスクールのベースキャンプ“山の学校”へ。こじんまりとした校庭の奥に建つ昔ながらの小学校の校舎。廃校になった小学校をそのまま借り受けて使用しているので、昔懐かしい雰囲気がとてもいい。中に入ると、建物の北側にずっと奥までのびる廊下。廊下の南側には教室が並び、各教室には黒地に白文字の看板が下がる...昔は“職員室”とか“音楽室”とか書いてあったんだろうな...僕らの年代には懐かしく、子供達には新鮮な素晴らしい建物だ。

僕が校長室に上がらせてもらって、いつもの“呑んだくれ”(失礼!)ではなく、すっかり校長先生の顔になってるNESSYさんから夢の学校の活動や今後の予定なんかを聞かせてもらってる間、Mamaと子供達は校庭で四ツ葉のクローバー探しに興じている。

「あった、あった!」「わぁ〜、五ツ葉だ!」10分ほどの間に10本近くの四ツ葉&五ツ葉を探し当て、「今日はきっと良いことがある日よ!」と上機嫌なMama。この単純さに困ってしまう時もあれば救われる時もあるんだけど...。
NESSYさんにリバートレッキングのコースを案内してもらった後、我が家はMama&子供達念願の
白浜アドベンチャーワールドへ向かう。

30分ほど走ると遠く湾の向こうに大きな観覧車が見えてくる。アドベンチャーワールドだ。『楽しそうだなぁ...』普段は野遊びばかりで遊園地に連れて行ってもらえない子供達(Mamaも含む)の目はキラキラ輝き、『GWだし、混んでるんだろうなぁ...』人ごみが大嫌いなPapaの目は輝きを失う(笑)。
ところが、そんなPapaの悪い予感は的中せず、アドベンチャーワールドのパーキングは空きまくって「どこにでも停めて!」状態。俄然、元気を取り戻しDiscoのサイドブレーキを引いたPapaの視界に嬉しい“モノ”が飛び込んで来る。ん?あれ?カヌーを積んだバーガンディ色のクルマが隣に停まったぞ?VW ヴァナゴン T3キャラット...チキンルートさんだ!紀伊半島を時計回りの我が家と反時計回りのチキンルート家が待ち合わせたわけでもないのに、タイミングばっちりで(しかも同じ駐車場で)出会う偶然たるや尋常ではない!相手が女性だったら『君とは運命の赤い糸で結ばれてるね』の世界だけど、残念ながら同じ37歳のオジサン同士(笑)。「ま、変わった趣味の人は、頭の中まで同じなのね。」とMamaにバカにされるのが関の山なのだ。


恒例のペンギン釣り

ゾウガメが歩いてた!

年下の女の子が大好きなAzuは、会ってスグからチキンルート家のMoyuちゃん&Miyuちゃんの手をつないでランラランララン(笑)。動物大好きMaakunは、お気に入りのペンギン釣り(笑)や、ほぼ放し飼いになってるゾウガメに大興奮。アシカ〜イルカ〜オルカと矢継ぎ早に行われるショウ、日本にいる6頭のうち4頭までがここにいるというパンダ、そして何と言ってもここの売り物であるサファリツアー...大人も子供も大満足のアドベンチャーワールドなのであった。

夕方までアドベンチャーワールドで楽しい時間を過ごした後、白浜のホテルに泊まるチキンルート家と別れ、一枚岩キャンプ場に戻ることにする。道の駅・イノブータン王国でNESSYさんと合流し、途中「夏になったらシュノーケリングを楽しもうね!」と約束してるビーチの下見をして、そのまま古座川沿いに建つ“シェフとマダムがいる屋台”「一雨のつくし」へ。一年ぶりに訪ねた「一雨のつくし」は去年の波板ポリカトタン張りではなく、ちゃんとした壁や屋根のあるキャビンに姿を変えている!(去年の様子はこちら)しかも、10人も入れば満席だった店内も30人ほど座れるように広がり、川を望むテラス席まで設けられている!今回は忙しそうでシェフと話すことは出来なかったけど、「あ、去年来てくれた三重県のカヌーの人たちやね。」とちゃんと覚えてくれてて感激だ。


すさみの海岸にて

今年も新装“一雨のつくし”で夕食

地元のオジサンたちや生後間もない赤ちゃんを連れた家族連れ、途中からは古座川クリーンアップのスタッフの皆さんも加わり、賑わう店内で味わう生ビールと相変わらず旨い料理に舌鼓。古座川宴会一次会はやはり、ココでなければイケナイのだ!

一雨のつくしで楽しい時間を過ごした後は、二次会へ突入。二次会といっても古座川上流に他にお店があるわけでもなく、キャンプサイトに戻って焚き火を囲んで語らうだけですが...。
カシータの前に並べたガタバウトチェアにドッカリと腰を沈め、NESSYさんとふたり、あんなことやこんなこと...オトコの語らいを楽しむ。

半袖でヘーキな寒さに強いNESSYさんとは違い少し肌寒く感じた僕は、焚き火台に並べたアカシアの薪に火を点す。それまでカシータの車内でトランプやUNOを楽しんでたMama&子供達も火を見てゾロゾロとカシータから出てきてみんなで焚き火を囲む。シェラカップで焼酎をちびちび呑みながら過ごす至福の時。「あっ、流れ星!」Mamaが小さく叫び、みんなが空を見上げると...そこには、星座が判別出来ないほど無数の星が散らばっていた。「三等星も余裕で見えるな。」星座まで詳しいNESSYさんの解説を聴きながら、魅入られるように星空を見上げるMaakunとAzu。大人ってのはこうでなくっちゃ!子供に尊敬される大人の好例を目の当たりにして、もっと勉強しなくっちゃ!と反省する僕なのであった。


少し肌寒いので焚き火を楽しむ

Maakun、あれが北極星だよ。

 


お酒を呑みつつ星空を見上げるNESSYさん

(つづく)


 

4月27日 古座川ダウンリバー

晴天である。カシータのカーテンを開けるまでもなく、晴天と判る明るい朝なのである。昨夜は前日の寝不足が祟って珍しく10:30にシュラフのにもぐり込んだおかげで8時間快眠。6:30に寝覚める。寝ぼけ眼のまま子供達が眠るガウチョベッドの下から取り出したPRIMUSのツーバーナーを右手にパーコレイタを左手に持ち、カシータのドアを開け外に出ると、目の前に広がる雲ひとつない青空!


サイトから上流側を望む

蝉が鳴いてたりして、本州最南端・串本の亜熱帯(?)の珊瑚の海から10kmしか離れてない古座の空気はすでに初夏の匂いがする。
我が家のキャンプ朝食の定番「デカフライパンモーニング」(by ともちゃん キャベツとチョリソを炒め、そこに卵を落として目玉焼き・・・洗い物を最低限に抑えるカヌーイストの忙しい朝にぴったりのメニューだ。)を作るMamaの横でパーコレイタがポコポコと心地よい音を起てているのを眺めつつ、僕はカヌーを河原に下ろしスローロープやペインターロープ、そしてベイラーをカヌーにセットしたりしてダウンリバーの準備を始める。“朝飯前”にはちょっと辛い作業だ。
室内の明るさに耐えかねて起きてくる子供達をパジャマからウェットスーツに着替えさせる。揃って朝食を楽しんだ後、ぐっすりオヤスミ中のNESSYさんを起こし彼の朝食を準備している間に、ダウンリバーの準備はほぼ完了する。

『akiちゃん、クルマの回送してあげるわ。』急用が出来てこのまま帰宅しなくてはいけなくなったNESSYさんの申し出に甘えて、ゴール予定ポイントへのクルマの回送を済ませる。今日のゴール(予定は未定)ポイントは月野瀬温泉・ぼたん荘正面の河原。朝の段階の水位では少し接岸アプローチが難しそうだし、そのすぐ下流に清潔なトイレ付きの広い河川敷公園もあるのだけれど、GWということで人が多そうなのと、万一沈してしかも天候が悪化した場合ゴールした時に“ゴールに着いたら2分でぼたん”(玄関開けたら2分でご飯、の節で言ってみてね...笑)なココは花も恥じらう若い女性(ぷっ!)&子供連れである僕らには最適と判断した次第。(それにしても、道路からのアプローチが難しい宮川をホームリバーにしてる僕らには、どこからでもフネを上げられる古座川はパラダイスに見える!)


キャンプサイトの朝

卵石の数々(手前右がアミダくじ石)

「せっかくカヌー積んで来たのに楽しめなくて申し訳ないっす!」そんな僕の言葉に「ん?あっ、コレ?コレは日除けですわ。」ルーフに積んだグリーンのHUNTERを指差しながら、春のそよ風のように(ぷっ!)去って行くNESSYさんを見送りキャンプサイトの片付けを済ませた僕らは、河原に下りてAzu念願の卵石探しを楽しむ。卵石?なんじゃソレ?
...ここ古座川の河原はまるで卵のように真ん丸の石が数多くあって、、それが本当にカワイイ。
(宮川の“カラフル石”や熊野川の“那智石”など川によって河原の石の種類が違う。河原の石拾いも川遊びの楽しみのひとつなのだ!)
今回は珍しい“アミダくじ石”も見つけて大満足のAzu。Maakunは水辺に座り込んで、尖った石を研いで石器作りに夢中だ。

9:00を過ぎた頃、キャンプ場へのスロープに“一枚岩色”のヴァナゴンが見える。チキンルートさんの到着だ。前もって紀伊半島一周の旅に出ることは聞いてはいたけど、待ち合わせたわけでも特に一緒に川を下ろうと約束したわけでもなく、偶然アドベンチャーワールドで出会ってその場でダウンリバーにお誘いして...小さな子供連れの旅は何もかもが不確定なわけで、計画書を作ったり出欠をとったりっていうんじゃなく、こういうイイカゲンでアバウトなおつき合いってのが丁度良いんですな。その方が楽しいしね(笑)


コザガワ・ガールズ(後方に陰陽の滝)

さあ、古座川に漕ぎ出そう!

チキンルートさんが、ダウンリバーの準備をしている間、Azuは昨日に引き続いてmoyuちゃん&miyuちゃんを引き連れて、お姉さんぶりを発揮。あのChichoにまでナメられている“チビッコ”Azuが『流れが速いから川に入っちゃだめよ!』とか言いながら2人の妹たちの世話をしているのを見ていると笑いが止まらない(笑)。一方、moyuちゃんも3つ年上のAzuが好き、というか憧れみたいな感情があるようで、今朝はスカート派で普段は絶対履かないズボンを履いたり、バンダナを頭に巻いたり“Azuの真似っこ”だったそうだ。
そんな微笑ましい三姉妹を眺めつつ10分ほどでダウンリバーの準備が完了。10:00ジャスト、CAMPER(Papa&Azu)、PATHFINDER(チキンルート家)、HUNTER(Mama&Maakun)のOld Town Canoe三兄弟が一列になって一枚岩前の比較的速い流れに乗ってスタート。UFOのような古座一枚岩物産センターを横目に、ぐんぐんと進む僕ら...のはずだったけど、『あっ、忘れ物!』と Maakun。な、なんなんだ!?「一枚岩のかけら拾うの忘れた!」ホッ!


一枚岩をバックに漕ぎ出すHUNTER(Mama&Maakun)

陰陽の滝の下流の岩場に上陸して一枚岩の真っ赤なかけらを拾った後は、本当に順調に下流に向って進む僕らだ。昨日までの雨のおかげで過去2回のダウンリバーに比べ数十cmは水位が上昇している古座川。細かな白いシルトを含んで多少の濁りがあるものの、それでも透明感溢れるミントグリーンの水質を保っているのはさすがだ。橋を越え、初めての瀬。いつもはクリーンアップ大作戦のスタッフの方が立って通過できるラインを指示してくれてたのだが、今日の水位だとどこを通ってもボトムを擦る心配はない。その後もいくつかの小さな瀬を越えるが、水深は充分に確保されていてアウトに倒木や竹のストレーナーがあることを除けば、全くもって危険のない瀬ばかりだ。当然ながら隠れ岩も多数点在するけれど、そのほとんどが水面下20〜30cmに頂があり、僕らの軽いフネが捕捉されることはなさそうだ。(透明度が高く陽光が眩しいほどななので、川底の様子が遠くからも見える!)


漕ぎ出してすぐに一枚岩に上陸してかけらを拾う

そうは言っても「家族でカヌーで川下りするのは今日が初めてなんですぅ!」なチキンルート家を気遣って、瀬のたびにルートを指示し瀬の下のエディで待機するよう心掛ける僕。『まるでツアーリーダーみたい、うふふ...』
ところが、水上でアレコレ話すうち、とんでもないことが発覚する。聞けば、チキンルート家は「カヌーで」川下りするのは初めてだけど、「カヤックで」は初めてでもなんでもなく、僕なんかよりもずっとカヌー歴も長くニッポン中の川下り経験を重ねていたりするのだ。夫婦揃ってカヌー大学(野田トモスケ校長)の卒業生・・・だから、可愛いオジョウサマ系の奥様がシレっとエスキモーロールやっちゃったりするのって言うのだから恐れ入る。「へっ?そ、そうなんですか?」さっきまでの“うふふ”を恥じ入る僕であった(笑)。


眩しいほどの春の陽光
カヌーは速い流れに乗ってぐんぐん進む

ロールもやっちゃう奥様がバウを務める
チキンルート家のPathfinder

川下りを初めて30分ほどが経過した頃、Maakunの希望でパドラーチェンジ(笑)。ひとりで乗りたいって言うのかと思えば...「Azuと2人で乗りたい。」えっ、ウソ?でも、これまで『まーくんと一緒に川下りするのはゼ〜ッタイに嫌っ!』と断固拒否をしていたAzuが嫌がるかと思ったら、Azuも「いいよ。」えっ、ホント、ホントに本当??感涙にむせぶPapaとMama。もちろん子供がタンデムを組めるほどに成長したってことも嬉しいのだけれど、CAMPERを買って7年、7年ぶりに夫婦、しかもコブなしでタンデム川下りが出来るのだ!!!


豊かな水量に恵まれた古座川をゆく“おこちゃま”艇(Azu&Maakun)

子供達のHUNTERに寄り添うように僕ら夫婦のCAMPERが古座川のミントグリーンの瀬を下って行く。

いつもならバウに子供&スターンに親という極端な体重差でバウを持ち上げるように進むカヌーも、“アダルト艇”“おこちゃま艇”に分かれたほどんど体重差がない今日は、バランス良く見た目にも美しくて良い感じだ。瀬を迎えAzuが怖がるかと思ったけど、『カクレイワ発見!右デ〜ス!』などと情報を伝えながらMaakunの指示通りにニコニコ顔で瀬を下って来るのには喜びを通り越して驚きですらある。
そして、そんなおこちゃま艇を見守る僕らの“夫婦水入らず”艇、じゃなかった“夫婦で一緒に水に入っちゃってるゾ”艇も、ナンじゃコレ?って拍子抜けするほどに軽い漕ぎ味。直進ではほとんどラダーの必要がないから艇のスピードが速いのはもちろん、お互いの意志をカヌーの動きから読み取って無意識にパドルを動かすいわゆる“以心伝心”パドリングだから言葉も要らずでターンも自由自在。流れが緩やかとはいえ、増水して7〜8km/hの流れのなかで隠れ岩のエディにスパッスパッと切れ味鋭く切り込める(あまりに切れ味が良すぎてエディ進入後、勢い余って下流側から岩に乗り上げる場面も...笑)。
「みんな、こんな楽してたのね!」
「いやぁ、コレってカヌーの醍醐味だったりする?」
「カヌーって全然力とか必要ないのね。知らなかった!」
「やっぱり伊達に17年も一緒に暮らしてないぜ!」なんだか新しいカヌーの楽しみを再発見してすごく得した気分の僕らだった。


早瀬を進むおこちゃま艇


わっ!隠れ岩だっ!Azu!バック漕ぎだっ!

おこちゃま艇もかなり順調。「ぜったいさぁ、これからさぁ、Azuと乗るよっ。すごく良く曲がれるもんっ!」Maakunが大声で叫ぶ。「うひひひ...スゴイでしょ?」Azuも変な笑い声を上げて得意満面の笑み。


ちょっとした瀬なら笑顔で通過
安心して見ていられるAzu&Maakun

一時間ほど漕いで蔦の絡まった吊り橋が見えてくるとランチタイムだ。小学校前の河原にカヌーを寄せて(瀬の直前の着岸ポイントが狭く、上手く寄せたおこちゃま艇に針路を阻まれたアダルト艇がストリームアウトの体勢、つまり後ろ向きのまま瀬に吸い込まれるアクシデントも...笑。)背中から波を被ったのは初めての経験だったけど、気を取り直して瀬の下の河原でランチ。別々のカヌーに引き離されてたおじょうちゃまたちは、まるで磁石のN極とS極のように上陸するなりピッタンコ!(笑)河原の奥ですぐにお店屋さんごっこの開始だ。おかげで大人はゆったりとお喋りを楽しみ、12:50午後の部スタート。そしてその10分後、運命の13:00。目前には沈下橋。前回はコンクリートが露出していて左からふたつ目の橋脚の間しか通ることが出来なかったことを思い出し、おこちゃま艇に注意を促す。

まずはアダルト艇が細い橋脚の間をすり抜けるを...無事通過!そしておこちゃま艇も、針路を細かく修正しながら僕らの後ろに続く...こちらも無事通過。ところが...「何でやねん!オレの言うこと聞いとらへんやんけ!」「だってぇ、聞こえないんだも〜ん!」「それやったら返事すなっ!」「してないもん...エ〜〜ン」何と、沈下橋のコース取りを巡って大喧嘩して空中分解、じゃないや水上分解寸前のおこちゃま艇...「ちゃんと通り抜けたんやからいいやん!」Mamaがなだめるが、「Azuが反対漕ぐから底擦ったやん!」Maakunの怒りは収まらない。「ワタシのせいじゃないもん!」泣きじゃくるAzu。「いややぁ〜、Maakunと乗るのはいややぁ、もうカヌーはいややぁ〜」早くも“カヌー離婚”(夫婦ではないですが...)勃発。

心情的にはMamaはAzuの味方、そしてPapaはMaakunの味方なのだけれど、このままでは、またAzuの「カヌーってだっいきらい!」発言になりそうなので“優しいパパ”の出番。HUNTERのMaakunとMamaを先に行かせ、小川の合流点の河原にカヌーを寄せ、水辺に座ってAzuをダッコしながら慰める。優しい言葉をかけること5分、「Papaとだったら、カヌーも楽しい。」発言でニコニコAzuに戻って一安心。

兄妹喧嘩も一段落し、ここからはいつものペアに戻って、相変わらず心地よい流れの古座川を進む。川面スレスレを飛ぶカワセミのチィーっというドップラー効果のサラウンド。時折遠慮がちに鳴く蝉の音...そんな自然の声を聴きながら流れる僕らの頬を撫でる少し暖かなゼファー(微風)。このままずっとゴールが来なければいい...そんな風に感じるダウンリバーは年に何回もないけれど、今日はまさにそんな一日だ。
ボトムに座って前方の景色を楽しんでいたAzuが、ふと僕の方に振返って呟く。
「カヌーっていい遊びよね。」
泣いたカラスがもう笑った...言葉にするとまた怒るので、ココロの中で苦笑いしながら呟くPapaであった。

「“移ろいやすきは少女のココロと紀伊の空”だなぁ。」「どういう意味?ねっねっ、どういう意味よ?」しつこく尋ねるAzuをはぐらかしていると、目前に少女峰が見えてくる。


ゴール前の少女峰

古座川ダウンリバー

月野瀬温泉のチキンルート家のヴァナゴンT3CARAT

少女峰(別名・十七ヶ岳)は月野瀬温泉の前にそびえる優美な峰で、その名はある伝説に由来しているという。伝説とは...その昔、月野瀬にお藤という17歳になる美しい少女がいた。お藤は若者達の憧れの的だったが4kmほど離れた重畳山の寺に滞在する若い修行僧を慕っていた。ある日、古座川河口沖の九龍島の海賊の首領・藤四郎がお藤に横恋慕し連れ去ろうとしたので、お藤は重畳山に逃げよう山に入った。ところが追手に追い詰められたお藤は高い峰の上から古座川の渕に身を投げてしまった。
お藤かぁ...そう言えば今、藤の花が満開だよぁ...Azuが17歳になるまであと9年。こいつは重畳山の若い修行僧を追い詰めちゃって「重畳山」って名前を「坊主ケ岳」に変えちゃうタイプだよなぁ、なんて変な想像をしてたら、目の前にDiscoの後ろ姿が見えて来て、13:45、幸福なダウンリバーは終わりを告げたのだった(笑)。(十数kmをランチ&休憩2回で3時間45分...子連れにしては、なかなかのペースでした)

奥様たち&子供たち&カヌーを残して、僕とチキンルートさんはDiscoの窓を全開にして一枚岩に向かう。一枚岩でカシータを繋ぎ、再び月野瀬へ。駐車場にかなり苦労してクルマを停め、みんなで温泉に入る。丁度良い湯加減の温泉に体を沈めると、少し日焼けした腕のヒリヒリ感がこの上もなく気持ち良い。
お風呂上がりは、冷え冷えビールが飲みたいところだけど、まだここから200km以上の運転が控えているのでその隣の古座川特産柚子ドリンク“柚香ちゃん”(¥110)で我慢する。
これから一枚岩でキャンプするチキンルート家と月野瀬温泉で別れた僕らは、再びR42に入って北を目指す。


夕方まで遊んで20:30には帰宅できた!

「いい旅だったね!」「そうね、でも日置川は残念だったわよね。」「古座川も良かったけど、日置川はもっと良い感じがしたな。」「5/3からもう一回来る?」「冗談だろ?」
「でも3日はカヌーはダメよ!イノブータン王国のイノブタ・ダービーだからね!」
アドベンチャーワールドで買ったパンダとNESSYさんからプレゼントされたイノブタのふたつのぬいぐるみを胸に抱いて、Azuは真剣な顔でそう言った。

 


豊かで速い流れに身を任せ、ついでにAzuにフネまで任せて昼寝するMaakun

 


 

4月14日 お花見カヌー(奥琵琶湖・海津大崎)

 


湖独特のうねりに苦しみながら延々と続く桜並木をゆく

 

桜満開の時期に常夏の楽園に遠征していた我が家。我が家の近所の桜も8分咲きならぬ8分散り(涙)で葉桜が目立つ今日この頃だ。結局、今年は花見出来なかったなぁ、なんて残念がっていたら、マジコさんのBBSにTAKEさんの興味深い書込みを発見!「今週末は、お天気次第ですが昨年同様琵琶湖でお花見カヌーを楽しむ予定です。」これだっ!(笑)
図々しくも、すぐにTAKEさんに電話して参加させてもらうことにする。そこへアキヒロさんから「今週末の予定は?」メール。ついつい電話で「お花見だよんっ!」って自慢してしまい、ノリの良いアキヒロ家も参加決定!

6:15a.m.いつものSAでアキヒロ家と待ち合わせてTAKE家へ。カヌーを載せた3台のクルマを連ねてTAKE家から現在8分咲きの奥琵琶湖・海津大崎へ向かう。北陸道・木之本ICを降り、R8を経由して約一時間半で琵琶湖畔に到着する。湖岸にクルマを停め、「一日中青空が広がる穏やかな行楽日和」のはずなのに、空は雲に覆われ湖面を強風が吹き荒れる中、カヌーの準備。セッティングしている間にも沖合いには花見客を乗せた大型の遊覧船や漁船を改造した屋形船、ヨット、モーターボート、シーカヤックetc.がひっきりなしに往来し、僕らがクルマを停めた場所がすでに海津大崎の桜並木の中ほどに位置していることを物語る。別にカヌーで漕ぎ出さなくても桜を見ることは出来るのだけれど、湖岸から湖面にせり出すように咲き誇る千数百本の桜を堪能するためには湖面に漕ぎ出すことがベター。全員の準備が出来次第、強風に乗って風下・南西に向けスタートする。


川人(カワンチュ)が湖に漕ぎ出す!気分はもう、スペリオール湖!

遠くに霞む竹生島の淡い島影を左に見て湖岸から100m以内を岸に沿って南下する僕らのカヌー。普段漕いでいる川とは違い、広い琵琶湖は強風によるうねりが生じていて、まるで海のよう。時折バウがたてるバシャン!という音にビデオで見たBill Mason一家のスペリオール湖でのカヌーイングが思い起こされ、思わずバウのAzuをBeckyと呼んでしまいそうになる僕だ。(笑)


遊覧船とちっぽけなカヌー(アキヒロ家)

海津大崎の桜は今日が満開

ただ、スペリオール湖と明らかに違うのは行き交うフネの多さ。遊覧船&屋形船はともかく、スキー手袋と市場規模がほぼ同じというマイナーな世界であるはずのカヌー界だというのに、このシーカヤックの多さはナンダ!
マキノ浜からスタートしたと思われるリジッド、ファルトまぜまぜのシーカヤックの船団が途切れることなくドンドンウジャウジャやってくる。
「都会はすごいのねぇ。」
一日かけて20km下ってもカヌーはおろか人にも会わないのが普通だと思っているMamaは驚きを隠せない。でも、すれ違うシーカヤッカーはみんな陽気で必ず挨拶を忘れないってのが気分良い。(結構、大変だけど)

 


追い風のパワーを得るため自らスピンネ−カ−になるMaakun
(SPINNAKER=追い風のとき使うパラシュートのように展開されるセール)

視線を右に移せば、緑の山々をバックに今まさに満開の桜が振袖の帯のように途切れることなく続き、まるで絵に描いたような美しさである。追い風に乗って30分ほど進んだ場所で僕らは狭い岸辺にカヌーを着け、桜の樹の下で休憩をとることにする。いつものことながら、少年たちは接岸早々に岩登りを開始。


ランチポイントで寛ぐカヌーイストたち

またもや岩登り(and 水中へ落下)

岩の上でおにぎりを頬張る河猿たち

オジョウサマとヨット

オジョウサマ方は湖岸の平たい石や草、小枝を使ってオママゴト(レストランごっこ?)。「いらっしゃいませ!ご注文は?」何度も何度も注文を取りにくる小さなウェイトレスさんに辟易しながら缶ビールをプシュッ!座り心地の良い岸辺に座ってご機嫌ご機嫌(笑)。結局、休憩のはずがそこに座り込んだままランチタイムになだれ込む(笑)。いつものおにぎり&ラーメンの簡素なランチも桜の花の下で食べると、また違った感じで美味いものだ。


奥琵琶湖は今、春を迎えたばかり

 

一時間半ほどを湖畔の岩場で過ごし、スタートポイントに向けMama&MaakunのHUNTERを先頭に一列になってカヌーを進める。湖畔に陣取る花見客の声が聞こえるほど近いのは出来れば避けたいのだけれど、午前中よりも岸に近いコースを取る遊覧船を避けるように沖合い20mほどを進む僕ら。
スタートして5分ほど経った時、河原からHUNTERの方向に石が投げられるのが見える。危ないなぁ、そう思いながら投げた少年を確認しカヌー4〜5艇ぶん先行するMama艇に視線を移すと、Maakunが頭を抑えてわめき散らし、Mamaが大声で叫んでいるのが見える。Maakunの黄色い帽子やパープルのPFDの色が変わっている...慌てて近づくと...


緊急事態発生につき放送休止中

...正直なところ、そこから10分ほどの記憶は断片的で時系列に合わせて思い出せない。

これまでも、この程度の怪我は何度か経験しているはずなのに、とにかくボーイスカウトの救護章なんてのは、大量の血を流し倒れる自分の息子を前にすると屁の役にも立たないことは確かだった。目は見えるか?指は動くか?耳はきこえるか?瞳孔をチェックしなければ!そう思いつつも何も出来ないダメな父親。滅菌ガーゼで止血を施した後は(一度は滅菌ガーゼとサロンパスを間違える始末)浜に散らかった瞳孔チェックのためのミニマグライトを空しく眺めながら、彼を背中から抱きしめることしか出来なかった。
そんな時、彼が震える声で僕に尋ねる「あした、明日...学校行けるかな?」この一言で我に返った僕。アキヒロさんの差し出してくれた携帯で迷わず119をコール。

「投石が当たり左側頭部挫傷です。約30mmです。出血はかなり多いですが、意識はしっかりしていて吐き気はありません。止血処置は済んで現在、出血はありません。場所は...。道路の渋滞は視認する限りありません。」先ほどまでの自分では信じられないほどに冷静に状況を説明し、再び彼を抱きしめる。
15分ほどで救急車が到着。彼の肩を抱いて救急車に乗り込む。血中酸素を計るクリップを指に付けた彼を救急隊員さんと二人で抱き続ける。「オレ、石頭だけど、やっぱ石には負けちゃったな。」車内に小さな笑い声が響く。「学校行けるかな?大丈夫かな?」彼はしきりに学校に行けるかどうかを心配しているようだ。
救急車は病院と無線で連絡を取りながら、渋滞した道路を逆走し、10分ほどで病院に到着。すぐに手術室で縫合しX線撮影で治療は終了。どうやら頭蓋骨には異常がなさそうだ。ホッ!

その後は待合室で警察の事情聴取だ。5人のお巡りさんによれば、傷害事件として立件するかどうか50:50なのだそうだ。何度か加害者の故意性を確認されたのだが...Maakunが「たぶんわざとじゃないと思います。狙っても当たんないです。」と一言。
「だよな。」一番年輩のお巡りさんが、Maakunの肩をポンと叩いて「じゃ、お母さんのところへパトカーで送ってあげよう。」

トンネルの壁を照らす回転灯のファニーな動きをパトカーから見て笑い転げるMaakun。パトカー初体験は驚きの連続。あっという間で、みんなの待つスタートポイントへ。スタートポイントではTAKEさんとアキヒロさんがカヌーや装備をすっかりDiscoに積込んでくれてあって、大助かり。(サンキューでした!>TAKE家&アキヒロ家)保険証を届けるため再び病院に戻らなくてはならない僕らのDiscoは、みんなの見送りを受けながら可愛いTeriosパトカーの先導で桜並木を走る。


パトカーに連行、じゃなかった先導されるDisco

「なあ、Maakun、もう琵琶湖は懲り懲りだろ?(笑)」「ううん、楽しかったよ。石が頭に当たるのはもう勘弁してほしいけどなぁ。(苦笑)でも、救急車にもパトカーにも乗れたし、今はあんまり痛くないし。」ルームミラーを覗き込むと、そこにはメロンネット姿のいつになく可愛い彼がちょこんとリアシートに座って笑っていた。
「明日体育は休むから学校行かせて、お願い!」はいはい(涙)

 

   

April.2003 MENU

 

 

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