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July.2002

 

 

7月26-28日 うなぎ、再び...キャンプinn海山キャンプ

 


銚子川にかかる虹

「なんだか一泊二日だと忙しいよね。」「フツーにキャンプするだけならそれも気軽でいいけど、カニ、エビ、ウナギなんかを『漁』すると特にね(笑)」「最低でも一週間はいないと海山は遊び尽くせないかも。」とはいえ、そう簡単に一週間も休めない我が家は、なんとか3日間の休みを無理矢理作って、またまたやってきましたキャンプinn海山。
今回も前回に引き続き“謎のミヤマ−”S氏のおかげでウナギ漁を楽しませて頂けることになっている。「仕掛け100本ありますから、カヌーで全部引き上げちゃってくださいね〜!」ヒャ、ヒャッポン!前回は5本で1尾の確率だったから...100÷5=・・・20尾!ウッシッシ...ウナギでご飯が見えな〜いってな鰻丼が食べられるゾ!(...と捕らぬ鰻のウナ算用...笑)


うぁ〜瀬だぁ〜!

ヒヒ〜ン、お尻打撲ぅっ!

♪お〜て〜て〜つ〜ないで〜激流ぅ〜いけ〜ば〜♪

前日を仕事三昧で過ごしてしまった僕らは、当日、子供達がラジオ体操から戻った頃から準備を始め、いい加減ながら8時過ぎに準備完了。
朝食を食べて10:00に出発。途中で昼食を済ませ昼頃に海山町に入る。

「今日も堰堤ウォ−タスライダ−は出来るかな?」Maakunは呪文のようにそればかり呟いてる。R42を右折して銚子川沿いにしばらく走ると吊り橋とキャンプ場が見えてくる。「ウォ〜、リバーサイドサイトが全部埋ってるよぉ!」大人はキャンプサイトの混み具合に目を奪われる。「ウォ〜、な、なんなんだ、この水量は!」Maakunは堰堤を激しくオーバーフローしてる男性的な流れに目を奪われる(笑)。
折からの雨で増水した銚子川。川幅いっぱいに堰堤を流れ下る速く激しい水流が堰堤下の消波ブロックに当たってハイドローリック(=上流に向かって巻いている循環流)を生じている。この流れ、たとえ腰下の水深であっても補足されて死亡事故が発生する可能性が高いカヌーイストならみんな知ってる“死の流れ”。「今日は堰堤スライダーは禁止!」僕がそう告げると「ハイドリーロックになってるし、しゃあないよな。」Maakunも諦め顔で自主規制。(*正しくは「ハイドリ−ロック」じゃなく「ハイドローリック」なので念のため!...笑)

キャンプ場に着いてOさんを始めとするスタッフの皆さんに挨拶とチェックインを済ませ、最近では我が家の定位置となっているA-1サイトに入る。「実はakiさんが間もなく到着するのわかってたんですよ。荷坂峠ですれ違った役場の人からこちらに情報がリアルタイムで入ってたので...」う〜ん海山の007はなかなかの情報収集能力だな(笑)。

先に到着してた影ちゃんに手伝ってもらってカシータを定位置に入れて(米国製トレーラーは出入り口&オーニングが右側にあるためバックで直接入れることは出来ない!)1時間ほどで設営完了。

そして汗だくの僕とMaakunはたまらずウェットスーツに着替えて川へ。「何かイイ感じだよね〜!」「お前もそう思ったか?」「イヒヒヒ...」「エヘヘヘヘ...」僕らが顔を合わせて同時に思いついた企みとは...『河童流れ』。念のためPFD(ライフジャケット)を身に着け、お尻を保護する黄色い「人間スキッドプレート」をフィッティングした僕らは堰堤下の瀞場へドボン!足を下流に向け仰向けのディフェンシヴスイミングの姿勢をとってふたり並んで瀬を流れ下る。

「ファッファッファ!」「ヒヒ〜ン、オモシレ〜!」河原で水遊びをしている人達の呆れた感じの失笑を買いつつ、ザッブンザッブン波を被り、浅瀬ではガンガンお尻を川底の石にぶつけながら300mほどを一気に流れ下る。「涼し〜い!」「気持ちイイ〜!」「ケツ痛ぇ〜!」


両手をふさがれると泳ぎにく〜い!

吊り橋近くの階段まで下った後は、一気に階段を駆け上がって、水飛沫をバシャバシャ飛び散らせながらキャンプ場内の周回道路を堰堤へ全速力で走る...結局これを8回繰り返し、最後にマジコ家のはるひよかれんちゃん三姉妹&Azuも一緒に河童流れを楽しむ。すでに「一人前の河童な」はるひよ&Maakunは平気だけど、小2コンビのかれん&Azuはちょっと怖いみたいなので、僕がおててつないで下る。途中で波が鼻口同時に入って呼吸困難になったAzuが泣いたけど、ま、楽しんでくれたってことにしておこう(笑)。
やまきたさんも到着して、みんなの設営が済んだところで、お待ちかねのウナギ漁に出発。クルマを3台列ねて走り出したところで、今日到着してから4回目の雨、しかも今度はワイパーをHiにしないと視界不良になるほどの雨が降り出した。漁場に到着したものの、小さな子供連れでの土砂降りの中での漁は不可能と判断して、涙を飲んでUターンすることに。

途中S氏の実家に立ち寄って、まさにウナギの“仕掛け人”S氏のお父さんにご挨拶。お父さんに捕れそうなエリアをレクチャー頂いて、再びキャンプ場へと戻る。
キャンプ場では各々が家族ごとに夕食の準備。我が家は、今回も準備不足により焼肉BBQ。ま、遊びが忙しすぎて豪華ディナーを料理してる時間がなかったから正解だったけども...。焚き火台を囲んでタン塩を肴に味わうビールの美味いの美味くないのって!
子供達はサ−マルクッカ−で仕込んでおいた炊きたてご飯にカルビを載っけてカルビ丼。時折シトシトと降り続く雨のなか、ハ−ハ−フーフー家族の夕餉はいつもながら素敵な時間だ。「食べる直前まで遊べるから毎回焼肉でもいいよね。」Maakunの言葉に深く頷く一同。


夏の定番「焼肉BBQ」

夕食が終わって、曇り空でいつもより早い夕暮れを迎えると、いよいよ焚き火タイム。我が家の焚き火台を囲んで、みんなで輪になって語り合う。気が付けば、時計の針は午前0時を回り、キャンプ場は静寂に包まれている。「明日もあるし、そろそろ寝ましょう。」誰かのそんな声に、皆それぞれのサイトに戻って、海山の1日目は終わったのだった。

夏も焚き火は欠かせません
久々にnokoさんに会えた!

 

 


7月27日 いよいよ、うなぎ捕り 「ねぇねぇ、起きてよ。マジコさんち、もう行動開始してるわよ。」「ん〜!?」カーテンの隙間から外を覗いてMamaが僕を揺り起こす。「もうちょっと寝かせてくれ〜。」河原のキャンプの時は、天候や増水、そして深夜の人影、動物など常に家族を守らなければならないオスの本能が働いて完全にぐっすりは眠れないのだけれど、オートキャンプ場、しかも慣れたカシータのベッドだと前後左右不覚(笑)になるほど深い眠りに落ちてしまう。キャンプを始めて30年近く続けてきた「枕元に着替えとナイフ」の習慣も最近は「脱ぎ散らかした服とビールの空き缶」になってしまっている(涙)。
『彼女とキャンプに行けたら、早起きして美味しいコーヒーを煎れてあげるんだ!』などと誓ってた恋に恋する少年も「パパァ〜いい加減に起きなさいよ!フレンチト−ストが冷めちゃうじゃないの!」なんて娘に鼻を摘まれフガフガ言ってる、ただのぐうたらオヤジに成り果ててしまった。
ヨレヨレのシャツを捲って背中をポリポリ掻きつつ短パンに片足を通しながら外に出ると、今朝も雨。パーコレイタにコーヒーを入れてツーバーナーに火を着ける時はまだ半分眠ったままだけど、あたり一面にコーヒーの香ばしい香りが漂う頃に、やっと目が冴えてきて、バカウマのフレンチトーストを頬張る頃にはいつも通りCamping Highな僕に戻る(笑)。

漁場にカヌーを浮かべてウナギの仕掛け捜索
男の子ふたりの後ろにはさり気なく小2コンビが

「さぁ〜て、ウナギ行っちゃいましょうかぁ〜!」朝食を終えたみんなと共に漁場へ向かう頃には雨も上がって薄曇りの「ウナギ漁日和」。水面にカヌーを下ろしてカヌーに乗ったママ&お嬢さまたちの「仕掛け捜索隊」の後方から、両手にタモ網を持った「仕掛けサルベージ隊」のパパたちが水を濁らせないようにゆっくりと歩を進める。まずは唯一の経験者の僕が「こんな風に上げるんですよ。」なんて言いながら岸辺近くの仕掛けを上げる。するとパイプが太鼓のような音を上げて揺れる...「は、入ってるよっ!」いきなり大物ゲット!その隣の仕掛けを引き上げると...ポコポコポコ「あっ、まただよっ!」これまた大物ゲット!
「100尾とか捕れたら困っちゃいますねぇ。」
「捌ききれないし喰いきれないよね。」
「ま、20尾ぐらいで打止めにするということで...」
そんな驕り切った発言を繰り返したバチが当たったのか、それ以降は仕掛けが“ポコポコ”鳴るような大物はちっともかからない。“ピチャピチャピチャ”なハゼや、押さえた指がくすぐったいほどの“ドジョウより細いゼ!”なチビうなばかり。結局2時間の奮闘も空しく、なんとか捌ける大きさの釣果は5尾!という結果になった。でも、何故かみんな大満足な表情。「だって楽しかったんだもんっ!」(by Azu)
キャーキャーワイワイ言いながら水の中を歩き回って、妙に人懐っこい川鵜をからかって、気がついたらAzu&カレンちゃんの小2コンビが自在にCAMPER乗りこなしてて...ホントにあっと言う間の2時間。帰り道のスーパー・SHUFUNOMISEに立ち寄って「大特価鹿児島産鰻蒲焼¥980」を買ったってのは内緒にしておこうっと(笑)

至近距離まで接近を許す呑気な鵜
やっと逃げた!
でも羽毛が濡れて飛べない(汗)

「じゃ、流しそうめん、行っちゃいましょうか〜!」(コレばっかり...笑)
キャンプサイトに戻ると、いよいよ今回のキャンプの“影のメインイベント”「キャンプで流しそうめん」が始まる。暑い昼間のリバーサイトで一番のご馳走はやっぱりヒエヒエのそうめん。どうせやるなら「流し」でしょ!ってことでマジコさんに相談したら「いやぁ〜うちは庭で流しそうめんやっちゃってますからぁ。」なんていうトンデモない答えが(!)。今回はそのマジコ家の家財道具「お庭で流しそうめんキット」をキャンプ場に持ち込んでもらうことになった。

加えて、前日ホームセンターで見かけた秘密兵器(『アウトドア流しそうめん』の効率を飛躍的に向上させる!...かな?)をそれとなくマジコさんちのBBSに書込んだら、やっぱり彼はちゃ〜んと買っちゃってくれてました(笑)。それは...電動お風呂ポンプ¥1480!
雨樋を流れ下ったそうめんを下流のバケツのザルで濾して、大きな氷が入ったバケツで再冷却された水をお風呂ポンプが上流へ運ぶ...全自動で常に冷水が雨樋を流れ、水の使用も最小限...う〜ん完璧!「そうめんいきま〜す!」「ハ〜イ!」「お肉いきま〜す!」「待ってました〜!」次々と流されるそうめんや具。「う〜ん、右利きだと左岸はバックハンドになって不利だゾ!」「一番下流で待ってるのが楽チン!」「箸でストレーナー作っちゃえ!」リバーサイドサイトの中央に広がる芝生広場で真剣な表情で流れ来るそうめんをレスキューする異様な集団。


これが噂の全自動流しそうめん装置(改)マジコさん製作

そろそろ始めるぞ〜!
そーめんいきま〜す!
最下流が狙い目?

ワイワイガヤガヤ小1時間で20束のそうめんがキレイさっぱりみんなの胃袋に収まったところで、これまたキャンプinn海山でのメインイベント(笑)川遊びの開始だ。堰堤の上流のバックウォーターにカヌーを下ろし、上流に向け漕ぎ上がっていく。昨日から引き続いて水量が多いのでいつものプール状態ではないけれど、それほど苦労することなく上流の岩場に到着。後方から2艇のグモジュニをトレーラーのように牽いて漕ぎ上がってくるマジコ家のグラマンの姿が何とも楽しい。


カヌー下ろし場にカナディアンカヌー勢揃い

水位が高いこともあって透明度はいつになく低いけれど、それでも遊泳中に誤って飲んでしまっても不快感のない水質は健在。「普通さぁ、カヌーを漕いだ後ってのは喫水線に白い痕がついたりして汚れるでしょ?でもここは反対にピカピカになっちゃうんだよね。」ホントに水遊びしたあと川独特の匂いが身体に残ることがなくて、1時間も泳いでるとシャワーの必要性を感じないほど。(実際、スタッフのOさんは、僕らが流しそうめんをすると聞いて川でやるのだとばかり思ってたらしい。)
3時間ほど川を堪能して身体が冷え切ったところで、川から上がることにする。サイトに戻ると今回も二日目から合流予定だったUおじさま&Yokoちゃんから電話が入る。どうやら午前中に山仕事をしててギックリ腰になっちゃって今回は来られないらしい。今夜はO歳児のKazuくんとYokoちゃんにカシータを譲って、男連中はカシータの横に張ったEureka!で眠る予定だったんだけど、残念!

MamaのハンターとAzuのグモジュニ
Azuを守ってるんじゃなく沈させる機会を狙う

Maakun:ウッヒッヒ沈させたろかぁ?
カレン:ヤメテよ〜!
自分が沈!(笑)

太陽が西に傾き、蜩の声が響き始めた頃、いよいよ夕食の準備に取りかかる。今夜は今回のメインディナー『天然うなぎ丼』だ。前回はUおじさまのお父さんに捌いてもらったけど、今回は自分達でやらなければならないってことで、各自、捌くためのまな板、アイスピック、そして大型カッターナイフを持参している。午前中から狭いバケツに入れて少し弱ったウナちゃんの目と目の間をアイスピックで刺して板に固定し、関東式に背開きで捌く。

ぼ、ぼく初めてなんですぅ〜!
ビビビビと快音を残して骨が外れる
結構上手いじゃん!

尾までを開いた後は少し刃を斜めに入れながら背骨を引っ張る。ビビビビ...快音を残して上手く背骨が外れると、要所要所に刃を入れてキモを取り除く。ふ〜、上手く出来た!次は2匹目のウナちゃんを裏返して固定。関西式に腹開きで捌いてみる。キモを傷つけることなく開くのは難しいけど、背骨を取るのはこちらの方が簡単。今度からは腹開きだな、なんて思いつつ次々と捌いていく。そして3本の串で扇型に串打ちした後は、やまきたさん持参の角型七輪でじっくりと焼き上げる。「たまりませんな〜!」「この草っぽい香りが天然だよね!」「歯ごたえが養殖とは別物!」素人が捌いたおかげで小骨も完全に取り去られホクホクに焼きあがったウナちゃんは、子供たちにも大好評。結局、5尾の天然ウナちゃんは、丼に載せられる前にみんなのツマミ食いで全て胃の中に収まってしまったのでした。ふ〜極楽極楽!!


天然ウナギを七輪で蒲焼き

夕食を終えて、僕ら夫婦はクーラーボックスの板氷を買いに管理棟に向かう。エントランス前にあるイベント告知の掲示板を何気なく見たMamaが「あっ!」と短く叫ぶ。「今夜、紀伊長島の灯籠祭だわっ!」灯籠祭だわっ!っていう言葉には『今から行きましょう!』って意味を含んでることは16年もの長きにわたって夫婦してる僕は重々承知しております(涙)。サイトに戻って、みんなを誘うMama。みんな灯籠祭のことは知ってた(...けど誰も言い出さなかったってことは、あんまり行きたいくないってことなんだけど...あの人の誘いは強引だから...ね)ので、7:00過ぎ、急遽クルマを連ねて紀伊長島へ。


小さく見えてるけど、漁船より大きい灯籠

ほとんど渋滞もなくあっけなく警備員さんの誘導で港沿いの駐車場へ。会場がどこなのかも知らないままに、とりあえず歩いてる人達についていけば大丈夫だろうってことで、みんなで歩く。ひたすら歩く。必死で歩く。まだまだ歩く。突然、前方の空が明るくなって山の稜線の向こう側に花火の上端が見える。ん?山の稜線の向こう側??20分ほど歩いたところで警備のお巡りさん発見。「か、会場はどこですか?」「あ、この道を行くとね、ループ橋があるから、そこから見えるよ。そうだな、あと15分ぐらいかな?」ひ、ひぇ〜!

結局リアス式海岸沿いの山坂道を30分以上、2km近く“トレッキング”してループ橋に到着。みんなで湾内に浮かぶ青森“ねぶた”のような巨大な燈篭と花火を堪能することが出来たのだった。

またまた30分以上歩いて10:00、まさにヘロヘロになってキャンプ場に戻ると、お疲れモードのMaakunとともにEureka!で一休み。ユニフレームのエアマットの上に広げたシュラフのコットンの肌触りと天日干しの香りが心地良い。メッシュパネルから吹き込む涼やかな川風...フファ〜...思わず溜息が漏れる。

宇賀渓BBQ帰りにキャンプ場に立ち寄ってくれたよりちゃんも来てるし、そろそろ焚き火会場に行かなければ...とか思ってるうちに、そのまま眠りに落ちる。気が付けば、プロトレックのELバックライトには02:30の文字が浮かび上がってる。あ〜もうこのまま寝よ!こうして二日目の夜は撃沈したまま終わりを告げたのだった。(も、もしかして歳かな?、認めたくはないけど...頭の中で『♪お〜とこ30だ〜い、やるき〜はあ〜るけ〜ど、か〜ら〜だ〜がついてこん!♪♪」なんて古いCMソングが鳴り響く今日この頃...涙)

 


 


朝を迎えた我が家のサイト。Uおじさま用のEureka!では僕とMaakunが寝ました。

7月28日ウォータスライダー解禁! 「パパ〜。ライフジャケットはどこぉ?」Azuの声で目覚める。なんなんだ、こんなに朝早くから、まったくもう。朝食前からはるひよかれんAzuの“川遊び少女隊”は行動開始だ。どうやらサイト前の川でテナガエビ漁をやるらしい。

いいでしょ、コレ!
オジョウサマ達がゲットしたテナガエビ

オンシーズンのinn海山は、夕方までたっぷり遊べる「デイキャンプサービスキャンペーン」(10時チェックイン16時チェックアウト)はやってないので、お昼にはチェックアウトしなくてなはらない。そこで朝食を済ませたあと、すぐに撤収を開始する。撤収中にほりっちさん、TAKEさんが登場(あなた方も好きねぇ...)

川遊び少女隊が大物のテナガエビをゲットして自慢げにサイトに戻ってくる頃には、みんなの片付けもほぼ済んで、木陰でほりっちさんに差し入れて頂いたみーさん特製ケーキを頂く。サクサクなタルトに載ったボリュームのあるケーキが絶品!

カシータをパーキングに移動させ(なんと、サイトから人海戦術で一気に押して移動しました!)、みんなで堰堤のカヌーポートへ。
昨日よりもぐんと水位が落ちた穏やかな銚子川に色とりどりのカヌーが浮かぶ。
「ねぇ、ウォータスライダーやってもいい?」上目遣いのMaakunの問いかけにOKを出すと、男の子たちは一斉に堰堤を滑り始める。

お尻には人間スキッドプレート
ウォーターモックが最適!

少なくなったとはいえ、これまで6回キャンプした中でも最強の流れ。adidasウォーターモックを履いてるMaakunはなんとか自力で上がれるけど、Tevaな子は戻って来られない。Maakunはゴーグルを流し、たっちゃんはサンダルを流し、ともに行方不明...そんな流れだ。(サンダルを流したことを知ったスタッフOさんは、すぐさまMTBで下流へ。流れの中に立って、ずっとサンダルが流れつくのを待ってくれました。ホント頭が下がります。)

お〜い気をつけろよ〜!後ろでOさん失笑
オレもやっちゃおっと!

ひとしきり堰堤スライダーを楽しんだ後は、カヌーで上流の河原へ移動。瀞場で沈→再乗艇の練習をやってみるけど、ワーワーキャーキャー大笑いのギャラリーの前で遊び半分じゃ誰一人成功しない(笑)。何とか乗りこんだマジコさんも水ブネの不安定な挙動に四苦八苦。まるでカチカチ山(因幡の白うさぎだっけ?)の泥のフネのよう(笑)。僕も予めベイラーで少し水を抜いて再乗艇成功!かと思いきや、そのまま笑いながら反対側へドボン!(笑)あえなく泳いで岸にたどりつく結果になってしまった(涙)。「難しいねぇ〜、でも川の流れの中でのカナディアンの再乗艇って現実的じゃないよねぇ〜」口々にいろんな意見を交換しながら「沈」で遊ぶ僕ら。でもこんな風に遊びの中で慣れておくことが一番大切なんじゃないかな、なんて思うけどね。


と 「なんだか妙に無邪気な顔してない?」
a 「だってホントに嬉しいんだもん!」
と 「航跡がキレイねぇ。これでカヌーイストが
   もう少しカッコ良かったら...」
a 「ほっとけ!」


TAKEさんが準備してくれたスイカ割り

お昼になって、一旦管理棟前に戻って昼食。何にも用意してないのでカシータでお湯を沸かして全員揃ってカップラーメン(笑)。冷えた身体を暖めた後は、TAKEさんちが準備してくれたスイカを芝生の上に置いて、歳の若い順番にスイカ割りを楽しませてもらう。みんなで甘いスイカを堪能したあとは、再び堰堤スライダー(笑)。地元写真会のおじさん達の望遠レンズの砲列の前で、滑る泳ぐ潜る...結局4時頃まで川遊びを楽しんだ。

カシータを牽いてキャンプ場のゲートをくぐる。「あ〜楽しかった!」大人も子供も大満足の3日間。本来の透明感を取り戻しつつある銚子川を右手に眺めつつ、杉木立ちの中を走っていると、リアシートの子供達がフロントシートの間から身を乗り出して尋ねる。

「で、今度はいつにする?」...またかよ!と呆れつつも、頭の中のカレンダーを8月にめくっている僕がいた(笑)

そこのキミ、ゴーグルが上下反対じゃない?
スッゴ〜イ!プ−ルより透明よっ!

 


ほりっちさんちから差し入れしてもらった手作りケーキ


 

 


国府浜ビ−チは今日も快晴!!

 

7月21日 Maakunの10thバ−スデイボディボード(国府浜) 宮川から戻って、休む間もなくビデオカメラの準備。今夜は某・マリーナで「真夏の夜のセビリャーナスダンスパーティ」が行われる。長らく入院してたMamaの久々のフラメンコ舞台。本人だけでなく家族もつい力が入ってしまうのだ(笑)。

準備を終え、そろそろ出発しようか、ってな16:30頃に防水バッグに入れたままの携帯が鳴る...NESSYさんからだ。
『もしもし。akiちゃん?今からともちゃんのフラメンコ観にいくからね。』
ん?い、今から?大阪から?聞けば、乗鞍に星を観に行くにはちょっと時間が遅いので、フラメンコ観にいこか?ってNESSYご夫婦の意見がまとまったらしい。ちょっと近所のコンビニにでも行くような口ぶりだけど、大阪からじゃ100km近くあるんだけど...「ウソォ〜来なくていいよ〜。」とか言いつつともちゃん大興奮。

僕らがマリ−ナに着いてともちゃんが着替えを済ませた頃、マジックの瞬間移動のような早さでNESSY夫妻登場。マリーナの特設会場で潮風に吹かれながらフラメンコを観る。
『NESSYさん、コレからの予定は?』
『な〜んも考えてないけど。』
『うちに寄ってってよ。』
『うん。』
パーティ終了後、我が家へ。


ん?あれはNESSYさん&奥様

『今夜どこに泊まるの?』
『ま、適当に。』
『うちに泊まっていきなよ。』
『うん。』
ログハウスは準備がないのでカシ−タのエアコンをONにしてNESSY夫妻に泊まってもらうことに。『NESSYさん、明日はどっか行くの?』
『い〜や別に、決めてへんけど。』
『じゃ、一緒に海に行こうか?』
『うん。』
いつでもどこでもキャンプが出来るように、ボルボの広い荷室に「夜逃げセット」を常備してるNESSYさんは、当然水着も持ってたりするのだ(笑)。
そんなわけで、朝食を済ませた僕らは2台のクルマでいつものビーチに向かう。

ビ−チに着くなり波に向かうMaakun
ウッヒョッヒョォ〜オモシレェ〜!

いつも波乗り成功とは限りません。

途中コンビニで飲み物を買ったりしながら10:30頃、馴染みのビーチハウスに到着。さっさと着替えて蝶が乱舞し百合が咲き乱れる松林を通ってビーチへ。
ここ、国府浜(別名・阿児ノ松原)は志摩半島の最先端・安乗灯台から数キロに渡って真っ白な砂浜が弓状に広がる美しいビーチだ。遠浅だけど湾内ではなく大平洋に面しているので、かなり素敵な波が立つ場所として古くから関西&東海のサ−ファ−の聖地として知られた場所だ。もちろん家族連れの海水浴客も多いけれど、ほとんどがサーファー。
波打ち際にはほとんど人がいなくて、沖合い50mにボードにまたがった波待ちのサーファーが一列に並んでる、という面白いビーチだ。

じゃ、ワタシも...
カメラ目線のともちゃん

前日、ここを訪れたアキヒロさんのアドバイスに従って、海の家が管理している“海水浴エリア”から外れた“サーファーエリア”にL.L.Beanタープを設営する。(アキヒロ家は、海水浴エリアにタ−プを張ってココの名物ともなっている『マイクおじさん』に怒られちゃったらしい...)
僕を除くMama、Maakun、Azuの三人は今回のために新調したおnewな水着の初舞台。おおっ?アレレ...スミマセンが、奥様ァ、水着売場の試着室で見たのと、全然印象が違うんですが...

「お友達と一緒の時は、恥ずかしくてアレは使えないわよ(苦笑)。」どうやらビーチハウスで着替える際に“アレ”こと「偽りの●▲」は外して来た模様。「ワタシも外したのよん!」Azuも嬉しそうに仲間入り。(なんと、子供用140cmにも“豊かなアレ”が付属してた!小学校2年生で“アレ”はないだろうに...笑)
ペグ代わりにコンビニ袋に砂を詰めている間に、昨日はあんなに協力的だったMaakunが、さっさと海に飛びこんで、波を相手にパンチやキックを繰り出して「闘いごっこ」。去年までは半日そればっかりやってたけど、さすがにちょっと大人になったのか、すぐに飽きてボディボードを抱えてサーファーのお兄さんたちの列に並び波待ち。(本格的なサーファーの若者にはさまれて浮かぶ豆のように小さなMaakunの姿はとっても笑える。)


自由研究の貝探し

おnewの水着で〜す!

今日は比較的海が穏やかで良い波があまり来ないけれど、それでも体重が軽いMaakunは次々と波を捉えて、ほぼ100%波乗りに成功。
それを見ていたMamaももう一枚のボードを抱えて海へ。Azuは水際に穴を掘ってNESSYさんの奥さんruriちゃんを相手にママゴト。ママゴトに飽きると、夏休みの自由研究のために貝殻拾いを始めるAzuとMama。
僕とNESSYさんはタープの下に陣取って、ビーチを行き交う「キレイなオネエサマ」を肴に缶ビールをプシュッ!「うっひっひっひ...ヤッパ若いオネエチャンはエエですなぁ。」
「あの黄色いビキニたまりませんな。」
悪代官とワルの越後屋のような会話を楽しむ僕ら(笑)
UV加工されたタープの下は爽やかな海風が吹き抜け、この夏一番の暑さにもかかわらず爽快感は抜群。

優しいNESSYおじさんと(^^)
オジョウサマ方勢揃い

青い空、広々とした白いビーチ、透明感あふれる海...家から1時間半の海であることを忘れて、まるで沖縄や外国にでもやってきたような、そんな気分を味わえる。「三木里も良いけど、国府ノ浜は外国気分だよね。」「どこが違うのかはワカラナイけど、目に入る色が鮮やかなのかな。」
昼食は15年来食べ続けている「おばちゃんのヤキソバ」。数年前からの新メニュー「そば飯」はAzuのお気に入り。昼食をはさんで午後2時まで、僕らは夏の海を満喫したのだった。
「さて、そろそろ帰ろうか?」汐が満ちてきて、波がタ−プを洗い始めた2時すぎ、僕らは早めに撤収を開始する。夏休み最初の連休なので、リゾートから帰るクルマの渋滞を避けるためだ。

結局、Maakunは到着直後から3時間ぶっ続けで海に入って、「帰るぞ!」って合図も完全無視して、ひたすら満面の笑みを浮かべてヒャッヒャッヒャ〜とか叫びながら波に乗り続けてる(疲れっちゅうモンを知らんのか?...涙)ビーチハウスでシャワーを浴びて荷物を積込むと、いよいよNESSYさんご夫妻ともお別れの時がやってくる。「じゃ、akiちゃんまたね!」「じゃ!」いつもフットワークが軽やかで、まるで疾風のようなNESSYさん(笑)カーゴルームに「夜逃げセット」の荷物満載で、少しテールが下がったグリーンのボルボは、5気筒の軽やかなエンジン音を残して、僕らの前から遠ざかって行ったのだった...。

 

 


河原もいいけどビーチもね♪

 

 


 

  


青い空に映える真っ赤な鮠川大橋

7月20日 Maakunの「カヌー元服式」(宮川ダウンリバー)  Maakunがパドルを握り始めたのは何時からだろう?1才の時に買ったオモチャのようなパドル。あれはカヌーに乗って漕ぐよりも河原でのウンチスコップとしての方が使用頻度が高かったっけ。3才になった時、彼は初めてセンターのチャイルドベンチからバウシートに移り、シャカリキになってパドルを振り回してた。そして6才の夏、初めて自分からパドルを買ってほしいと言い出した。6回目の誕生プレゼントのパドル。それは彼にとってシートに座っても水面に届く初めてのパドルだった(笑)。自分ひとりの力で4.88mのカヌーがスッと動いた時の、あの何とも言えない驚きの表情は、今も僕の記憶に鮮明に残っている。それ以来、彼は僕のバウマンとして、色々な川を下ってきた。そして8才になった時、彼はダム湖で初めてのソロパドリングを経験する。
『他の人に乗せてもらっている時よりも自分で漕いだ時の方が一万倍楽しい。』自分のホームページにそう書いた頃から彼は僕のバウマンの座を極端に嫌がり、自分の技量を比較的発揮しやすいMamaのバウに乗ることが多くなった。川に出るたび「今日はソロで下ってみるか?」僕はそう尋ねてみた。でも返ってくる言葉は「無理無理!ぜ〜ったいに無理!」。ところが今春の古座川で100mほどの流水ソロを体験した後は、返答が微妙に変化し始めた。「う〜ん、いいけどさぁ、ちょっと、ね。」


8時半現在+0.26mの宮川(平水+1.06m)

そしてダム湖でのソロパドリング開眼から一年が経過し、いよいよ初めてのダウンリバーを体験する機会がやってきた。「明日、ソロで下ってみるか?」「うん、でも自転車積んでっていつでも止められるようにしてね。」
先日の台風以来、宮川はずっと増水傾向にあった。僕の経験からMaakunの初ダウンリバーは-20cm程度がベストだと考えていた。金曜には一旦水位が下がっていた宮川も、ダムの放水が始まったのか、この時期の通常値-80cmを1mほど上回る+20cmと表示されている(国土交通省のHP情報)。しかし気圧配置を勘案すると、風が出にくい今日は絶好のダウンリバー日和だ。しかもダム放水で1mアップすれば必ず濁りが出て、鮎釣り師の姿も少ないに違いない。

7:50 夏の暑さを避けるため、2艇のカヌーをカートップした僕らは宮川に向け出発する。早朝にも関わらず、お向かいのIおじさんが笑顔で見送ってくれる。『おっ、Maakun、今日はパパと2人でお出かけか?』『うん!今日はひとりで川を下るんだ!』『えっ、Maakunがひとりで乗るのか?スゴイなぁ。大丈夫か?』『う、うん...』誇らしさと不安の狭間に揺れる子供心(笑)。

高速道路を疾走するディスコの車中でも助手席のMaakunは妙にハイな状態で機関銃のように喋り続ける。
30分ほどで、僕らのディスコは高速を降りて田口大橋に差し掛かる。橋の上から見る宮川は増水でいつもの広い河原が完全に水没し、川幅いっぱいに白みがかったグリーンに濁った水が滔々と流れている。「こりゃ+20cmどころじゃないな。」早速、携帯でHPをチェックすると「0.26m」の表示。下流の川幅の広い計測地点で26cmってことは、たぶん80cmオーバー、つまり通常より1.5mは上がってる感じだ。
「ここは水没しちゃっててクルマ停める場所ないから、中川大橋に行こう!」
急遽、中川大橋から度会橋(17km)にコース変更だ。田口大橋の進入路を素通りして中川大橋に向かう。8:30中川大橋に到着。
ここも河原がほとんど水没しているので僅かに残った草むらの河原に2艇のカヌーを下ろす。いつもなら着くなりウェットに着替えて川に飛び込んでゆくMaakunも、今日は責任感を持ってパドルや防水バッグを運んでくれるので、10分ほどでスタート準備は完了。最後にクルマをロックして堤防の上から眺めるとMaakunが一抱えほどもある石をバウにいくつも積込んでいる姿が目に入ってきた。どうやら体重が軽くて水流や風に影響を受けやすい自分のフネを安定させるためにやってるようだ。「よしよし、Bill Masonのビデオをちゃ〜んと見てるな。」僕は嬉しくなって、しばらく真っ赤な顔をして必死で石を積込んでいるMaakunを眺め続けた。


荷物を運ぶのもカヌーイング

「沈するかもしれないから、荷物はPapaが積んでね。」「よっしゃ、けどお菓子食べたくなった時に困るからクーラーバッグはお前が積んでおけ。」荷物をバランス良く積込んで、一旦水に入って身体を冷水に慣らした後、9:00いよいよ増水した宮川に漕ぎ出す。

9:00a.m.スタート
川幅いっぱい豊かな水量の宮川に漕ぎ出す

濁った水を透して時折見える川底はビュンビュン後方に飛び去って行く。かなりの流速だ。最初は並んで流れながら、彼の緊張をほぐすために冗談を連発する。「パパやママの前で漕いでるより10万倍楽しいね!」「あれ?一万倍じゃなかったのか?」「うん、流れがあると10倍楽しいもん!」緊張の中にも晴れ晴れした、何か吹っ切れたような表情のMaakun。


ちょ、ちょっとカヌーが大きすぎ?

至近距離で並んで流れつつ、パドルサイン及びホイッスル信号の最終確認。慣れた宮川とはいえ、サポートのないふたりきりの川下りは、コミュニケーションが上手く取れないと非常に危険なものになる。「取りあえず慣れる迄はオレの後ろに付いて来い。」僕のCAMPERが前を、20mほど後ろをMaakunのHUNTERが続く。20m...これは今日の流速で後方でMaakunが沈した時にレスキュー体勢を整えるのに必要なマージンなのだ(笑)。
チィ−!ウグイスの声に混じって聞き慣れたカワセミの声が何度も響く。「あっ、カワセミ!」Maakunがパドルを動かしつつ目でカワセミを追う。『あ〜ちゅんちゅんっ!』おんぶ紐で僕の背中におんぶされながら、興奮してジタバタしてた赤ん坊の頃が懐かしく思い出される。あれから間もなく10年。

明後日で10歳(そう、これからは「才」ではなく「歳」と書かなくては!)を迎えるMaakunとこうして2艇で川を下っている...これは、ある意味10年前の「夢のような」想像が現実になったわけだ。


本流を捉えて笑顔が戻るMaakun

 

そんな幸せな時間を破るように、突然、後方でホイッスルが響く。何故か「全員集合ホイッスル」だけど(笑)、振り返るとパドルを振りながら「緊急事態発生、止まれ」のサインを繰り返すMaakunが見える。「な、なんだ!?」息を弾ませながら追いついてくる彼の表情は非常に深刻なものだ。「ど、どうした!」「ク、クーラー、クーラーバッグが、ないっ!」「な、ないって、おまえっ!」...そう、あんなに目立つオレンジ色のクーラーバッグをスタートポイントに忘れてきたのだ。

『ゴメン、でもお菓子タベタイ』半分泣きそうになりながら、目で訴えるMaakun。クーラーバッグには昼食のおにぎりはもちろん、行動食のスニッカーズ、河原で食べようねって楽しみにしてた山形産チェリ−が入ってる。(何故か僕のタバコ&ライターも)
「しゃあない、オレ取って来るから、ここで待ってろ!」Maakunを増水で水没した草むらに突っ込ませて、1km上流のスタートポイントに向け漕ぎ上がる。増水して流速が増した宮川は相当必死で漕がないと全く進まない。右岸の岩場のエディを縫うように20分ほど全力で進むと中川大橋が見えて来る。ところが、あと数百mまで来たところで、左腕が痙攣し始め...ふっと力を抜いた瞬間、残念ながらあっという間にバウを流れに喰われて本流に吸い込まれてしまった(涙)。


ツアラーらしくゆったりと進む

20分かけて遡った距離も本流に乗ればあっという間。「す、すまん...体力の...体力の限界っ!」引退する横綱のインタビューのような沈痛な言葉で詫びる僕を、Maakunはリバースで漕いで草むらから脱出しながら笑顔で出迎える。「しょうがないよ、今日は宮リバーをゴールにすればいいじゃん。」結構僕が疲れたので急遽、コースを10kmに変更することに。
そこからは突然の緊急事態に緊張がほぐれたMaakunを先に行かせ、瀬や流れが複雑な場合だけ僕が追い越して先行するという形で川下りを続ける。時折コース取りを間違えることはあっても、立ち上がってスカウティングしたり、早めにコースをインに取ったり、とまあまあの漕ぎっぷり。まるで幽体離脱して自分の姿を後方から眺めてるような感覚を覚えて笑ってしまう。

ゆったりと流れる瀞場をゆく
早く日陰に入れ!休憩ポイントにて

「あちぃ〜!」たまらず帽子で水をかぶる

「あっ、はいがわ大橋!」ソロで下るのは初めてでも、これまで何十回もここを下ってるMaakunは完全に地名を覚えてる。「今日はあんまり橋桁に近づくな!」注意を与えながら鮠川大橋をくぐる。「ちょっと水位が落ちて来てるねっ。」橋脚の流れの痕を横目に見ながらMaakunが叫ぶ。
「あの中州で休憩しよう。」僕らは凶悪に渦巻く左岸の岩場を避け、本来は広々と広がる河原であるはずの浅瀬にカヌーを置いて、浅瀬に寝転がって休憩する。後ろを振り返ると、青い空と両岸の濃い緑に真っ赤な鮠川大橋が見事なコントラストを見せている。スタートからここまで人工物は一切見えない。「やっぱり、宮川はいいなぁ。」「下ってて気持ち良いよ。」「ここがベストワンだっ!」水深10cm程の浅瀬に寝転がって涼やかな川の流れを全身で感じながら、しばし青い空を眺め続ける。空には白い雲がほんわり浮かび、黒い点のようにトビが数羽円を描くように舞っている。


浅瀬で昼寝を楽しむMaakun

いつの間にか目を閉じて水音を子守唄にウトウト...。
「さあ、行こうか!」そう声をかけないと、いつまでもこの心地よい「ウォーターベッド」に居着いてしまいそうな雰囲気のMaakunを起こして、再び流れに乗る。「あっ、ここって幼稚園の頃いつもキャンプした河原だね。」「度会橋まで下った時、あの木陰で昼ご飯食べたよね。」Maakunはカーブを曲がるたびに古い記憶が蘇るみたいで、本当に嬉しそうだ。

少し距離を取ってMaakunと赤いHUNTERを眺めてみると、スタート直後のいかにもガチガチに固まった不自然な前屈みな姿勢は消え、腰が座ってピンと背筋を伸ばした自然な姿勢でまるでカヌーと一体になったような感じを受ける。「よしよし...」Papaはそんな息子の姿を見てひとりほくそ笑む(笑)
久具都姫橋を過ぎたあたりから内城田大橋に続く緩やかな右カーブは、増水して時だけ、中州を越える水流が波を起こすちょっとした早瀬が現れる。ここは鮎釣り師が林立するポイントでもあり、以前アホ、ボケと罵りあった「喧嘩ポイント」なのだが...今日は濁りが出て水位が高いために、釣り師の姿はない。「よ〜し、オレが先に行って中洲でレスキュー準備するから、ど真ん中の波の高いルートに突っ込め〜!沈を怖がるなぁ〜!」僕が瀬を下って、中洲でスローロープを構えホイッスルで合図すると、Maakunが反応してバウを少し左に向ける。


おっ、隠れ岩発見!

ところが、急に向かい風がきつくなり、急激にバウを風に喰われ右岸の草むらに突っ込むMaakun。必死で立て直しを試みるが、真横になったまま草むらに突き刺さって身動きが取れないようだ。リバースで流れに戻るが、また風に翻弄されて今度は左岸の崖に突っ込む。


瀬を下り終え中洲のエディにストリームアウトする

結局、波の高いルートを狙うどころか本流にさえ跳ね返されて流れに乗れないまま、側流をトロトロ下る結果になってしまう。
近づくにつれ、何となく彼の様子が変なことに気付く。よく見ると彼の頬には大粒の涙が光っている。「なんでやねん、なんでやねん」そんな言葉を連呼しながら泣いている。よほど悔しかったのだろう、僕のそばに来て声を裏返して「漕いだのに、漕いだのに、全然思った方に進まへん!!」(感情が高ぶるとMamaの小倉弁から僕の伊勢弁に変わるMaakun。)涙をポロポロ流しつつ悔しさをぶつける。「よし、それじゃぁ、も一度下ってみようよ。」HUNTERのペインターロープをスターンに縛り付けてト−イングしながら側流を漕ぎ上がり、再挑戦の機会を与えることに。
僕は再び、先に下って中洲で待機。先ほどと同じようにホイッスルを吹いてMaakunをスタートさせる。

右岸の草むらから定石通り上流に向けスタートし本流にバウが入ったところで急反転、本流を高波に向かって下ってくる。ところが、一つめの波の斜面で方向を乱され真横に。そのままリカバリ−できず真横のまま3つの大きな波に当たって一瞬上流側に傾き、ボトムを大きく見せる。「あっ、沈かっ!?」
ところが小さいパドルをクロスで下流側に出して水面をスイープしつつ、なんとか沈を免れ、でも横向きのまま中洲左の分流に入って来るMaakun。それでも、その表情は先ほどとは打って変わって満面の笑みだ。「やっぱ、失敗しちゃったよぉ〜。このパドルじゃパワー出ないから瀬は無理!」そんな言い訳をしながら中洲のエディにストリームアウト。「ねえ、短くてパパみたいにブレードの大きなパドル買ってぇ〜!」


この頃になると結構サマになってサラリと漕ぐMaakun

 

ここから宮リバーパークまでは今日のおさらいをしつつ並んで漕ぐ。ゴールのレンガ色の階段が見えてくると高速での饒舌なmaakunに戻って機関銃のように喋り続ける。
11:00ゴール。
ゴール付近ではMaakunと同年代の紫色のビキニを着た女の子が浮き輪に乗って近づいてくる。おじいちゃんに連れられて泳ぎにきたらしい。「ねぇ、あなたカヌーに乗れるの?スゴ〜イ!」ショ−トカットの可愛らしい子だ。「ケッ!」階段横のスロープにカヌーを引き上げると、無愛想なMaakunは返事もせずに階段を駆け上がっていく。照れてやんの!(笑)
階段の上でBBQをしていた若者たちにカヌーと荷物を見ててもらうことにして、僕らはバス道に向け歩き始める。(道ばたでヒッチハイクできそうな親切な軽トラックを探すが、今回は見つからなかった...涙)


11:00a.m.ゴール(宮リバーパーク)

バス停で一時間に一本のバスを待つ

宮リバーパークから最寄りのバス停までは約15分。炎天下の歩きはキツイけど、今回は相棒と話が尽きないのであっという間な感じだ。
バス停に着いて時刻表をチェックすると、なんと11時台のバスが発車した直後!(一時間に一本なのです...涙)「ここじゃ暑いから涼しいバス停まで歩こうか。」僕らは途中の自販機でドリンクを買って飲みながら、バス道を上流に向けて歩き始める。カヌーのこと、学校のこと、人生のこと、女の子のこと(笑)...色々話しながらバス停3つぶん40分ほど歩いて、やっと木陰のあるバス停に到着。
木陰にユニフレ−ムの座布団を敷いて待つこと10分、手前のカーブからバスが姿を現すとふたりで手を取り合って大喜び。「やった〜来た〜!」

エアコンの効いたバスはまさに天国。しかも乗客は僕らだけ。「なんか専用バスみたいだなぁ。」「世界一大きなカヌーイスト専用リムジンだぜ!」勝手なことを言いながら410円分乗ると、バスはスタートポイントの中川大橋右岸「立花口」に到着。

「あんたら、何するヒトなん?」バスの運転手さんが防水トートをカタツムリのように背負った(笑)僕らの奇妙な格好を見て声をかけてくる。「カヌーで宮リバーまで下ったんです!」Maakunが何となく自慢げに答える。「ああ、そうか〜、あんたら乗って来た時から、聞こ聞こと思とったんですわ。カヌーな、わかったわかった!」
気の良い運転手さんのバスを見送って、僕らは中川大橋の進入路をディスコに向かって下っていく。「クーラーバッグあるかなぁ?」Maakunが早足で河原に下りて行く。「あったぁ〜!あったよパパ!」見慣れたシアトルスポーツのクーラーバッグは4時間前のまま、そこにあった。「もうちょっと置いてあったら、僕ら拾ってましたわ。」これからスタートするというカヤッカーのグループが事情を聞いて冗談めかしてMaakunをからかう。「よかったね〜、ほんとにヨカッタね〜!」


乗客は僕ら2人だけで専用バス状態

宮川沿いの道路をゆっくりと走りながら、僕らは我慢出来ずにクーラーバッグからコンビニおにぎりを奪い合うように頬張った。「うめぇ〜!」宮リバーパークに到着する前には10個あったおにぎりが全て食べ尽された。「こんなウマいコンビニおにぎりは初めてだよ、パパ。」再びトランス状態になったMaakunの機関銃のようなお喋りに負けないぐらい大きな声で、僕は歌った。「♪ハッピ〜バ〜スデイ、トゥ〜ユ〜♪はっぴばーすで〜つ〜ゆ〜♪」「僕の誕生日はあさってだよ。」「いいんだ、今日はメデタイ日なんだから!」
は〜ぴ〜ば〜すで〜、でぃあ〜ま〜く〜ん♪♪今日〜わ〜おまえの〜元服し〜き〜♪

 


0歳でカヌーに乗り、3歳で漕ぎ始め、
6歳でJストロークを覚え...
  そして、今日、9歳でソロダウンリバーデビュー。
あとは、いつまでついて来てくれるのか、だな。

 

 

 

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